株式会社 TAKE 代表取締役 竹村 文雄 氏 - 挑戦者たち -

2018/09/20

オール80点以上を維持できる
「使い勝手の良い店」が最高の店

株式会社 TAKE 代表取締役 竹村 文雄

現在、神奈川県川崎市、東京都世田谷区を中心にイタリアン、ステーキ、居酒屋、焼肉など多業態15店舗を展開する株式会社TAKE。代表の竹村文雄氏は25歳で飲食の世界に入り、32歳で独立してから速いペースで会社を成長させてきた。設立から7年、さらに加速する竹村氏に戦略や経営方針、挑戦の原動力を聞いた。

――社会人になって最初に就いた仕事は飲食とは違う業界だったそうですね。

 大学の先輩に声をかけられたのがきっかけで、新卒でテレビ番組の制作会社に就職しました。それまで、ストイックに剣道に明け暮れる生活を送ってきた反動もあったと思いますが、まったく違う世界を見たくなったんです。テレビ業界の仕事は大変と聞いていましたが、剣道でさんざん鍛えられてきたから大丈夫だろうと。でも実際は、気合いや根性だけでやっていける世界ではなく、体調も崩してしまい、1年余りで退職。その後、いくつかアルバイトをして、働くことに前向きになった頃、偶然、求人雑誌で目にした外食企業に25歳で入社しました。

 神奈川・横浜の焼鳥店に配属され、そこで体育会魂に火がつきました。1日でも早く仕事を覚えようと、誰よりも早く出勤し、誰よりも遅く帰る毎日。そのうち通勤時間も惜しくなり、寝袋を買って店で寝泊まりしていました。振り返ると、余計なプライドがなかったことがよかったですね。店長はもちろん、年下のアルバイトにも躊躇なく質問して、どんどん吸収していきました。焼き場を任されるようになった頃、お客様から「威勢がいいね」と褒められ、ビールをおごっていただいたんです。楽しく働いて、人に喜んでもらえ、しかもご馳走もしてもらえる。「この仕事をもっと知りたい!」と思ったのが、ターニングポイントでした。

 その後、別会社のカフェを経て、27歳の時、ご縁があった外食企業の創業メンバーとして入社。6年間、様々な業態の立ち上げなどに携わり、いろいろなノウハウを身に付け、エリアマネジャーも務めさせていただいた後、32歳で独立しました。

――複数の会社でいろいろな経験を積み、準備万端での独立・開業ですね。

 実はそうではなく、どちらかというと衝動的に独立を決めたので、蓄えはありませんでした。不足している開店資金をどう補えばいいか、人に相談したりするなかで、業務委託の話をいただき、東京・五反田と二子玉川で居酒屋を始め、その年の末に直営1号店「イタリアン Bambu [バンブゥ] 溝の口店」をオープンしました。

 この時の出店は、完全に「物件ありき」です。とにかく安い物件を探し、たまたま前職でなじみのあった溝口で出てきた物件でした。住宅街にある16坪の小さな店構えを最初に見たときに、これは居酒屋ではないな、と。地元に住む方々、特に女性が行きたくなるお店は何かを考えて、浮かんだのが居酒屋感覚で使えるイタリアンでした。

 この「物件ありき」の出店は、今も変わっていません。居抜きの安い物件を見つけ、周辺にないオンリーワンの業態を選び、それに適した人材に声をかけます。もともと人とのコミュニケーションが好きで、普段からたくさんの人と対話しながらアンテナを張り、人脈を広げていることは自分の最大の強みかもしれません。そうやって1人ずつ声をかけて仲間を増やし、その繰り返しで出店を重ねてきました。

――業態も様々ですが、店舗運営で大切にしているポイントは?

 業態を問わず、コンセプトは「街に溶け込んだ、使い勝手の良い店」です。最近オープンしたばかりなのに、10年も前からそこにあるかのように自然に溶け込んで、幅広い世代の人々に必要としてもらえる店にすることが戦略です。「このお店、なぜか心地いいよね」と思ってもらえるのが、最高の店なのだと思います。

 そのためには、料理、価格、サービス、空間、すべてのバランスを取ることが重要です。店舗展開をする以上、オール100点を目指すのは現実的ではなく、かといって何か1つが飛び抜けているだけでもお客様は満足しません。ですので、すべてを80点以上にバランスよく保つことを常に意識しています。それには細かいところまで目を配る必要があり、例えば、店頭の看板の書き方1つでも集客は変わってきます。そうしたノウハウはすべて、前職で自ら現場で試行錯誤しながら学びました。そうやってトライアンドエラーを繰り返し、お客様の反応を確かめながら工夫を重ねていく過程は、ものづくりに通じるものがあると思っています。飲食店経営という“ものづくり”が好きだからこそ、ここまで成長することができた気がしていますね。

――100名を超えるスタッフの育成方針について教えてください。

 店のコンセプトや方向性をある程度示したら、後は基本的に現場に任せます。飲食に携わる人、特に料理人は、自らが考えて作った料理を出すことがモチベーションになる。だから売上予算・利益予算さえ守ってくれれば、おすすめメニューは各店で好きに決めていいと伝えています。サービスのマニュアルもありません。スタッフに望むのは、常に「自分がお客様ならどう感じるか」という目線で考えること。自分がされてうれしいことは何か、想像を膨らませて実行することが、当社のマニュアルです。伸び伸びと飲食業という仕事を楽しんでほしい。そうしないと長く続かないと思うからです。

 独立志向を持つ社員には、自分の経験からも、完全独立ではなく社内独立をすすめ、いずれはホールディングス化したいと考えています。そうすることで、本人たちもリスクを減らせ、グループ全体の力を高めることにもなる。何より、独立した後に孤独感や責任の重さから精神的に参ってしまう後輩を数多く見てきたので、何かあればすぐに手を差し伸べられる体制を整えたいという思いがあります。

 今いるメンバーの給料を少しでも上げ、環境をよりよくするには会社の規模を大きくすることが重要で、当面の目標として50店舗を掲げています。ただし、やみくもに増やす考えはなく、高い家賃を払って都心に出店しようとも思いません。我々のコンセプトである「街に溶け込んだ使い勝手の良い店」は、現在出店しているエリアのように、都心から外れているからこそ実現しやすいのも事実。無理をせず、手堅くバランスを取りながら、地道にやっていこうと考えています。

――「手堅く」の言葉とは逆に、実際の拡大のスピードは非常に速いですね。

 それは、経営者としての区切りを50歳にしているからです。今40歳なのであと10年間、20年分働こうと思います。自分を追い込むことが嫌いではないので、おのずと加速するしかない。

 これまで、店を閉めたこともありますが、動じることなく受け止めてきました。これは性格で、「どうにかなる」「なんとかする」という負けず嫌いな気持ちが人一倍強く、それも前に進む原動力になってきたと思います。

 そして、ずっと変わらず根底にあるのは、寝袋で店に泊まり込み、夢中で焼鳥を焼いていたあの頃の楽しさです。10年後は飲食に関連する何か新しい事業を始めているかもしれないし、もしかしたら、海外で一から挑戦しているかもしれない。でも間違いなく、「人を喜ばせたい」という原点は、これからも変わらないと思います。

竹村 文雄 氏
竹村 文雄 氏
魚と酒 ことぶきや 成城学園前(東京・世田谷区成城)
魚と酒 ことぶきや 成城学園前(東京・世田谷区成城)
https://r.gnavi.co.jp/npvavwzc0000/
新鮮な魚介や契約農家直送の鎌倉野菜を使った料理が売り。個室・半個室も備え、宴会や接待、記念日での利用もニーズが高い。
 
一軒家Bistro Ergo[エルゴ] 溝の口(神奈川・川崎市高津区)
一軒家Bistro Ergo[エルゴ] 溝の口(神奈川・川崎市高津区)
https://r.gnavi.co.jp/eeh6udjr0000/
和牛を中心とした銘柄肉の炭火焼きと鎌倉野菜、ワインを楽しめる一軒家酒場。日替わりの厳選した赤身肉の希少部位が人気。
「バランス」と「チームワーク」を重視して店舗を運営。100名を超えるスタッフとのイベントも開催する
「バランス」と「チームワーク」を重視して店舗を運営。100名を超えるスタッフとのイベントも開催する
竹村 文雄 氏
Profile
Fumio Takemura
1978年、埼玉県出身。小学校から大学まで剣道一筋に打ち込む。大学卒業後、テレビ番組の制作会社勤務を経て、飲食業界へ。焼鳥店、カフェなどで働いた後、外食企業の立ち上げメンバーとして入社。店舗運営などを学び、2011年に独立・起業。現在、7業態15店舗を展開する。
Company Data
会 社 名
株式会社 TAKE(テイク)
所 在 地
神奈川県川崎市高津区下作延2-5-41-701
Company History
2011年
株式会社TAKE設立。直営1号店の「イタリアン Bambu 溝の口駅前店」オープン
2012年
「ステーキ&ワイン Bambu 久地駅前」など3店舗オープン
2014年
「肉と炭火焼イタリアン Bambu due 溝の口」オープン
2015年
「焼鳥串焼 炭たけ 二子新地」など3店舗オープン
2016年
「一軒家Bistro Ergo 溝の口」などオープン
2018年
「焼肉じん 二子玉川」など3店舗オープン

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