株式会社 リディファインダイニング 河村 剛臣 氏 - 挑戦者たち -

2018/01/24

アイデアをビジネスにできる。
これこそが、飲食業の醍醐味

株式会社 リディファインダイニング 代表取締役社長 河村 剛臣

不動産会社の飲食部門から2016年に独立した株式会社リディファインダイニングは、現在、東京・荻窪でのドミナント戦略で成功を収めている。代表の河村剛臣氏は、未経験で飲食の世界に入り、様々なことを学びながら、2017年には都心の渋谷に新業態をオープンするなど、挑戦を続けている。同社が目指す今後について聞いた。

――不動産会社から、飲食業に進出した経緯を教えてください。

 生まれも育ちも京都で、大学を卒業するまで京都で過ごしました。卒業後に全国展開の不動産会社に入社し、上京。ロードサイドの店舗開発に携わった後、別の会社で学習塾の出店開発やフランチャイズ事業などを手がけました。しかし、大学在学中に友人たちと『自分たちで何かやりたいね』と、夢を語っていたこともあり、その友人たちと2008年、不動産業の株式会社センチュリオンを設立。それぞれ不動産業の経験があったため、順調に軌道に乗せることができました。そんななかでさらなる挑戦をしたいという話になり、2010年、誰も経験のない飲食業界へ進出すると決めたのです。

 なじみのある京都と比べると、東京は安くていい居酒屋が少ないなと感じていたことが、飲食業に進出した理由の一つです。学生時代、好きで通っていた京都の店のような居酒屋を作ることができたら成功するんじゃないか、と考えました。そして、とにかく店を出すと決めて、一気に3つの物件を契約。同年に3店舗を立ち上げたのですが、いま考えると無謀ですよね。

――飲食店経営に関して知識も経験もないなかでの出店は、どうでしたか?

 1号店の「サンダーバード 池袋東口店」は、株式会社subLime(サブライム)のFC。まったくの未経験ということもあり、飲食のイロハをいろいろ教えていただきました。そのおかげで、低投資で出店することができたのは大きかったですね。それから数カ月後には、“京風もつ鍋”というコンセプトを決めて、東京・荻窪に「もつ吉 本店」をオープンしました。「もつ吉」も、サブライムさんの紹介で居抜き物件を借りることができ、コストを抑えて低投資の出店となりました。ただ、実は「もつ吉」は、オープン1カ月前になっても、コンセプトどころか、業態すら決まっていない状態だったんです。そんなバタバタの開業だったこともあって、苦戦。結局、この後に出店した店も含め、半年経った段階で3店舗すべてが赤字でした。そこではじめて「これではダメだ」と思い、本気で見直しを図りました。

 秋にオープンした「もつ吉」でいえば、「京風もつ鍋」がメインなので、オープン景気もあり、寒い季節は悪くなかった。ですが、やはり暖かくなるにつれて売上が落ち込んでいきました。そこで、季節に売上が左右されない店にするため、もつ鍋屋からの脱却を目指して、「京都の希少食材に特化した居酒屋」へとリニューアル。これで売上がV字回復し、飲食業の方もようやく軌道に乗せることができました。

――赤字からのV字回復という体験からどんなことを得ましたか?

 「こうするとお客様に響くのか」「この方法だと、このくらいの早さでお客様に浸透するのか」という実感を得られました。そして、何よりも大きかったのは、「メニューを変更しても、それをお客様に伝えなければ意味がない」ということ。これを身を持って体験できたのは、大きかったですね。この実体験を通して当社では、“情報のアウトプット”に力を入れています。現在、来店いただいたお客様に、店の会員になっていただく取り組みをしていますが、会員数は全店合計で2万人を超えました。その方たちにメルマガで週1回、新メニューやイベント企画の情報などを発信しています。半年も経てば、どんなメニューも古臭くなる。常にブラッシュアップして鮮度を保ちつつ、修正を加えていくことを心がけています。

 一方で、接客の際に積極的にお客様にお声がけをするなど、オペレーションの中に『会員獲得』を組み込んでいます。メニューのリニューアルと、足を運びたくなるような企画を考え、それをお客様にしっかりアプローチすれば、目に見えて効果が出ます。だからこそ、その部分には時間をかけ、ていねいに行うことが必要です。

 それともう1つは、2016年に飲食事業部門が独立した、株式会社リディファインダイニングという会社名にもあるように、「これまでのスタンダードを再定義(リディファイン)する視点」を、大事にしていかなければいけないということ。例えば、国産のレモンを使い、“皮まで食べられるレモンサワー”というコンセプトを打ち出した「広島県産レモンサワー」は、お客様からの反響が非常に大きかった商品です。多くの人になじみのあるレモンサワーに、「国産」「皮まで食べられる」ということを上乗せすることで、大きく差別化できる。もう1つの人気商品である「低温調理のレバ刺し」もそうですが、今まであるメニューでも着眼点を変えて深堀りし、進化させることができれば、新たな価値を生み、また輝く。そのアイデアを導き出すことが、繁盛店へのカギなのだと実感しています。

――その後、新ブランドを含め、次々と荻窪に出店した狙いは?

 2014年には、“丸鶏自家解体”をうたった「とり吉」、神奈川・小田原からの鮮魚と日本酒を売りにした「うお吉」を、さらに2015年には「もつ吉 分店」、2016年に「もつ吉 西荻窪店」をオープンしました。6店舗を荻窪でドミナント展開したのは、お客様のリピート率が高く、知名度・ブランド力を活かしたかったことに加えて、スタッフの行き来などでメリットが大きかったから。そして、2017年6月には都心の渋谷に、「肉割烹 京風もつ鍋 もつ吉 渋谷」を出店しました。本社は渋谷にあるので、なじみのあるエリアではあるのですが、新しい挑戦と言えますね。これからは、荻窪エリアにこだわらず、都内23区での出店を検討していこうと考えています。

――会社としての今後の展望をお聞かせください。

 会社として初年度となった1年を終え、昨年11月から2期目に入ったところ。今期の目標としては、3店舗の出店を掲げています。既存の業態では、鶏業態が好調なこともあり、「とり吉」の出店を計画しています。「もつ吉」については、人材教育、特にOJT(社内教育)に力を入れていく予定です。

 サービスにおいては、これまで感覚で行ってきた接客を、どう言葉に落とし込み、誰もができるようにするのか。そのあたりが課題と考えています。また人材育成の意味でも、私が中心になるのではなく、今後はある程度、ほかの人間に任せていきたい。店長や料理長の「これをやってみたい!」という気持ちを育て、彼らの業務領域を広げる。そうすればポジションが確立し、店長や料理長主導で、現場単位の様々な施策がどんどん生まれ、店舗の活性化にもつながりますから。将来的に全国展開できるような新業態も開発したいと思っていますが、そのために今後は、人材確保を常に視野に入れなければいけない。うまくいけば、その業態で海外進出をしたいと、夢を抱いています。

 不動産業と飲食業の決定的な違いは、アイデアをビジネスにできること。それが飲食業の醍醐味です。今後も常識にとらわれない発想力を持ち、ビジネスとしてシビアに判断しながら業態を開発し、成長していきたいと思います。

河村 剛臣 氏
河村 剛臣 氏
もつ吉(東京・荻窪)
もつ吉(東京・荻窪)
https://r.gnavi.co.jp/gabm701/
西京味噌を使い、京風のアレンジを加えたもつ鍋をはじめ、京野菜や京丹後の鮮魚など、「京都」を売りにした地域密着の居酒屋。
 
肉割烹 京風もつ鍋 もつ吉 渋谷(東京・渋谷)
肉割烹 京風もつ鍋 もつ吉 渋谷(東京・渋谷)
https://r.gnavi.co.jp/r8ezr7y40000/
渋谷センター街の近くに立地する、商業ビル内にオープン。認定生食用食肉取扱者設置施設の許可を取得し、生肉メニューも提供する。
「もつ吉」アルバイトスタッフの卒業式で。彼らが接客時に会員を集めることが、リピートにつながっている
「もつ吉」アルバイトスタッフの卒業式で。彼らが接客時に会員を集めることが、リピートにつながっている
河村 剛臣 氏
Profile
Takeshi Kawamura
大学卒業後に不動産会社に入社。その後、学習塾の出店開発などを経て、大学時代の友人らと株式会社センチュリオンを立ち上げる。不動産業のかたわら、飲食業に参入。順調に店舗を増やし、2016年に飲食事業部門を独立させる形で株式会社リディファインダイニングを設立。
Company Data
会 社 名
株式会社 リディファインダイニング
所 在 地
東京都渋谷区渋谷3-21-11
渋谷サウス9階
Company History
2008年
株式会社センチュリオン設立
2010年
「サンダーバード池袋東口店」、荻窪に「もつ吉 本店」オープン
2014年
「丸鶏自家解体 とり吉」、「小田原鮮魚と純米酒 うお吉」オープン
2015年
「もつ吉 分店」オープン
2016年
株式会社リディファインダイニング設立、「もつ吉 西荻窪店」オープン
2017年
「もつ吉 渋谷店」オープン

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