インバウンド対策セミナー開催レポート

大都市を中心に外国人の姿は今や珍しくなく、飲食店の売上アップのためにも、彼らの受け入れ環境の整備が急がれる。8月に各地で行われた、インバウンドに特化した3つのセミナーをリポート。

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開催レポート

インバウンド対策セミナー

2015年1~7月の訪日外国人数は1,106万人(日本政府観光局〈JNTO〉発表)と、過去最高を記録した2014年(1~12月)の1,341万人を大幅に上回る勢いだ。大都市を中心に外国人の姿は今や珍しくなく、飲食店の売上アップのためにも、彼らの受け入れ環境の整備が急がれる。8月に各地で行われた、インバウンドに特化した3つのセミナーをリポート。

From 北海道

北海道・ぐるなび包括連携協定による「インバウンド対策セミナー」開催

来春の北海道新幹線開業に向けて、函館市の飲食店が集結。ノウハウを学び、外国人観光客の受け入れ体制強化をスタート

函館市内の飲食店関係者約50名が参加。外国人向けの情報発信や対応方法を熱心に聞き入った
函館商工会議所の永澤大樹氏が無料Wi-Fiスポットの強化など、インバウンドに対する函館市の取り組みを説明

6月17日に締結された「北海道・ぐるなび包括連携協定」以降初の共同事業として、「インバウンド対策セミナー」が8月6日、函館商工会議所にて開催。地域の飲食店から約50名が参加した。セミナーは函館商工会議所、函館市役所、一般社団法人 函館国際観光コンベンション協会で組織する、北海道新幹線新函館開業対策推進機構の共催でもあり、来春の北海道新幹線の開業(新青森~新函館北斗間)に向けての地域一丸となる取り組みに、大きな期待が寄せられた。

セミナーではまず、ぐるなび大学のインストラクターが、現在までの訪日外国人観光客数・旅行支出費の推移や外国人観光客に多い要望などを紹介。食と日本文化の体験イベントを売りに、外国人の集客と売上アップに成功した道内のホテルの事例も関心を集めた。また、料理の説明のほか、調理法から調味料までを、日本語入力で多言語に翻訳できる「ぐるなび外国語版」を軸にした、外国人用メニュー作成のポイントや注意事項をていねいに解説。具体的な外国人客の受け入れ環境作り(来店時の対応策)について、参加した飲食店関係者と活発な質疑応答が行われた。

セミナーの最後には、函館商工会議所 新幹線函館開業対策室長の永澤大樹氏が登壇。函館市のインバウンド対策の進捗を伝えるとともに、「新幹線の開業後に、地域の事業者が末永く利益を創出する」ため、飲食店や観光スポットなどの観光資源を官民一体となって盛り上げる旨を語り、会場は拍手に包まれた。

From 東京

中国人観光客について学ぶ「国慶節対策セミナー」開催

中秋節(9月26~27日)と国慶節(10月1~7日)に注目!確実に増える中国人観光客の動向とニーズを知り、集客を強化

飲食店関係者ら30名以上が参加し、中国人観光客についてのリアルな情報を聴講
中国でのビジネス展開や訪日中国人に同行した経験を、ユーモアを交えて話す斉藤茂一氏

春節(しゅんせつ/2月)に次ぐ中国圏の大型休日が、中秋節(ちゅうしゅうせつ/9月26~27日)と国慶節(こっけいせつ/10月1~7日)。この時期は、訪日中国人の大幅な増加が確実視されているが、このチャンスを飲食店に最大限に活かしてもらおうとの狙いで、ぐるなびは8月25日、ぐるなび大学の特別講座として、「国慶節対策セミナー~中国人観光客について学ぶ~」を開催した。

冒頭、ぐるなび大学のインストラクターが、2014年の訪日中国人が240万人に達し、今年はさらに増えていること、個人旅行が4割に達していること、春節に対応したぐるなび加盟飲食店の6割が2月の売上を伸ばしたことなどを、データを元に紹介した。

続いて、レジャーサービス研究所所長の斉藤茂一氏が講演し、中国ビジネス専門家の視点から、中国人観光客の行動の特徴とその背景を解説。トラブルを回避する効果的な対応とともに、ニーズに対応して売上につなげるコツとして、高額メニューや貸切対応などを取り上げ、具体的に説明。セミナーには飲食店経営者ら30名以上が参加し、語られる内容の一言一句に、熱心に耳を傾けていた。

From 福岡

福岡市・ぐるなび包括連携協定による「インバウンド対策セミナー」開催

200名近くの、福岡市の飲食店関係者が参加し、大盛況。さらなる外国人観光客の集客アップを目指してインバウンド対策を学ぶ

満席の会場。メモを取りながら熱心に聴講する参加者たち
冒頭、市の意気込みを参加者へ伝える福岡市経済観光文化局の合野弘一氏
口コミの重要性と福岡市の潜在能力の高さを語るトリップアドバイザーの原氏

7月7日に締結された「福岡市・ぐるなび包括連携協定」に基づき、8月26日、福岡市役所内講堂にて、市内の飲食店に外国人観光客を呼び込むための「インバウンド対策セミナー」が開催された。参加者は市内の飲食店関係者ら約200名。

福岡は現在、爆発的に訪日外国人観光客が増えている都市のひとつ。冒頭の挨拶で、福岡市経済観光文化局理事の合野弘一氏が、市の経済活性化への意気込みを伝えたのに続き、世界最大の旅行口コミサイト、トリップアドバイザー株式会社のBusiness Development Executive・原アルトゥーロ建太郎氏が登壇。「旅行者の体験談から見えてくる、訪日外国人が飲食店に求めていること」と題して、外国人の集客アップに成功した3店舗の事例を紹介。「接客、メニュー表を含め、総合的なインバウンド対策が口コミを招く」と提言した。

その後は、ぐるなび大学のインストラクターにより、「飲食店におけるインバウンド対策の今」を、4店舗の事例からレクチャー。ぐるなびが福岡市との連携で海外からのMICE参加者向けに、電話予約代行サービスをスタートさせたことなども紹介され、「福岡市を日本一外国人観光客の受け入れが整備された都市に」と宣言。インバウンドに対する参加者の意識が高まった1日となった。