映画『ウイスキーと2人の花嫁』 - エンタメレストラン -

2018/02/16

エンタメレストラン

Vol.155
ウイスキーと2人の花嫁
2月17日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開
http://www.synca.jp/whisky/
© 2017 WhiskyGaloreMovieLimited2016
【イントロ&ストーリー】
1949年に初映画化され、イギリスで長く愛されている名作コメディのリメイク版。舞台は第二次世界大戦中のスコットランドの小さな島。座礁した貨物船に積まれたウイスキーを“救出”しようと奮闘する島民たちの姿を、愛情たっぷりに描く。監督は世界の国際映画祭で多くの受賞歴を誇る名匠、ギリーズ・マッキノン。『ラブ・アクチュアリー』(2003年)の名優グレゴール・フィッシャーを筆頭に、ハリウッドでも活躍中の実力派キャストたちが顔をそろえた。
★ナチスによるロンドン空爆が激化する1941年。スコットランドのトディー島でもウイスキーの配給は停止し、島民は無気力に陥っていた。郵便局長ジョセフ(グレゴール・フィッシャー)の2人の娘はそれぞれ結婚を望んでいたが、周囲は「ウイスキーなしで結婚式はありえない!」と猛反対。 そんな時、ニューヨーク行きの貨物船が島の沖合で座礁する。沈没寸前の船内には、5万ケースのウイスキーが。「これは神様からの贈りものにちがいない」と、島民たちは禁制品のウイスキーを秘かに“救出”しようとする…。
【キャスト&スタッフ】
キャスト:グレゴール・フィッシャー、ナオミ・バトリック、エリー・ケンドリック、エディ・イザード、ショーン・ビガースタッフほか
監督:ギリーズ・マッキノン
原作:コンプトン・マッケンジー
脚本:ピーター・マクドゥガル
配給:シンカ

困難な時代でも呑気に、頑固に酔っ払っているのが英国流!?
座礁したウイスキーをめぐる、実話ベースのハートフル喜劇

 スコッチウイスキーの故郷、スコットランドからちょっぴり心温まる映画が届いた。観終わった後、いつものようにハイボールではなく、ウイスキーを久しぶりにストレートで一気にぐびっといってみたくなる。そんな気分にさせる物語の導入部はこうだ。

 ナチスの暗雲がヨーロッパ全土を覆い尽くそうとする1941年。スコットランドの西に浮かぶ孤島、トディー島のパブに集う常連客たちに、店主が冷酷に言い放つ。「配給分のウイスキーは今日で最後だよ!」。その瞬間、オヤジたちはグラスの底にこびり付いた琥珀色の液体を愛おしそうに舐め尽くした。

 しかし、神は彼らを見捨てなかった。直後、リバプールからニューヨークに向けてウイスキー5万ケースとその他諸々を積んで船出した貨物船が、なんと、沖の岩場で座礁。島民たちは安息日(※宗教的に何もしてはならない日と定められた日)が明けるのを待って、いざ、ウイスキーの回収に乗り出すのだった!!

 実は本作『ウイスキーと2人の花嫁』は、スコットランドのみならずイギリス国民なら誰でも知っている実話の映画化。1941年に実際に起きた海難事故をきっかけに勃発する、ウイスキーが飲みたい島民 VS 回収したいお役所との攻防劇は、1949年に当時一世を風靡したロンドンのコメディ製作会社、イーリング・スタジオによって一度映画化され、大ヒットしている(ちなみに舞台化もされて、そっちもロングランを記録)。この物語がそれほども長くイギリス人に愛される理由は、ウイスキーを"命の水"と呼んで日々愛飲し、戦争の時代においてもなお、呑気に、そして頑固に酔っ払っていたかった愛すべき国民性を象徴しているから。

 そもそも、5万ケースのウイスキーが大西洋を渡ろうとしたのは、ナチスに大切なウイスキー工場を爆破されるくらいなら、いっそアメリカに売り飛ばして儲けてやれという、イギリス政府の国策だったというから笑える。戦争も考え方次第でジョークになる。このクールなロジック、見習うべきかもしれない。

 そして結局、一度は諦めていたウイスキーを昼間から浴びるほど飲んで泥酔したオヤジたちは、ボトルを抱っこしたまま、ボートの中で気持ちよさそうにうたた寝している。そこに漂う至福感の、何と芳醇なことか!?

 観終わってウイスキーをストレートで飲みたくなる理由がおわかりいただけると思う。どうせならおいしく飲みたいという方に、昨年末、映画のPRで来日したギリーズ・マッキノン監督(もちろんスコットランド出身)から一言。いわく、「もっともおいしいウイスキーの飲み方は、ストレートに一滴だけ水を垂らすこと」だとか。そうすると、モルト独特の風味が立ち上がってきて旨みが引き立つらしい。ぜひ、今宵はカウンターバーで"スコッチの1滴割り"をオーダーしてみてはいかが?

Text by 清藤秀人(映画ライター/コメンテーター)
アパレル業界から映画ライターに転身。SCR EEN、ぴあ、eiga.com、Yahoo!ニュース個人"清藤秀人のシネマジム"、U-NOTE等にレビューを執筆。著書にファッションの知識を生かした「オードリーのおしゃれ練習帳」(近代映画社)他。現在、スターチャンネルの映画情報番組"GO!シアター"で解説を担当。

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