氷温熟成で旨みがアップ。「一流」にこだわるブランド牛
風光明媚な那岐山(なぎさん)の南麓に位置する岡山県奈義町(なぎちょう)。そこに広がる日本原高原が「なぎビーフ(奈義牛)」の産地だ。「『なぎビーフ』の生産は、約25年前に奈義町産ブランドの確立を目指して始まったものです」と話すのは、「なぎビーフ」を生産する牧場のひとつを営む「オリジナル キューチ」の豊福祥旗氏。「一人でも多くの人に、『なぎビーフ』のよさを知ってもらいたい」と、社名には「究(キュー)極の地(チ)産地消」という気持ちを込めた。また、豊福氏は、元々5つの農家が集まって始めた、全国でも珍しい共同経営牧場「伍協牧場」の三代目でもあり、畜産家の仲間と切磋琢磨して「なぎビーフ」の生産・広報に取り組んでいる。
「なぎビーフ」には黒毛和牛と交雑牛(黒毛和牛とホルスタインの交配種)の2種の牛がいて、飲食店には主に、黒毛和牛の繊細な脂身とホルスタインの肉々しさを“いいとこどり”し、霜降りと赤身のバランスに優れた交雑牛を出荷する。「奈義町は開けた土地で畑や水田も多く、良質のワラなど、餌はすべて町内でまかなえます。独自配合の飼料も使い、それらはすべて牛舎内で与えるほか、1日2~3時間“遊牧”して運動させます。そうやって徹底的に管理することで、脂の乗りや肉付きがよくなり、個体差もなくなります」と豊福氏。
また、「氷温熟成」も「なぎビーフ」の大きな特徴。これはマイナス0.5~1.5℃の氷温庫で1.5~2カ月、部位によっては100日以上かけて熟成を行い、肉の濃厚な旨みや豊かな甘みを増加させるもの。出荷はすべてチルドで、手間暇かけた極上の逸品だ。
この「なぎビーフ」で新メニューを開発したのは、岡山市内に店舗を構える「十八番屋」。「2月に店をリニューアル。新しい食材の採用を検討していたとき、ぐるなびの『岡山食材フェア』に参加して『なぎビーフ』に出合いました」と、寺井保 店長。今回仕入れた部位はサーロイン。「焼く」のは一般的で、「煮る」「蒸す」は肉の旨みを損なう。そこで、天ぷらを試作してみたところ、十八番屋でブレンドして使用している油と、肉の脂の相性がよく、大葉を巻いて揚げることで風味と食感もアップ。こうして「奈義牛サーロインの天ぷら 山葵添え」が完成した。今年2月のフェアではほかにも、酒の肴にぴったりの「奈義牛サーロイン味噌漬 ミディアムレアステーキ」も提供。「岡山は年間多くの学会が開催されるので、県外からの来客も多いのです。こうしたお客様からのオーダーもたくさんあり、好評でした」と寺井氏。
「岡山食材フェア」でつながった、生産者の熱い思いと、新メニュー開発を探る店。今後も新たな料理の輪が広がっていくことだろう。
オリジナル キューチ
岡山県勝田郡奈義町中島西1267
http://www.quchi.co.jp/
「なぎビーフ(奈義牛)」を生産する5つの牧場の1つ。生産部門(奈義牛肥育)の「Original Quchi( オリジナル キューチ)」、加工品部門と直売の「QUCHI+(キューチプラス)」のほか、直営レストラン「キューチ」も展開している。
十八番屋(おはこや)
岡山県岡山市北区平和町5-26
http://r.gnavi.co.jp/f6zgrb8y0000/
2016年2月、寿司と天ぷらを売りにした創作料理を提供する和風居酒屋にリニューアル。地元・岡山の厳選された旬の食材をふんだんに使った日替りメニューも好評。ビジネス層を中心とする常連客はもちろん、観光客からの支持も高い。
「産地フェア」で全国の食の魅力を発信!
http://r.gnavi.co.jp/foodfair/
テーマにあわせた各地の食材フェアをぐるなびが紹介する「産地フェア」。全国の“厳選食材”の生産者と飲食店を結び、ユーザーに提供することで、お店のファン獲得を狙うこの企画。実施エリアや開催スケジュールなどの問い合わせは担当営業まで。