北海道展での実績を基盤に多店舗化する揚げ鶏居酒屋とは - 繁盛の法則 -

2018/09/05

北海道・小樽発祥の「なるとキッチン 五反田店」(東京・五反田) に学ぶ

北海道物産展での実績を基盤に多店舗化する揚げ鶏居酒屋とは

小樽名物の若鶏半身揚げを
全国の北海道物産展で販売

 豪快な「若鶏半身揚げ」(994円)や大振りの「ザンギ」(鶏の唐揚げ162円~)といった個性的な鶏の揚げものを主力商品とする、北海道・小樽が発祥地の「なるとキッチン」は、今後、全国規模での店舗展開を加速させていく考えだ。

 これまでに株式会社TREATの直営店として、2017年1月18日に札幌・すすきの店、同年5月12日に東京・五反田店と渋谷店を出店してきたが、2018年9月6日には初ののれん分けである広島店がオープンし、西日本への進出も果たしている。

 同店のルーツは、1957年に小樽で創業した「若鶏時代なると」にさかのぼる。創業者の長女が1980年にのれん分け店「ニューなると」を同じく小樽にオープンし、若鶏半身揚げは小樽の名物のひとつとして親しまれるようになった。その後、「ニューなると」の経営者の息子で、創業者の孫にあたる1974年生まれの佐藤友昭氏は、創業時からの伝統を守りつつも新しい挑戦を続けており、10年ほど前から全国各地での北海道物産展や各種イベントに出展。着々と若鶏半身揚げの知名度を高めてきた。

 物産展やイベントを各地で主導してきたのが、現在、同社でディレクターを務める中西貴昭氏である。中西氏は1980年に東京で生まれ育ったが、祖母が札幌在住で北海道と縁が深く、大学生の頃から北海道物産展の関係者と仲よくなり、アルバイトとして手伝うようになった。その後は本業として、旭川ラーメンの販売を手がけたが、次第にほかの業態からも声がかかるようになり、その1つが小樽名物の若鶏半身揚げだった。中西氏は東京を拠点にチームを組み、最終的には年間220件ほどの催事やイベントをこなし、年商約5億円を上げていた。なお、催事出展時は実演販売のスタイルで、若鶏半身揚げとザンギをその場で揚げ、持ち帰り用として販売していた。

 その後、店舗展開が可能な業態として「ニューなると」に絞り込み、佐藤氏を代表取締役とし、2017年1月にTREATを設立した。また、大衆食堂だった「ニューなると」の伝統を継承しながら、酒や酒肴も充実させた大衆居酒屋に進化させた業態が「なるとキッチン」であり、今後は同業態の展開に専念する方針を固め、小樽の「ニューなると」は2018年4月で閉店した。

部位ごとに異なる調理法で
鶏専門店らしい商品を開発

 若鶏半身揚げは、鶏肉を安定的に仕入れるために業者や産地は固定しないが、すべて国産のチルドとし、生後45日前後のひな鳥で、大きさを指定し、内臓を取り除いた状態で仕入れている。前日にオリジナルスパイスで下味を付け、オーダーごとに210℃の油で10分素揚げし、揚げたてを提供する。肉に数カ所切れ目を入れているため、食べるときにはムネ、モモ、手羽、ささみなどに、手で簡単に解体することができる。ほかのメニューに使う鶏肉は部位ごとに仕入れ、味付けや揚げ方はそれぞれの部位に応じて変えている。そのため、五反田店では3台のフライヤーを装備し、使い分けている。

 「ももザンギ」(194円)、「むねザンギ」(194円)ともに、1個80~105gにカットしており、ボリューム感、ジューシーさが際立つ。食べ切れない場合は持ち帰ることができるほか、しっかり加熱調理してあるメニューはテイクアウトも可能とし、テイクアウトが売上の約10%を占めている。

 五反田は、ビジネス街と住宅街の両面を持ち、同店は五反田駅から徒歩5分ほどの場所にある。18坪36席の規模で、サラリーマンやOL、小さい子どもを含む家族連れ、年配者など幅広い客層に支持されている。特に、北海道出身者が、「自分の故郷の名物料理だから」と、知人や友人を連れて来店するケースが多い。昼は客単価904円で1日80~120人、夜は客単価3500円で1日60~90人が来店し、平均月商700~800万円を上げている。フードとドリンクの売上比は終日で63%対37%と、食事利用がメインとなっている。渋谷店も、18坪38席で月商600~650万円と好調なスタートを切っている。同店がインパクトの強い鶏料理で支持されている要因は、以下のようになるだろう。

160年の歴史を誇る若鶏半身揚げという個性的な商品を訴求している。
210年にわたる物産展やイベントへの出展により、全国的な知名度を築いてきている。
3直営、およびのれん分けで、全国展開を推進する体制を整えている。

 「今後4年間で国内、海外合わせて60店舗まで増やしたいという計画を立てています。そのうち3~4割は直営でいきたいですね」と語る中西氏。計画の実現に向け、着実に動き出している。

Key Point
1. 若鶏半身揚げという特徴ある商品を訴求
2. 物産展により全国的な知名度を構築
3. 直営、およびのれん分けで全国展開を推進
SHOP DATA
住所 | 東京都品川区西五反田2-26-4-1F
TEL 03-6417-0780
営業時間
11:30~14:30、17:00~23:00(土曜日・祝日は夜のみ)
定休日 | 日曜日
大通りからやや外れた立地で、幅広い客層を誘引する五反田店
大通りからやや外れた立地で、幅広い客層を誘引する五反田店
手前が「若鶏半身揚げ」(994円)で、生後45日前後のひな鶏の半身を素揚げしたもの。奥が「鶏肉全種盛り」(1,987円)で、ももザンギ、むねザンギ、手羽先ザンギ、レバー、ハツ、ぼんじりなど全10種を盛り合わせ、タルタルソース、おろしポン酢、粉しょうゆを添えている。この2品のどちらか、もしくは両方をオーダーするグループがほぼ100%を占める
手前が「若鶏半身揚げ」(994円)で、生後45日前後のひな鶏の半身を素揚げしたもの。奥が「鶏肉全種盛り」(1,987円)で、ももザンギ、むねザンギ、手羽先ザンギ、レバー、ハツ、ぼんじりなど全10種を盛り合わせ、タルタルソース、おろしポン酢、粉しょうゆを添えている。この2品のどちらか、もしくは両方をオーダーするグループがほぼ100%を占める

Text and Photo by Food Biz

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