人気の店には理由がある。売れるメニューにも理由がある。日本全国、北海道から沖縄まで、最新の話題店30とそのヒット商品を全8回にわたってお届けしてきた。最終回では、神奈川、愛知、広島、鹿児島の4店舗の売れてるメニューをご紹介。
原価率よりもインパクトを優先！“お得感”に満ちた料理が人を呼ぶ
【神奈川・大船】大船ワイン食堂 NAVE
「出した時にお客様から『うわ～』と歓声が上がるような、インパクトのある一皿を提供したい。それが『ＮＡＶＥ』（ナーヴェ）のメニューコンセプトです」と語る代表取締役の伊藤崇氏。そのコンセプトを体現するのが、新鮮な鎌倉野菜を約10種類も盛り込んだ「鎌倉野菜たっぷりのバーニャカウダ」（９５０円）や、一皿で前菜４～６種類を味わえる「俺の魂心の前菜盛り合わせ」（１２９６円）だ。どちらのメニューも立体的で華やかな盛り付けとボリューム感が目を引く。このインパクトを可能にしているのが、「あえて原価を意識しない」という伊藤氏の戦略だ。実際に両メニューとも原価率は50％におよぶ。「以前は、食材はもちろんのこと、調味料のグラム数に至るまで原価をこと細かに計算していたのですが、ある時ふと我に返ったんです。原価率にばかり目を向けていては、発想も行動も縮こまってしまう。何より、お客様においしいものを提供して喜んでいただくという本来の目的がブレかねないことに気付きました」（伊藤氏）。
