売上げ減少のときに絶対やってはいけないこと - 繁盛の黄金律 -

2016/07/29

神山 泉の繁盛の黄金律

Vol.59
今回の黄金律
売上げ減少のときに、絶対やってはいけないこと

必ずやってしまう5つの「最悪手」

 売上が下落すると、何とか立て直そうとして、いろいろな「手」を打ちます。しかし、それらはほとんど間違っていて、店はさらに泥沼に引き込まれていくことになります。

 よくある「最悪手」は、次の5つです。

  • ① 値上げをする。
  • ② 値下げをする。
  • ③ メニューを増やす。
  • ④ 営業時間を延長する。
  • ⑤ 人を減らす。

 いずれもよく繰り出す「手」ですが、どれもやってはいけないことです。売上の下落とは、客数が減ることです。つまり、人気が落ちているのです。それならばやるべきことはひとつ。店の人気の回復です。ここを肝に銘じておかなければなりません。具体的には、主力商品を磨き込んで価値を高め、接客サービスのレベルを上げることです。その観点からすると、前述の①~⑤がすべてやってはいけないことだということがわかります。

 やるべきことはひとつ。人を増やして、教育・訓練に力を入れて、店のパワーを上げることです。人気の回復が目標なのですから、当然の戦術です。しかし、客数が減っているときには、なかなかできるものではありませんね。

 価格は基本的にいじってはいけません。値上げは、客数減を客単価アップでカバーしようとすることです。いっときはそれで売上が回復しても、結局はさらなる客数減を招きます。では、値下げは? 落ち目のときに値下げをしても、客数は回復しません。客単価が下がるだけで、売上はさらに下がります。

 メニュー数は、むしろ絞り込まなければなりません。主力メニューに集中して、それ以外のメニューを思い切ってカット。これまた勇気が要ることで、下手をすると、これも客数減の要因になってしまいます。しかし、商品のレベルが下がっているのですから、主力商品の磨き込みをして、レベルを上げるよりほかの道はありません。磨き込みとは、食材選定から調理加工(マシンと技術の向上)までのすべてを洗い直すことですから、メニュー領域が広がっていては、手が付けられません。メニューの磨き込みは、絞り込みを前提にしなければ成果を上げることができないのです。

調理場とフロアの険悪な空気を除去すること

 営業時間については、むしろ短縮しなければなりません。延長してダラダラと営業をしても、スタッフの疲れがたまり、メニューやサービスの質が落ちて、人気はさらに下落します。売る時間を明確に定めて、その時間帯を強化しなければ、人気の回復はあり得ません。

 そして、お客が減ったから、人(スタッフ)もカットする。これは最悪の「手」です。店のレベルがさらに落ち、客数減少にさらに拍車がかかってしまいます。なかなかやりきれることではありませんが、人を増やし、教育・訓練の時間を増やし、調理とフロアオペレーションの底上げをすることこそが、人気回復の要なのです。売上が下がっているときは、店が荒れています。調理もサービスも裏マニュアルがまかりとおっていて、勝手し放題の状態になっているものです。

 調理では、ポーション(量)も手順も狂っていて、本来のかたちから大きく逸脱してしまっています。ホールスタッフはただただ商品を運ぶだけで、お客とのコミュニケーションがなくなってしまっています。何よりも悪いのは、キッチンとフロアの仲が険悪になっていて、両者の連携がまったくとれていないことです。たいてい客数減の店には、店全体にギスギスした空気が流れているものです。ここで人減らしでもしたら、お店は崩壊してしまいます。まずやるべきことは、店主が店に張り付くことです。そして、原因を突き止めること。また、立て直し方針を従業員に明確に指し示すことです。

 店主が「体を張る」姿勢を見せない限り、真の人気の回復はありません。また、以下の6つを実践しましょう。

  • ① 価格はいじらない。
  • ② メニューを絞って、主力商品の見直しをし、そして磨き込みに専心。
  • ③ 店にはびこる悪習を一掃する。
  • ④ 店の“磨き込み”(清掃、清掃、清掃です!)
  • ⑤ 従業員同士のコミュニケーションの回復。
  • ⑥ 基本に立ち返り、教育・訓練を強化。よき習慣を確立する。

 ここでもう一度、自店が「何屋なのか」をはっきりさせることです。ひと言でいえば、専門店(飲食店のプロフェッショナル)としての地位を確立すること。これが人気回復への出発点です。

 新メニュー導入を急ぐ経営者がいますが、それは、これまで述べた基本が完了したあとのことです。基盤整備もできていないのにそれをすると、さらに混乱するだけです。それから、新メニューは、主力商品と同じメニュー領域(つまり、もっとも得意とする領域)の中で開発しなければなりません。

株式会社エフビー 代表取締役 神山 泉 氏
株式会社エフビー 代表取締役
神山 泉
早稲田大学卒業後、株式会社 柴田書店に入社。「月刊食堂」編集長、同社取締役編集部長を経て、2002年に株式会社エフビーを発足。翌年、食のオピニオン誌「フードビズ」を発刊。35年以上もの間、飲食業界を見続けてきた、業界ウオッチャーの第一人者として知られる。
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