2015/04/13 繁盛の法則

ボリュームとシズル感が圧巻のステーキ・ハンバーグ店とは

「ヒーローズステーキハウス秋葉原店」(東京・秋葉原) に学ぶ-1ポンド(約450g)以上のステーキやハンバーグを食べられる専門店である同店は、食欲旺盛な20~30代の男性に抜群の人気を誇る。

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ヒーローズステーキハウス秋葉原店

秋葉原の繁華街のはずれ、路地沿いにある15坪24席の店舗に、1日240~250人が来店している

Key Point

  1. ステーキやハンバーグの商品力を確立
  2. ボリューム感で男性客の支持を獲得
  3. シズル感など演出にも工夫

繁盛店の指導を受け、喫茶店からステーキ店に転換

1ポンド(約450g)以上のステーキやハンバーグをガッツリ食べられる専門店として、「ヒーローズステーキハウス秋葉原店」は、食欲旺盛な20~30代の男性に抜群の人気を誇る。パソコンや電化製品の街であり、最近ではアニメ、コスプレなどのサブカルチャーの聖地としても注目される秋葉原だが、同店は繁華街の外れの細い通り沿いにあり、隠れ家的な風情を持つ。11時の開店前からウエイティングの列ができ始め、ランチタイム後もコンスタントに来客があり、15坪24席の店舗で1日240~250人を誘引している。

経営元は株式会社おとぎやで、ヒーローズの創業は1992年にさかのぼる。同社の渡辺浩志社長は、もとは東京・笹塚で喫茶店を経営していた。あるとき、指をけがして数日間店舗の運営ができなくなり、その際、「もっとお客様に喜んでもらえる店にするにはどうしたらいいか」と、秋葉原店の現店長である片山茂晴氏とともに、他の繁盛店を視察して回った。中でも感銘を受けたのが、当時下北沢にあったステーキ・ハンバーグの「ふらんす亭」だった。まだ同店がチェーン展開を始める前だったが、熱々の鉄板で提供するスタイルが人気で、渡辺氏はその場で同店の店長に指導を依頼した。その指導の下に、喫茶店を業態変更して1992年1月に誕生したのが、笹塚の「ヒーロー」(後にヒーローズに改名)である。この店舗が「ふらんす亭」のフランチャイズ展開のコンセプトモデルとなり、1998年6月にはフランチャイズに加盟して「ふらんす亭秋葉原店」を出店した。そして10年間営業した後、2008年2月にチェーンを離れて誕生したのが現在の秋葉原店である。転換時には看板などは一新したが、店内の基本的なレイアウトはほぼ踏襲することにした。商品面では、ソース類を店内で手作りするようになり、2ポンドステーキ、さらには3ポンドステーキ(要予約)といった、ボリュームのあるアイテムを充実させていった。

熱々の鉄板で提供される「1ポンドチャックステーキ」(単品、税込み1,868円)。平日ランチタイムは同価格でライス、スープつき。夜のライス、サラダ、スープつきのセットは2,311円。1ポンド以上のステーキには旗を立てて提供する

肉の産地、配合、ソース、温度、提供法などを逐次改良

ステーキ1枚の重量としては、150g、200g、300g、1ポンド、2ポンドと豊富に揃えているが、中でも人気が高いのは1ポンドで、「チャックステーキ(肩ロース)」(単品、税込1868円)、「サイコロステーキ」(同1976円)、「リブロースステーキ」(同3110円)がある。牛肉は、アメリカ産、オーストラリア産などを使用した時期もあるが、現在はメキシコ産の若い雌牛の肉を使っている。厨房内の火力の強い厚い鉄板のグリドル(鉄板焼器)でミディアムの状態まで焼き、熱々の鉄板で提供する。「ふらんす亭」の頃は、厨房でソースをかけてから客席に運んでいたが、「ヒーローズ」ではよりシズル感を高めるため、客席でソースをかけるようにした。ソースは5種類を揃え、鉄板の上で若干煮詰まった状態でちょうどいい味になるように仕上げており、デミグラスやクリーミーガーリックなど粘性の強いソースは、鉄板上でのはね返りが強すぎないように、ソース自体の温度をやや低めにして提供する。

ハンバーグも手作りで、改良に改良を重ね、牛肉6割、豚肉4割の黄金比に行きついた。ソテーしたタマネギのみじん切り、生パン粉、全卵を加えて手ごねし、6種のスパイスや赤ワインを加えて深みを出し、ジューシーさと肉感を併せ持つ独自の味わいとしている。「1ポンドハンバーグステーキ」(1436円)のほか、200g、300g、2ポンドを揃え、ステーキとハンバーグの両方を1度に味わえる盛り合せの「コンボ」も用意している。

平日の11時30分から15時までは、ステーキやハンバーグの単品価格のままでライスとスープが付き、客単価は1500円。15時以降は、ステーキなどの基本価格に443円増しでライス、サラダ、スープが付くセットを用意しており、客単価は2300~2400円になる。夜にアルコール類をオーダーするお客は1~2割程度で、食事目的での来店が圧倒的に多い。平均月商は1370万円で、過去14カ月、連続で前年同月比2ケタ増と、好調に推移している。

同店がステーキ・ハンバーグの専門店として、周辺のサラリーマンや秋葉原を訪れる人たちに支持されている要因は、以下のようになるだろう。

1ステーキの肉質、ハンバーグの配合、ソースなどで改良を重ね、確かな商品力を確立している。
21ポンド以上のボリュームのある商品群で若い男性客を引き付けている。
3熱い鉄板上でソースがはねるシズル感など、ステーキをおいしく感じさせる演出にも工夫している。

「飲食業では、お客様にどう感じていただけるかがいちばん大事なので、そのために私たちは何をしなければならないかを考えながら仕事をしないといけません。お客様が心地よく食事をされ、楽しく帰っていただけることをこれからも追求していきたいです」と、店長の片山氏は好調さにおごることなく、真摯な姿勢を見せている。

住所
東京都千代田区外神田1-6-7 秋葉原センタービル1F
TEL 03-3258-5636
営業時間
11:00~21:30(L.O.21:00)
定休日
無休