2014/09/30 特集

いい店には“オーラ”がある!入りやすい店、入りにくい店

立地がいい路面店でも「入りにくい店」があれば、ビル内でも客を引きつける「入りやすい店」もある。何がこの違いを生むのか。多くの繁盛店をサポートしてきたプロに、入りやすい店づくりについて聞いた。

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立地がいい路面店でも素通りされがちな「入りにくい店」があれば、ビル内でも客を引きつける「入りやすい店」もある。いったい何がこの違いを生み出すのだろうか。数多くの繁盛店をサポートしてきた飲食プロデューサーの河野祐治氏に、入りやすい店づくりについて聞いた。

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安心感とわかりやすさを伝え外観から店の魅力を発信

飲食プロデューサー 河野祐治 氏
2店舗だった飲食店が大手外食チェーンに成長するまでを第一線で経験し、取締役に就任。あらゆる業務に精通し、独立後は年間100件以上のコンサルティングや新店プロデュースを手がける。全国での講演活動や業界誌への執筆も多数。著書に「繁盛本 街場の飲食店に学ぶ商売繁盛200の教え」(東京カレンダー)、「これだけは知っておきたい 儲かる飲食店の数字」(日本実業出版社)などがある。また、河野氏の活躍は「飲食店繁盛会」のサイトで確認できる。

人を引きつける店には、共通した力=オーラがある

「いい店には、やっぱりオーラがありますね」と話す河野祐治氏。繁華街などを歩いていると、"入ってみたい"と思わせる店がよくあるが、そうした人を引きつける店には、どこか共通した力(=オーラ)があるという。「住宅でも、気持ちのいい家とそうでない家があります。ゴミや雑草などが目につき、どこか雑然としている家は、どんなに豪華でも魅力はない。飲食店もよく似ています」と河野氏。店まわりや看板を含めた外観全体のトータルな印象がモノをいうのであり、その源には、店が持つ総合的な力があって、その力が自ずとにじみ出てくる。

そこで河野氏は、入りやすい店の外観を考える前に、「その店ならではのメニューや雰囲気、コンセプトがしっかりしている、魅力のある店を作ることが先決」と指摘する。「いくら秘策を打って集客しても、魅力がなければリピーターは生まれず、一過性の繁盛で終わります」(河野氏)。店に魅力があり、それを店の外にいる人に適確に伝える外観となったとき、初めて"入りやすい店"の土台ができるといえるのだ。

では、「店の魅力を適確に伝える外観」とは、どんなものなのだろう。河野氏が重視するポイントは、大きく「わかりやすさ」と「安心感」だ。「どんな業態で、名物料理は何かを、わかりやすく伝えることができている店は入りやすい」と河野氏は指摘する。しかも、店名、業態、名物メニューが、一瞬で脳にインプットされるくらいの"わかりやすさ"が必要なのだという。

同時に「明るさ」も、大きなポイントだ。「照明が十分でないと不安になります。安心感は入りやすさの重要な要素」(河野氏)。値段が想像できない店、客層がわからない店、内部が見えない店も、不安要素が多くなるものだ。

「わかりやすさ」と「安心感」を意識することは、店の外観についてばかりでない。これはWebでの情報発信にも有効な視点だ。次ページからは、「わかりやすさ」や「明るさ」についてさらに詳しく見ていこう。

【ここがポイント】店全体や、店舗入口をわかりやすく!明るい照明で安心させる!

安心感には不可欠の"明るさ"。階上、地階への誘導にも有効

照明は、「入りやすい店」には不可欠の要素。例えば、夜間、コンビニエンスストアに行くことになったとしよう。同じくらいの距離に、店頭の照明が薄暗いA店と、明るい照明が煌こう煌こうと周囲を照らしているB店があったとしたら、多くの人は、迷わずB店を選ぶだろう。

「飲食店もそれと同じ。明るいというだけで、入店に対する安心感が生まれ、ハードルがぐっと低くなります」と河野氏。あえて照明を絞っている店もあるが、「明るい=安心感」というキーワードから見つめ直し、"暗さ"で損をしていないかどうか、吟味してみることも必要といえる。ある和風居酒屋は、看板とは別に店頭に数多くの提灯を設置しているが、提灯というアイテムの力で店の雰囲気を無理なく発信。周囲よりひときわ明るい一画を生み出すことで、外観から、ほっとするような安心感を醸し出している。

さらに、照明は、ビルの階上店や地階店への入りやすさを、路面店以上に左右する。「行き先が暗い地階への階段を降りるのは、心理的な抵抗感が強いもの。大胆に明るくすることで、それを取り除くことが大事です」と河野氏。これは階段を上る店でも同様だ。

また、照明を階段に帯状に配するといった工夫をすれば、照明が誘導灯の役割を果たし、店への導線になる効果も期待できる。照明には、まだまだ活用の余地がありそうだ。

【ここがポイント】パッ! と見てすぐ理解できるか?わかりやすい看板で業態や売りを伝える!

一番の見込み客は、店の前にいる人。一瞬でアピールする看板効果が重要

「そもそも、飲食店にとって一番の見込み客はどんな人たちか」と河野氏は問う。「現代はWeb、SNSなど情報発信ツールがたくさんあり、複合的な販促が必要な時代であることは事実です。でも、飲食店にとって、もっとも来店を見込めるのは、いつも店の前を通る人であり、今まさに店の前にいる人であることに変わりはありません」。

その人たちにアピールする最強のツールが「看板」だ。「店を探している人は、看板から得る情報で店を選びます。営業時間外でも道行く人への刷り込み効果があるのが、看板の特長。これをどう作るかで、売上にも影響が出ます」と河野氏。実際、看板をブラッシュアップしただけで、集客が伸び、売上が数十%も上がる例は少なくないという。では、どう作ればよいのか。

河野氏は飲食店の看板を3段階に分類する。1つ目が袖看板(建物から道路に突き出ている看板)、2つ目がファサード(店舗正面)の看板、3つ目が店頭看板だ。袖看板にはファーストストップの役目がある。「袖看板に店名だけを大きく載せている店がありますがこれはもったいない。袖看板で大切なのは、店名よりも業態を認知させること」と河野氏。店を探している人に重要なのは、「何が食べられる店か」ということだからだ。次に見るのが入口の上など、ファサードの看板。ここで店名とともに、「こだわりの○○と手作り△△」といった、売りを明確にしたショルダーネームを載せることで、より人の注意を引きつけることができる。

1段階、2段階をクリアして、店の入口に立った客。だが、「入ってみたい。でも…」と最後の関門がある。「この『でも』を取り去るのが、3つ目の店頭看板の役割」と河野氏は語る。「でも」の中身は、価格や料理の中身、あるいは自分(たち)が店に入ったときに浮いた存在にならないか、というような具体的な心配事だ。イーゼルやA型看板など店頭看板には、そんな心配を解決し、入店への背中を押す、最後の決定打となる役割がある。

【こんなところにも注目!】様々な情報を整理してアピール!

立地や時間帯によって異なる対応。それぞれを吟味して有効な方法を

「入りやすい店」にするための工夫には、ランチかディナーか、路面店か空中店か、あるいは業態の違いで、取り組み方が異なってくる。そうした違いも考慮に入れ、外観全体を見つめ直すことが大切だ。例えば、「ランチとディナーでは、店頭でアピールする内容が変わってきます」と河野氏。「ランチはディナーに比べて"浮気"をさせやすい。ラーメン店を目指しながら、たまたま目に入ったうどん店で満足するのはよくあること」と河野氏。そうであれば、「ランチでアピールすべきは、振り向かせる"フック"」(河野氏)ということになる。具体的に「○○が、限定20食!」「ドリンク全品、今日だけ無料」など、店が提供する売りを明確に打ち出すことで、高い効果を狙えるようになる。「大切なのは、欲張らないこと」と河野氏は釘をさす。「ランチ客を振り向かせられる自店の魅力とは何かを考え、情報を絞って1点突破することが大事」という。あれもこれも盛り込んでしまうと、結局、何も伝わらない危険性が高くなるからだ。

路面店に比べて、入りやすさにハンデがある空中店の場合も、独自の工夫が必要だ。「空中店は、路面店以上に目的を持って来店するお客様の獲得に力を入れたいですね。同時に、店の入口や位置をわかりやすくアピールする方法を考えてほしい」と河野氏。ビルの入口から店への導線を記したり、窓や壁や階段の活用を考えたり。建物の規模や規定に左右される側面もあるが、空中店ならではの方法もあるはずだ。

また、地方と都会ではアピールする情報が正反対になることも珍しくない。なぜなら「都会になるほど業態や客層が細分化されるので、発信する情報をいかに絞り込んで、目指す相手に届けるかが重要。一方、地方は業態も客層もどれだけ広げられるかが、販促の要」と河野氏。ただ、いずれの場合にも、看板に関しては特に大きな違いはない。「店の外に発信する情報は、店内にお客様を呼び込むためのもの。この点を踏まえて情報を整理し、発信するだけでアピール力はかなり上がります」と語る。

さらに、河野氏は「通行人も住民も入れ替わることを意識したいですね。数十年同じ場所にある店でも意外と知られていない」と指摘する。今一度、店のトータルな外観を吟味し、見直してみてはいかがだろうか。

繁華街から住宅地までチェック「入りやすい店」「入りにくい店」のバランスを磨くには、街歩きを!

「私はよく、何の情報もなしに繁華街を歩き、高い確率でよい店を見つけます。いい店かそうでないかは自ずとわかってきます」と河野氏。冒頭で紹介したように、いい店にはオーラがあり、そんな「理屈では説明できない感覚」を「体験の積み重ねによる感性」で見抜くことが必要なのだ。「飲食店に携わる人は、自分の足で町を歩くことを通して、入りやすい店とはどんな店なのか、それを見抜く感性を磨いてほしい」と語る。しかし、ただ体験の数を増やすだけでも不十分。「看板の書き方」などを本などで勉強することも欠かせないという。そして、河野氏は「人は自分の店のことになると、自己都合、店都合になりがち。顧客目線を貫くことは、想像以上に難しいものです。それを意識し、感性と知識を総動員することが、とても大切」と呼びかける。その積み重ねが、「思わず引きつけられる、入りやすい店」につながっていくのだ。

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