映画『探偵はBARにいる3』 - エンタメレストラン -

2017/11/17

エンタメレストラン

Vol.149
探偵はBARにいる3
2017年12月1日(金)全国公開
http://www.tantei-bar.com/
© 2017「探偵はBARにいる3」製作委員会
【イントロ&ストーリー】
累計発行部数160万部を超える東直己の「ススキノ探偵」シリーズの、4年ぶりとなる映画化第3弾。大泉洋演じる“探偵”と松田龍平演じるその相棒・高田のコンビが、アジア最北の歓楽街・ススキノを縦横無尽に駆け回る。ヒロインには北川景子、闇社会で暗躍するシリーズ史上最凶の悪役にリリー・フランキーを迎えた“シリーズ決定版”。
★ススキノにある馴染みの店で、いつもの通りバカ騒ぎをする探偵(大泉洋)のもとに、相棒・高田(松田龍平)が後輩の依頼を持ち込んできた。失踪した女子大生・麗子(前田敦子)の行方を捜す探偵たちは、彼女がモデル事務所を装った風俗店でアルバイトしていたことを知る。そのオーナーを名乗るマリ(北川景子)に翻弄されるうちに、いつしか2人は大きな事件に巻き込まれていく。
【キャスト&スタッフ】
キャスト:大泉洋、松田龍平、北川景子、前田敦子、鈴木砂羽、リリー・フランキーほか
原作:東 直己「ススキノ探偵」シリーズ(ハヤカワ文庫)
脚本:古沢良太
音楽:池 頼広
監督:吉田照幸

大泉洋×松田龍平のバディ感も言うことなしの“大人のドラマ”
シリーズの定番となった昔ながらの喫茶店ナポリタンも健在

 さてさて。当連載は今から6年前、2011年秋にスタートしたのだが、第1回目に登場した映画を覚えているだろうか?

 

 答えは、『探偵はBARにいる』。余計な説明は不要だろう。しがない探偵の踏んだり蹴ったりな日々と、キラリと光る矜持を抜群のバランスで体現してみせた、大泉洋の代表作(のひとつ)である。2013年には『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』が公開され、この12月にはめでたくシリーズ第3弾が! 

 てなわけで、今回は『探偵はBARにいる3』のお話を──。事件の発端はこうだ。珍しく助手の高田(松田龍平)を通して依頼が舞い込んで、失踪した女子大生(前田敦子)について調べていくことに。すると、彼女が所属していたモデル事務所のオーナー、ミステリアスな岬マリ(北川景子)の存在が浮上してくる。例によって探偵と高田は、予想だにしない大事件へと巻き込まれてゆく。

 とまあ、内容に関してはこの程度にしておいて、これからご覧になられる方のためにもあえて深くは踏み込まないでおく。とにかく、シリーズを重ねてますます大泉洋の“探偵ぶり”は堂に入っていて、松田龍平とのバディ感、コンビネーションも言うことなし。北川景子の「過去ありのヒロイン」がまた映画を大きく旋回させ、本作を腰の座った“大人のドラマ”にしている。

 今、“大人のドラマ”と書いたが、1作目では劇中とエンドロールにカルメン・マキの「時計をとめて」(オリジナルはジャックス)が使われ、2作目を締めくくったのは鈴木慶一とムーンライダースの「スカンピン」。で、この3作目はどう来るのかというと、オープニングに「大道芸人」、エンディングに「大寒町」と、はちみつぱいの名曲が流れる(細かいことを言えば、「大寒町」を最初にレコーディングしたのはあがた森魚)。映画の展開に合わせつつ、大人がグッとくるこんな選曲をやってのけるシリーズ物は現在、日本には他にはない(だいたい、シリーズ物自体がレアになってしまった)。

 冒頭から前田敦子……キーパソンの女子大生がうにいくら丼に舌鼓を打ち、探偵と高田も、根城のBAR“ケラーオオハタ”だけでなく、札幌すすきのの路地裏に佇む(昭和25年創業の!)老舗焼肉店、「元祖京城屋」にて七輪で焼いたホルモンを食すなど、舞台となっている北海道を感じさせるシーンが点在している(事件に“毛ガニの密漁”が絡んでくるのも、この地ならでは)。シリーズのお約束、北菓楼の人気商品、高田がお気に入りの「開拓おかき」もちゃんと出てくるのだが、やはりお約束といえばコレ。探偵が喫茶店で頼み、マズそうに食べるナポリタンだ(合わせて毎度、探偵の気を引こうとする安藤玉恵扮するウエイトレスも)。

 本作でも彼女の必死さは相変わらずだが、ナポリタンのほうはちょっと趣向を変えて、すでに探偵が「食べ終わった皿」としてチラリと映っていた。喫茶店の名前は、映画では「モンデ」とネーミングされているのだが、実際のロケ場所は昭和42年創業の、すすきので半世紀にわたって営業してきた「喫茶トップ」(中央区南6条西4丁目)である。玉ねぎ、きのこ、ピーマンの入った昔ながらのナポリタンが看板メニューで、現物が美味なのは有名。撮影ではマズそうに見せるため、麺にうどんを用いていたという。ところでこの名喫茶、店主のご夫婦が高齢のため、今年5月末に惜しまれながら閉店してしまったのだ。とても残念。特に、あのナポリタンのファンはドーするドーなる! って、ご安心を。娘さんが跡地に新たにバールを開き、数あるメニューのなかに“TOPのナポリタン”を入れて、伝統の味を継承しているのであった。

 完全なフライングだが、次回、シリーズ第4弾での探偵と高田の活躍、映画を飾る渋い名曲と共にあのナポリタンがどんな風に出てくるのか、早くも楽しみにしている自分がいる。

Text by 轟夕起夫(映画評論家)
「キネマ旬報」「映画秘宝」「ケトル」などで執筆中。近年の編著に「好き勝手夏木陽介スタアの時代」(講談社)など。雑誌「DVD&ブルーレイでーた」で連載した名物コラム『三つ数えろ!映画監督が選ぶ名画3本立てプログラム』も単行本化。取材・構成を担当した『伝説の映画美術監督たち×種田陽平』がスペースシャワーブックスより発売中。
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