多彩なアジ料理で集客する食堂兼ちょい呑み居酒屋とは

鯵家 赤羽店

「裏赤羽」に位置する、海の家をイメージした店舗。以前は男性が約8割を占めていたが、最近は女性も増え、約4割を占めている

「裏赤羽」に位置する、海の家をイメージした店舗。以前は男性が約8割を占めていたが、最近は女性も増え、約4割を占めている

Key Point

  1. 鳥取県・境港から直送されるアジを使用
  2. アジを使った多彩な料理を開発
  3. 食事と“ちょい呑み”で終日集客

鳥取・境港の工場から半身の冷凍真アジを入手

 アジは身近な魚だが、アジだけの専門店となると都内でも珍しい。東京・赤羽のその名も「鯵家(あじや)」は、アジを使った丼ものや定食での食事利用と、ドリンクとアジの酒肴のいわゆる“ちょい呑み”利用を誘引し、地元の人気店として成長している。

 専門店らしく、アジの刺身、たたき、なめろう、蒲焼、炙り焼き、天ぷら、唐揚げ、アジフライ、アジメンチなど、アジだけで多彩なメニューを用意している。なかでも人気なのは、お客の約半数がオーダーする「鯵家定食」(820円)で、アジたたき丼に、アジフライ、のり、小鉢、みそ汁、香の物がつく。また、ちょい呑み利用としては、「生ビールセット」(500円)が定番で、生ビール、日本酒、焼酎、白ワイン、ハイボールのいずれか1杯と、アジのたたき、フライ、蒲焼き、アジメンチ、シメアジ、冷奴のいずれか1品を選べる。同店は昼夜通し営業で、メニューも価格も終日同じにしており、昼間から生ビールセットをオーダーする人も多い。

 使用しているアジは、鳥取県・境港で水揚げされた真アジで、すぐ近くの加工場で三枚に下ろし、その半身(フィレ)を真空パックにし、冷凍された状態で同店に届く。時化(しけ)などで漁に出られない日もあることから、店内に大型の冷凍庫を設置し、3日分ほどはストックできるようになっている。

 アジのおいしさをストレートに味わってもらうアジたたき丼は、特製のタレでも差別化している。大分県産の色がごく薄い白口しょうゆ、鹿児島県産でアミノ酸を豊富に含む料理酒の黒酒、ショウガの搾り汁、ハチミツなどを独自に調合したもので、このタレがアジの繊細な味わいを引き立てている。

一番の人気商品「鯵家定食」(820円)。平日は約60食、土・日曜日は約100食を販売する。特製のタレがかかったアジたたき丼、店内でパン粉づけして揚げるサクサクのアジフライ、のり、小鉢、みそ汁、香の物がつく

一番の人気商品「鯵家定食」(820円)。平日は約60食、土・日曜日は約100食を販売する。特製のタレがかかったアジたたき丼、店内でパン粉づけして揚げるサクサクのアジフライ、のり、小鉢、みそ汁、香の物がつく

丼もの4品のみでスタートし、徐々にバリエーションを強化

 オープンは2014年1月30日で、13坪24席の店舗は海の家をイメージし、空の青、雲の白をテーマカラーに、大衆的な雰囲気にまとめている。近年、活気あるエリアとして注目されている赤羽だが、同店はJR赤羽駅東口のアーケード街「LALAガーデン」から1本路地を入ったところにあり、「裏赤羽」と称されるマニアックな場所にある。経営は、2013年12月設立のビーアールスタンダード株式会社で、現在は同店のみを運営している。2017年2月1日から2代目社長を務める中西大祐氏、立ち上げから関わってきた雲川智久氏などが中心となっているが、当初からの「1日を通して利用される食堂兼ちょい呑みで、誰もが気楽に立ち寄れる憩いの場」というコンセプトは、前社長とともに確立してきたものだ。しかし、前社長は2014年8月にくも膜下出血で倒れ、入院。リハビリ後に復帰したものの、若干まひが残っていたため、2017年1月末に代表を退いた。

 コンセプトはオープン時から変わらないが、当初はメニュー数も少なく、価格の安さに重点を置いていた。半年ほどは、アジたたき丼とアジフライ丼が各380円、アジ天丼と、途中で追加したアジメンチ丼が各480円という4品だけで営業していた。ご飯も1人前150gだったので、お客から「物足りない」と言われることが多く、客数も伸び悩んだ。そこで、半年後にご飯を250gに増量し、アジのフィレも1枚ずつ増やして、価格は丼もの単品500円~に改定した。1年後にテレビ番組で紹介されたことがきっかけとなり、地元での知名度が一気に上がった。同時にメニューも徐々に増やし、専門店として磨きをかけてきた。現在の客単価は1日平均で650~680円で、平日は100~130人、土・日曜日は約200人を集客し、平均月商260~270万円を上げている。

 同店が終日気軽に立ち寄れるアジ専門店として認知されてきた要因は、以下のようになるだろう。

1鳥取県・境港の加工場から、衛生的かつ安定した状態でアジを仕入れている。
2お客の要望を聞きながらアジの多彩なメニューを開発し、専門店として磨きをかけている。
3丼ものや定食での食事利用と、“ちょい呑み需要”に1日を通して対応している。

 前社長は「鯵家」の多店舗化を目指し、実際に板橋区役所前と東十条に出店し、一時は3店舗体制となった。しかし、自身の体調と、まだ後続の2店舗が軌道に乗る前だったことから、ひとまず2店舗は閉店し、常連客が増えてきた赤羽店に集中することにした。

 その後もテレビでの紹介や、テレビドラマの舞台になるなどして、赤羽店が軌道に乗ってきた今、新たな店舗展開も現実味を帯びてきた。雲川氏は、「中西と私がいれば、1、2年後に赤羽にもう1店というのは可能と考えています。その後、3~5年以内に浅草、新橋に各1店舗出店できたらという希望と夢を持っています」と語っている。

SHOP DATA

住所
東京都北区赤羽2-12-3
TEL 03-6903-8236
営業時間
10:00~21:40(L.O.)土・日・祝9:00~21:30(L.O.)
定休日
無休

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