カンボジア発 ニュータイプ屋台が登場 後編 - 海外トレンドリポート -

2017/02/23

海外トレンドリポートvol.132 カンボジア

カンボジア発
“ニュータイプ屋台”が登場 後編

 「屋台王国」カンボジアの観光都市・シェムリアップで今トレンドになっているのが、これまで主流だった伝統料理以外を提供する“ニュータイプ”の屋台。そのなかで話題を呼んでいるのが、本格コーヒーを提供する屋台だ。もともとカンボジアにもコーヒーを販売する屋台はあったが、そこで提供されていたのはコンデンスミルク(加糖練乳)を大量に入れて飲む、甘いコーヒー牛乳のようなもの。そんななか、昨年あたりからエスプレッソマシンでつくる本格的なコーヒーを提供する「屋台カフェ」の出店が相次いでいる。今までは、外国人観光客が多く訪れる高単価なカフェでしか味わえなかったコーヒーがリーズナブルな価格で購入できるとあって、地元の人たちにも親しまれている。後編では、そんな「屋台カフェ」にスポットを当てる。

荷車に木製のカウンターを取り付けた屋台カフェ。中にはエスプレッソマシンがあり、2人入るのがやっとのスペース
荷車に木製のカウンターを取り付けた屋台カフェ。中にはエスプレッソマシンがあり、2人入るのがやっとのスペース
気温の高いカンボジアでは、冷たいコーヒーが人気。写真は、20オンス(約600ミリリットル)と大容量のアイス・カフェラテ。「ノンシュガー」「砂糖たっぷり」などにも対応する
気温の高いカンボジアでは、冷たいコーヒーが人気。写真は、20オンス(約600ミリリットル)と大容量のアイス・カフェラテ。「ノンシュガー」「砂糖たっぷり」などにも対応する
屋台のひさしの下にドリンクの写真を大きく掲示。それぞれ英語でメニュー名と価格を入れ、外国人でもオーダーしやすいようにしている
屋台のひさしの下にドリンクの写真を大きく掲示。それぞれ英語でメニュー名と価格を入れ、外国人でもオーダーしやすいようにしている

本格コーヒーを手軽に楽しめる屋台カフェ

 アンコール・ワットがある観光都市・シェムリアップ。その街中を南北に流れるシェムリアップ川と並行して、おしゃれなブティックや高級和食レストランなどが並ぶワット・ボー通りが走っている。この通り沿いに、店長のチュェム・ハン氏ら4名で約9,000ドルを共同出資して2015年12月にオープンしたのが、現在カンボジア人に大人気の屋台カフェ「V・グループ・コーヒー(V. Group Coffee)」。屋台は、荷車にカウンターや屋根を取り付けたシンプルな造りだ。

 コーヒー豆は、隣国タイのコーヒーブランド「BON café」の苦味が少ないアラビカ種100%豆を採用している。一番人気は「アイス・カフェラテ」(1.25ドル=約143円)。マイルドな口当たりのなかに深煎り豆の香ばしさが広がり、価格が倍以上する固定店のカフェで飲むものと遜色ない味わいだ。

 また、甘いコーヒーに慣れたカンボジア人に合わせて開発した、ミルクの代わりに練乳を入れる「アイス・ミルクコーヒー」(1.25ドル=約143円)も好評。「甘いだけでコーヒーの味がわからないのでは」と思われそうだが、エスプレッソの深いコクもしっかり感じられ、従来、屋台で提供されていたものとは違う深みのある逸品に仕上がっている。

 ほか、外国人観光客から人気なのが「エスプレッソ」(1ドル=約115円)。「湯気とともに立ち上る豆の香りを楽しめる」と、高いオーダー率を誇る。

 コーヒー以外でも、ほどよい甘さとライムの渋味が絶妙に混ざり合う、カンボジア語で「タエ・クロッチュマー」(1ドル=約115円)と呼ばれるオレンジ色のライム・ティーが人気だ。さらに、「ストロベリーフラッペ」(2ドル=約230円)など、甘い飲み物も販売している。

 客層は、子供連れのファミリーや、ビジネス層、散策中の外国人観光客など幅広い。常連の好みを覚えて、注文のときに前回と同じものでよいか声をかけるなど、リピーターとのつながりを深めている。

 屋台だが移動はせず、同じ場所で営業するのもリピーターを離さないため。固定の店舗を構えるよりも、はるかに資金を抑えて営業できる屋台カフェは、今後もしばらく増えていきそうだ。

人気の「アイス・カフェラテ」は、深煎り豆のコクとミルクのまろやかさが絶妙にマッチ。カップには、店舗の情報が入った紙を巻いてある。これを撮影してSNSにアップする人も多いことから、認知が広まった
人気の「アイス・カフェラテ」は、深煎り豆のコクとミルクのまろやかさが絶妙にマッチ。カップには、店舗の情報が入った紙を巻いてある。これを撮影してSNSにアップする人も多いことから、認知が広まった
しっかり泡立てたクリーミーな泡が乗る「ホット・ラテ」(1.25ドル=約143円)。固定店と違ってラテ・アートは入らないが、味はまったく引けを取らない
しっかり泡立てたクリーミーな泡が乗る「ホット・ラテ」(1.25ドル=約143円)。固定店と違ってラテ・アートは入らないが、味はまったく引けを取らない
持ち帰りの場合は専用のビニール袋に入れ、傾いてこぼれないように輪ゴムで固定して提供している
持ち帰りの場合は専用のビニール袋に入れ、傾いてこぼれないように輪ゴムで固定して提供している
V. Group Coffee(ヴイ・グループ・コーヒー)
SHOP DATA
V. Group Coffee(ヴイ・グループ・コーヒー)
Street #25, Wat Bo road, Siem Reap, Cambodia
www.facebook.com/V-Group-Coffee-212478182458869/?fref=ts

ドライブスルーでの利用が多い街角屋台カフェ

 シェムリアップの中心部を走るポカンボー通りにある複合商業施設シェムリアップ・トレードセンター。その近くにある屋台カフェが「ノイ・カフェ(Noi Café)」1号店だ。2015年12月にオープンしたこの屋台は、ケオ・サヴィン氏とヴァン・チャネット氏の夫婦が経営。シェムリアップから車で約30分の場所にあるプオ村から出てきて、銀行から約1万ドルの融資を受けてオープンにいたったという。

 車道沿いに店を構えるこの屋台では、車で通りかかった地元の人がドライブスルーのように車に乗ったまま購入するケースも多い。そのため、必ず屋台の前にスタッフが一人待機しており、車での利用客に注文を聞いたり商品を渡すなどしている。

 コーヒーは、ヨーロッパから輸入された4種類のアラビカ種の豆を独自にブレンドしており、一番人気はエスプレッソコーヒーに牛乳を加えた「アイス・コーヒーウィズミルク」(1.25ドル=約143円)。いわゆる「アイスカフェラテ」だ。エスプレッソマシンで瞬間抽出された豆の苦みやコク、深み、旨味が、ミルクとまろやかに融合。固定店の半額くらいで、約2倍のサイズを提供している。また、「エスプレッソ」(1ドル=約115円)も人気の一品で、最後の1滴までコーヒーの心地よい苦味が味わえる。

 コーヒーのほかに、甘さ控えめの「ホット・チョコレート」(1ドル=約115円)や、ハチミツのまろやかな甘さとライムの爽やかな酸味がよく合う「アイス・ライム・ハニーティー」(1.25ドル=約143円)などもある。

 オープン直後から売上は順調に伸び続け、2016年10月には2号店として固定店のカフェを出店。こちらはコーヒーなどのドリンク以外に、パンなどの軽食も扱っている。開店資金を抑えられる屋台カフェからスタートし、1年足らずで固定店にステップアップしたこの店の成功例が、屋台カフェの出店ブームをさらに加速させるかもしれない。

取材・文/青山 直子(海外書き人クラブ)
※通貨レート 1ドル=約115円
※カンボジアの通貨単位はリエル(1ドル=約4000リエル/変動制)ですが、米ドルでのやり取りが一般的なため、ドル換算での表記にしています。
※価格、営業時間は取材時のものです。予告なく変更される場合がありますのでご注意ください。
一番人気の「アイス・コーヒーウィズミルク」は、いわゆる「アイスカフェラテ」。エスプレッソの凝縮された旨味や苦味とミルクが薫り高く融合している
一番人気の「アイス・コーヒーウィズミルク」は、いわゆる「アイスカフェラテ」。エスプレッソの凝縮された旨味や苦味とミルクが薫り高く融合している
コーヒー以外も充実。甘さ控えめな「ライム・ティー」(1ドル=約115円)は、渇きを癒やすのにも最適。コーヒー同様に大きめのカップ(600ミリリットル)で提供
コーヒー以外も充実。甘さ控えめな「ライム・ティー」(1ドル=約115円)は、渇きを癒やすのにも最適。コーヒー同様に大きめのカップ(600ミリリットル)で提供
ショッピングセンター脇の道にあり、並びにはフルーツシェイクの屋台などもある。屋台の前に車を停めてドライブスルーのように商品を購入する客も多い
ショッピングセンター脇の道にあり、並びにはフルーツシェイクの屋台などもある。屋台の前に車を停めてドライブスルーのように商品を購入する客も多い
Noi Café(ノイ・カフェ)
SHOP DATA
Noi Café(ノイ・カフェ)
Pokambor Street, Siem Reap, Cambodia.
www.facebook.com/pages/%E1%9E%8E%E1%9E%99-Noi-Caf%C3%A9/1254029614615258?fref=ts
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