イギリス発 進化したミルクシェイク 前編

イギリス・ロンドンで、近年話題を呼んでいるのが、お菓子やケーキなどをトッピングしたミルクシェイクだ。“シェイク×スイーツ”で話題の進化系ミルクシェイクの専門店などを紹介する。

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Vol.147

イギリスのロンドンでは、近年、クッキーやグミ、チョコバーなどのお菓子、さらにはケーキなどをトッピングしたミルクシェイクが話題を呼んでいる。“シェイク×スイーツ”という斬新な組み合わせやSNS映えするポップな見た目が人気の秘密だ。

前編では、自由にトッピングがアレンジできるシェイク専門店と、複数のスイーツを大胆にトッピングした「フリークシェイク」を提供する店を紹介する。

左はチョコバーとチェリーのグミを、右はジェリートッツ(丸いカラフルなグミ)とキャラメル味のポップコーンをトッピング。トッピングを変えて、自分のオリジナルシェイクを作れることが人気の秘密だ
ホイップクリームと粉末のチョコレートをトッピングしたブルーベリーシェイク。グミやクリームをトッピングすると「パフェ風」になる
アイスクリームやビスケット、さらにはケーキなど、トッピングという概念を超えたものをのせているミルクシェイクは、特に「フリークシェイク」と呼ばれる。まさに、フリーク(奇抜)な組み合わせとビジュアルで人気を呼んでいる

シェイク80種類×トッピング28種類! オリジナルを作る楽しみ

ロンドン随一のショッピングエリアとして名高いリージェント・ストリートにある、おもちゃのデパート「ハムレイズ」。その5階に、「シェイク・テイスティック(Shake Tastic)」がある。2009年1月、ロンドンの北部郊外の住宅地、ミル・ヒルに1号店を出店してから、イギリス国内に8店舗を展開してきたミルクシェイク専門店の旗艦店だ。

オレオとチョコレートバーを混ぜたシェイクに、オレオとはじけるキャンディーをトッピング。オレオやキャンディーの食感もアクセントに

「様々なシェイクを楽しめる」というコンセプトで立ち上げただけあって、チョコレートバー、クッキー、シャーベット、ケーキ、フルーツなど、シェイクは何と約80種類! サイズはS・M・Lで、S(341ml)が3.05ポンド、M(455ml)が3.85ポンド(約578円)、L(682ml)が6.05ポンドだ。「クッキー×フルーツ」など、複数の味を組み合わせることもでき(1種類追加ごとに0.8ポンド=約120円)、シェイクだけで何千通りもの組み合わせが可能だ。

さらに、28種類のトッピング(各0.4ポンド=約60円)を用意。アイスクリーム、ホイップクリーム、クッキー、キャンディー、グミ、シリアル、各種ソースなどがあり、数種類を一度にトッピングすることも可能なので、自分だけのオリジナルシェイクを作ることができる。

断トツの一番人気は「オレオシェイク」。これに、チョコレートバーをミックスし、トッピングとして「はじけるキャンディー」とオレオ1個をトッピング(Mサイズ。計5.45ポンド=約817円)するのがスタッフのおすすめだ。シェイクのまろやかな口あたり、溶かし込んだオレオクッキーのざらっとした舌ざわり、そして口の中でパチパチとはじけるキャンディーが刺激的。従来のまろやかなミルクシェイクとは異なる味と食感が楽しめる。

SNS映えを意識するなら、ポップで可愛い雰囲気の色でまとめるのがおすすめ。例えば、ストロベリーシェイクに、ピンクの「フライング・ソーサー」(米粉から作った、円盤型の最中の皮のような菓子)と、ピンクと水色のツートンカラーのグミをトッピング。全体的に淡いピンクのシェイクのなかで、水色のグミがアクセントになっている。

客層は、デパートに来る子ども連れの家族やカップルが中心。人気の秘訣は、色合いや味を考えながらオリジナルシェイクを作るワクワク感や遊び心を刺激していること。完成したオリジナルシェイクを食べる前に撮影するのもおなじみの光景だ。味だけでなく、「体験」や「共有」も盛り込むことで、差別化に成功している。

ストロベリーシェイクに、フライング・ソーサーとコーラのグミをトッピング。シェイクのまろやかさ、フライング・ソーサーのサクサク感、グミの噛みごたえがマッチ
注文カウンター横のスペースには、フレーバーやトッピングの見本がずらりと並ぶ。パッケージのデザインで選ぶのも楽しい
シェイク・テイスティック ハムレイズ店(Shake Tastic Hamleys)
188 – 196 Regent Street, London, W1B 5BT
http://www.shaketastic.com/

スイーツを豪快に乗せた「フリークシェイク」がブームに!

北ロンドンの大通り、ホロウェイ・ロードの一角にある「ミキズ・パラダイス(Miki’s Paradise)」。2014年9月にオープンし、2016年にはカルチャーメディア『タイムアウト』誌ロンドン版で、その年の注目スポットを読者が選ぶ「ラブ・ロンドン・アワード」を勝ち取った小さなカフェだ。

「ノーティー・ノーティー」のシェイクにかけるソースは、キャラメルかヌテラ(チョコレート風味の甘いスプレッド)、のせるスイーツはブラウニーかチョコ入りクッキーのどちらかをそれぞれ選ぶことができる

特に話題となったのが、15種類の「フリークシェイク」だ。フリーク(freak)とは、「奇抜な」という意味。その名のとおり、ミルクシェイクにケーキやクッキー、チョコレートバーなどをてんこ盛りにし、飲み物の域を超えて、数種類のスイーツを楽しめる新しいスタイルのデザートとして人々を惹き付けている。

なかでも、一番人気のフリークシェイクが「ノーティー・ノーティー」(8.5ポンド=約1,275円)。ガラスのジョッキにイタリアの丸いチョコレート菓子「フェレロ・ロシェ」とミルクで作ったシェイクを注ぎ、その上からキャラメルソースをふんだんにかけ、さらにバニラアイスクリーム、プレッツェル、自家製のオレオ入りブラウニー、ホイップクリームなどを溢れんばかりにトッピング。シェイクは意外に甘さ控えめで、バニラアイスやブラウニーと一緒に食べることでどちらの味も引き立つ。そのなかでプレッツェルの塩味が絶妙なアクセントとなっている。

見た目のインパクトがさらに強烈なのは「バブリシャス」(8.5ポンド=約1275円)。ミルクシェイクにホイップクリームとバニラアイスをのせ、上からアイスクリームコーンをとんがり帽子のように逆向きに立てる。すべて牛乳から作られるシェイク、ホイップクリーム、アイスクリームの異なる口あたりが生み出すハーモニーは、まさに至福の一言だ。

客層の中心は若い女性やファミリー、カップル。フォトジェニックな見た目が好奇心をそそり、年齢や性別に関係なく「スイーツ好き」を魅了して人気となっている。

ベースのミルクシェイクに様々な風船ガムの味を混ぜたフレーバーを使った変わり種の「バブリシャス」。人工的な味が強いかと思いきや、ミルクと合わさり、フルーティで上品な味に仕上がっている
ストロベリーシェイクに、ホイップクリームとバニラアイス、チョコレートソースとブラウニー、イチゴをのせた「テンプテーション・ストロベリー」(8.5ポンド=約1,275円)。「ミルク×チョコ×イチゴ」は王道の組み合わせ
ミキズ・パラダイス(Miki’s Paradise)
221 Holloway Road, London N7 8HG
http://mikisparadise.blogspot.co.uk/

取材・文/塚田沙羅(海外書き人クラブ)
※通貨レート 1ポンド=約150円
※価格、営業時間は取材時のものです。予告なく変更される場合がありますのでご注意ください。