幅広い客層の気軽な利用を促すうなぎ・川魚専門店とは - 繁盛の法則 -

2017/10/05

老舗問屋直営の「まんまる 池袋店」(東京・池袋) に学ぶ

幅広い客層の気軽な利用を誘引する、うなぎ・川魚専門店とは

数量限定の「まんまる丼」を
目当てに連日行列が出現

 近年価格が高騰し、高級魚というイメージがより強くなっているうなぎだが、蒲焼きにしたときの食感や深みのある味わい、栄養価の高さなど、ほかに代用できるものがない、際立った存在感を持つ食材といえよう。

 そのうなぎを、できるだけ多くの人たちに気軽に食べてほしいというコンセプトで1999年にオープンした「まんまる池袋店」は、連日、開店前から行列ができる人気店である。13坪15席という小規模店ながら、ランチタイムだけで1日70~80人、夜も30~40人が来店している。

 ランチの開店前に並ぶお客のほとんどが目指すのは、20食限定の「まんまる丼」(1000円)である。約120gの蒲焼きがのり、通常の「うな丼」(蒲焼き約90g、昼1350円、夜1680円)よりもボリュームがあるため、並んでも食べたい一品としてお客を引き付けている。

 この価格を実現できているのは、同店が埼玉県さいたま市に本社を置く、川魚卸業の株式会社鯉平の直営店だからだ。鯉平は明治30年(1897年)創業で、今年120周年を迎えた老舗である。うなぎ、鯉、ナマズ、ドジョウ、すっぽんといった川魚、およびそれらの加工品を扱い、埼玉県内でのシェアは60%以上を占める。「まんまる丼」は、卸し先が希望するサイズと合わないために、販売できない規格外のうなぎを集めて加工し、数量限定で提供しているもので、多少不揃いではあるものの、問屋直営店ならではのお値打ち感のある一品だ。また、うなぎを捌いて、串に刺し、白焼きにするところまでは本社の加工場で行い、店舗では蒸して、タレをつけながら炭火で焼く作業を行っている。

 「まんまる丼」は開店早々に売り切れてしまうが、「うな丼」のほか、薬味や出汁などで3種の味わいを楽しめる「ひつまぶし」(昼1680円、夜2450円)、蒲焼き約120gをのせた「上うな重」(昼2600円、夜2850円)も、ランチでは割安価格で提供。さらに「煮玉子」(110円)、「肝のせ」(230円)などのトッピングを追加したり、アルコール類とともに楽しむお客もいるため、昼の客単価は1600円になる。

川魚を使った創作料理で
居酒屋利用を誘引

 夜は、うな丼、うな重などの定番メニューに加え、うなぎの串ものや、川魚を使った酒肴や創作料理を提供。朝引きの「鯉の洗い」(小650円、中1000円)、「どじょうの柳川鍋」(1200円)、砕いたせんべいを衣にした「なまずの香煎揚げ」(750円)など、独特のアイテムをそろえている。料理に合わせる酒類は、日本酒と焼酎に力を入れており、夜の客単価は3600円になる。

 さらに、うなぎ店の強さとして、蒲焼きやうなぎ弁当のテイクアウト、近隣地区へのデリバリーでの売上が高い点が挙げられる。特に、うなぎの最大の需要がある土用の丑の日は、同店も店前にテントを張り、うなぎ弁当の販売に注力。通常は、弁当も注文を受けてから作り始めるが、その日ばかりは、店内のメニューを絞って営業しつつ、終日弁当を作り続けても間に合わないほどの状況となる。2017年は、7月25日の丑の日と前日の25日に、1500円と2300円の弁当2種の店頭販売を行った。前日でも約60個、当日ともなると約700個を販売し、盛況だった。

 同店がうなぎ・川魚専門店として、独自のスタイルを確立している要因は、以下のようになるだろう。

1老舗問屋直営店ならではの商品をリーズナブルな価格で提供する。
2「まんまる丼」という目玉商品でコンスタントな集客を保つ。
3居酒屋利用やテイクアウト販売で利用動機を広げている。

 同社が直営飲食店の1号店として池袋に出店したのは、埼玉県内の卸し先との競合を避けるという意味もあった。「まんまる」という店名には、卸し先、顧客、スタッフ、地域の人たちも含め、すべての関係が「まんまる(円満)に収まるように」という願いが込められている。現在は、埼玉県内にも「かのうや」(さいたま市)、「忠八」(東北自動車道羽生PA内)という、うなぎをメインとする直営店を経営。また2016年4月には、都内での2号店となる「まんまる新橋店」を出店し、計4店舗体制となっている。

 「今後も直営の飲食店を増やしていく考えですが、都内であれば『まんまる』という屋号になると思います。いい物件との出合いも重要ですし、来年の展開に向け、今年は次の店舗を出すための準備を含め、いろいろと取り組んでいます。また、池袋店は『うなぎと地酒』、新橋店は『うなぎと麦酒』と謳っており、うなぎに合わせる酒類は店舗によって変わっていくかもしれません」と、池袋店で店長を務める杉田智昭氏は述べている。

Key Point
1. 問屋直営ならではの商品と価格を実現
2. 訴求力ある「まんまる丼」で集客
3. 居酒屋利用やテイクアウト需要に対応
SHOP DATA
住所 | 東京都豊島区池袋2-13-8 光陽ビル1F
TEL 03-3980-5616
営業時間
11:00~15:00(L.O. 14:40)、17:00~22:30(L.O. 22:00)
定休日 | 日曜日・祝日
https://r.gnavi.co.jp/a102200/
池袋駅西口の繁華街に1999年に出店した13坪15席の店舗
池袋駅西口の繁華街に1999年に出店した13坪15席の店舗
うなぎを主力に、川魚を使った創作料理を提供。約90gの蒲焼きをのせた「うな丼」(昼1,350円、夜1,680円)は、吸い物、お新香つき。独特の歯ごたえがある「鯉の洗い」(小650円)には、酢みそを添える。「串焼き三種盛合せ(」750円)は、左から、「つくね」(三種盛りのみで提供)、頭の部分の「鰻のかぶと焼き」(単品260円)、うなぎの腹からしっぽにかけての肉をねじりながら巻いた「くりから」(単品260円)
うなぎを主力に、川魚を使った創作料理を提供。約90gの蒲焼きをのせた「うな丼」(昼1,350円、夜1,680円)は、吸い物、お新香つき。独特の歯ごたえがある「鯉の洗い」(小650円)には、酢みそを添える。「串焼き三種盛合せ(」750円)は、左から、「つくね」(三種盛りのみで提供)、頭の部分の「鰻のかぶと焼き」(単品260円)、うなぎの腹からしっぽにかけての肉をねじりながら巻いた「くりから」(単品260円)

Text and Photo by Food Biz

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