飲食店物件探し

飲食店の物件探しのノウハウと、探すときに知っておくべきこと

飲食店の成否は、物件に左右されるといっても過言ではありません。店舗の立地や外観デザイン、内装、広さなど…初期費用や家賃などもかかるため、経営計画とも大きく関連してきます。物件の探しの基礎知識と探し方を、チェックリストと共にご紹介します。

飲食店物件選び 2017年3月22日

飲食店の成否は、物件に左右されるといっても過言ではありません。店舗の立地や外観デザイン、内装、広さなど…初期費用や家賃などもかかるため、経営計画とも大きく関連してきます。物件の探しの基礎知識と探し方を、チェックリストと共にご紹介します。

飲食店に適した物件を探すための基礎知識

さあ、いよいよ物件探しです。しかし物件探しの前に、物件契約から店舗完成までの流れの基本を押さえておきましょう。
物件探しに気を取られていると、肝心の手順がおろそかになってしまいます。物件を探して契約し、正しい手順を知っておくことが、重要です。

物件契約から、店舗完成までの流れ

1.出店希望地や具体的な物件を検討(開業の5か月前)
まずは、あなたが出したい飲食店の業種(ジャンル)、業態(ファーストフード形式やレストラン形式など)を決めたら、出店エリアと具体的な物件を決めましょう。「ここだ!」と思える物件に出合うのは簡単なことではありません。相性の良い不動産業者の方に出会えないこともしばしば。だからこそ、早めの行動が求められます。

2.市場調査(開業の4~5か月前)
あなたが出すお店がその地域で受け入れられそうかどうかを調べるものですが、専門業者を使わなくともある程度は自分でできることがあります。
調べておくと役立つ項目は、駅からの距離や人通りの量、年齢層、生活レベル、地域性、そして競合店のレベル、集客具合、値段設定など。これらは総務省統計局のホームページや「外食市場調査」などオープンにされている情報源を参考にしたり、そもそも自分で実際に該当地域や人気店に行ってみて年齢層や時間別の客層を調べてみたりするのもいいでしょう。

3.店舗デザイン・工事(開業の3か月前)
希望のデザインイメージができれば店舗専門の業者に依頼し、プロの経験と意見を参考にしつつ作り上げていきましょう。

4.営業許可を申請(開業の2か月前)
飲食店の開業には、保健所への飲食店営業許可の申請が必要となります。各自治体の保健所には、食品衛生監視員という飲食への営業許可などを担当する方がいます。工事にかかる前に、店舗が基準に合っているかどうか食品衛生監視員に相談しておきましょう。
飲食店営業許可の手続き・流れ

5.店内設備の手配(開業の2か月前)
すべての店内設備を新規購入する必要はありません。中古の厨房設備を扱っている業者も存在するため、適宜見積もりを取るようにしましょう。中古設備を織り交ぜることで初期投資も抑えることができます。 また、長期的な目で見ると中古を購入したほうが出費を抑えられるので、リース契約もあまりおすすめできません。

6.メニュー開発(開業の1か月前)
お店のメニューを考えることは、お店の未来を決めるとても重要なステップの一つです。あなたは、なぜ「お気に入りのお店」に通いますか?おそらく、必ず注文したくなるお気に入りのメニューがあるのではないでしょうか。 あなたがいちばん作りたい、自信があるお店独自の「看板メニュー」を作ることで、常連を作れる可能性が高まります。もちろん、原価率や粗利もきちんと計算しておきましょう。

7.仕入れ業者を決定(開業の1か月前)
原価を抑えるために、仕入れ業者の選定は非常に重要です。ただ安いだけではなく、質のいい材料や特殊食材を仕入れるルートを知っているかどうかでお店の今後の経費が変わってきます。
例えば、地元の仕入れ業者だけでなく、可能であれば安定して供給してもらえそうな近くの農家さんや紹介してもらった専門業者さんなど。これらも仕入れ価格はしっかり決めて原価率も計算しておきましょう。

8.オープン告知(開業の4週間~2週間前)
チラシやウェブサイト、ポスターなどをご近所に配るなどして積極的に知らせましょう。近隣の方々へのあいさつ回りも忘れずに。

物件契約に必要なもの

項目 支払先 目安金額
初期費用 敷金 貸主 どちらかの場合が多い。
保証金 貸主(預かり) 賃料6か月~12か月分
礼金 貸主 賃料1か月分
仲介手数料 不動産屋 賃料1か月分
前家賃 貸主 契約日から翌月分までの賃料(日割り)
共益費・管理費 貸主 物件により異なる
保険料(火災保険など) 保険会社 物件により異なる
手付金 貸主 賃料1か月分
造作譲渡料
(居抜きの場合のみ)
設備の所有者 設備の所有者(前の借主であることが多い)に支払う、設備を譲り受ける費用のため、金額はさまざま
対象
保証人(連帯保証人) 両親、兄弟姉妹、親戚、知人・会社の上司(親族がいない場合)


それでは、飲食店舗を始める時の物件契約に必要なものは何でしょうか。
大まかに言うと、知識、初期費用、計画性です。
まず知識ですが、物件の電気や水などのスペックや契約条件などに関しては専門家に相談しましょう。

賃貸契約時に払う初期費用としては、保証金として家賃の10か月分が必要とされますが、物件によって異なります。その他、仲介手数料や礼金、前家賃、保険料などが必要になる場合もあるので事前にチェックしましょう。
その他、連帯保証人が必要な場合もありますが、いない場合には家賃保証会社に保証料を払うことになります。
そして、出店するエリアや店舗など自分が開業したい飲食店についてのしっかりとした計画性を持っておくことが必要です。なぜなら、金融機関から融資を受ける場合に提出が求められますし、コンセプト、目的や動機、セールスポイント、目指すイメージ、目標売上、中長期的な店舗拡大イメージなどを決めておくことで、方向性のぶれない魅力的なお店にすることができます。

居抜き?スケルトン?自分の探すべき店舗をイメージしよう

どの地域に、どんな店構えでお店を出すかということには、自身が描いている出店コンセプトが大きく影響します。コンセプトは具体的であればあるほど望ましいです。自分が思い描いているものを表すビジュアルイメージを用意できるとさらによいでしょう。

借りるべき店舗も、実にさまざまな条件があります。「広さ」「賃料」「駅からの距離」「駐車場の有無」「ビルの階数」はたまた「前も同じ飲食店だった居抜き店舗」など、事前に優先順位を決めておく方がいいでしょう。

飲食店用物件の探し方

飲食店の物件を探す方法はいくつかあります。ここでは、その方法と、気をつけるべきポイントを解説しますが、希望の物件を見つけることは想像以上に簡単なことではありません。1年以上かかったという話も珍しくありません。
物件探しにおいて大切なことは、決して手間と労力を惜しまないことです。経験を積む中で、自分が求める物件に出会える確率は徐々に高まっていくはずです。

複数のアプローチ方法を知り、条件に合った物件を探そう

不動産会社で物件を探す方法は、インターネットと電話だけと思っていませんか? 実は銀行や内装工事店、デザイン会社など“取引先が飲食店”となっているところには良い物件情報が集まっている可能性もあります。
いずれにしても、あなたがめざすお店のイメージに近い物件を紹介してくれるところに出会うためには地道な努力が必要です。

店舗用の物件を扱っている不動産屋へ行く

地域によっては、店舗専用に扱う不動産店があります。やはり一般住宅よりも専門に扱っているだけあって経験も知識も豊富なので優先的に探してみましょう。ただ、飲食店経営の経験がない人が行っても相手にされない場合もあります。最低限の知識や自分のイメージなどを決めておき、足繁く通って「熱意」を見せることも重要です。

店舗用の物件の検索サイトをチェックする

やはり手っ取り早いのが専用の検索サイトです。数多くあるので、事前に「地域名+飲食店物件」など検索キーワードを選んでおくといいでしょう。

内装工事、店舗デザイン会社で探す。

専門業者には、いち早く情報が集まる場合があります。飲食店開業経験のある知り合いに紹介してもらったり、2店舗目の開業エリアでは内装工事を店舗デザイン会社に依頼したりするなど、専門業者との関係を築いていくことが大切です。
仲良くなったら自分の希望を伝えて、少しでも多くの物件を紹介してもらえるようにしましょう。

不動産業者との付き合い方

いい不動産屋さんと出会う、というよりも、不動産屋さんからいい物件を紹介してもらうには、インターネットよりもやはり名刺を持って複数の不動産屋さんへ直接何度も出向くことです。あなたの顔や人柄を見てもらい、これだけ熱意をもって探していることをアピールすることで「この人にはいい物件を紹介したいな」と思ってもらうのが大事です。

候補の物件で使える!チェックリスト

希望する物件候補を内見する時は、下記の項目に気をつけましょう。
その時のコツですが、内装工事屋さんに一緒に見てもらうことが大事です。素人の目では絶対に判断しないこと。どこに落とし穴があるかわかりません。もちろん、下見は契約前に済ませましょう。

基礎工事の必要の有無 居抜き物件であれば問題ありませんが、ゼロベースからだと相当な費用がかかります。
電気容量 ビル全体の電気容量が足りない場合、増設工事が数百万円になることも。要注意です。
火力容量 同じくガスの火力などもしっかりチェックしましょう。特に中華は要注意です。
水回り 水漏れや水の容量、床の状態、シンクなどもチェックしましょう。
ダクト 換気回りはファンの故障などが多いことも。作動音や経年数なども調べましょう。
立地 人通りの数や風紀、その業種に合っているかどうかもチェックしましょう。
階数 特に初めての場合は1階にこだわるべきです。家賃が1.5倍でも集客率は2倍となります。
広告規制 地域によっては看板の大きさや色などが厳しく規制されている場所もあります。
大屋さんの居住の有無 大家さんが同居していないか、住んでいたとしても協力的な人がいることが理想です。長いつきあいになるので、仲良くしておく方がいいでしょう。

知っていると得する、契約時に気を付けたいこと【物件編】

店舗物件の中には、条件が良く思えても、本当は避ける方がいいものもあります。物件契約前に気を付けたいことをご紹介します。

開業初心者に地下や2階物件はおすすめできない

店舗が地下や2階にある物件は集客も難しいため、開業初心者にはおすすめできません。
また、共同階段を使わなければならない建物だとさらに難易度が上がります。共同階段だと、ほかの店舗に行く客も使用するため、普通の階段やエレベーターになってしまいます。しかし、自分のお店だけが使う場合は、地上(入口)から外装を施してお店の顔を作ることができるので、集客もしやすくなります。

事務所用物件を飲食店用物件へ転用している

基本的に事務所用として建てられた物件は、飲食店用の設計ではないため造りも設備も整っていません。安さに引っ張られず冷静に見極めましょう。

近隣からクレームが起きている

飲食店には、匂いや騒音がつきものと考えましょう。業種を変えたとしても、またクレームが発生する可能性も考えられますので、事前に近所の人への聞き込みをするなど調べておきましょう。

大家さんとの関係が良好に築けない

大家さんにとって、物件は資産価値そのものです。お店を借りた人が飲食店を営むことで大家さんの希望を無視したり迷惑をかけたりするようなことがあれば、退去となる可能性が高まります。また、大家さんが最初から飲食店の経営に協力的ではないことも考えられます。
契約内容や諸条件の細部までを読み取り、大家さんに親切にしてもらえるような努力をしましょう。

知っていると得する、契約時に気を付けたいこと【契約編】

契約した後に「知っておけばよかった!」と後悔しないためにも、ここでは契約前に気をつけるべきことを紹介します。経済面、経営面でいろいろとプラスになることがありますので、ぜひ参考にしてください。

退去時に原状回復をしなければならない

退去時に原状回復(元のまま)にするという条件がある物件です。なぜなら、原状回復にかかる費用を負担したり、揃えた家具などを売ったりしなければならないからです。そうなると、数百万円の費用が発生することがありますので、基本的には原状回復が不要な物件を選ぶようにしましょう。どのような理由でも閉店する場合には経済的に厳しい場合が多いからです。もし必要な場合は、具体的にどの程度の原状回復なのかを書面で確認しておきましょう。

定期借家契約を結ぶ必要がある

定期借家契約の物件は契約しないか、あるいは普通借家契約に変更してもらう交渉をすることです。なぜなら、定期借家契約では大家さんの都合で退去しなくてはいけなくなることがあるからです。
それに対して普通借家契約では、契約違反をしない限り大家さんの都合で退去する必要はありません。現実として、5年程度では初期投資を回収できない場合が多く、経営を圧迫する可能性が高まるからです。

初期費用を抑えるためのテクニック

飲食店の投資で最もお金がかかるのが、冷蔵庫、オーブン、コンロ、エアコンなどの厨房機器です。

リースの場合、初期費用を抑えることができるメリットがありますが、結果的に購入するよりも高くついてしまうというデメリットがあります。また中古の場合、、新品の10分の1程度で買えるものもあるため初期費用をかなり低く抑えることができますが、故障や不具合が起こりやすいというデメリットがあります。
メリット・デメリットをよく考えてリースするか、中古を購入するか決めるようにしましょう。

開業する際に必要な事項

さあ、ここまではさまざまな事前情報をチェックしましたね。それでは次に、開業にあたって重要なタスクを3つほどチェックしてみましょう。


仕入れ業者を見つける
メニュー内容を決める
販促ツールを準備する

仕入れ業者を見つける

お店の将来を左右するのは仕入れ業者と言っても過言ではありません。
安心できる食材を安定して供給してくれないと、機会ロスの原因になってしまい、「味が落ちた」となれば客はあっという間に去っていきます。
まずは、信頼関係が大切なので、仕入れ価格や支払い方法、仕入れスパンも無理のないようにしておきましょう。

メニュー内容を決める

結論から言うと、「このメニューなら必ず成功する」というものは存在しません。今、飲食店のメニューは多種多様になっています。

ただ、大切なことはお客様に「わっ、おいしそう!おもしろそう!」と思ってもらうことです。
たとえば鉄板焼きのお店なら、客に目の前でおいしさの演出ができるホイル焼きや、お好み焼きなら粉を変えて個性を出すとか、その土地の食材が引き立つように使うなど。あとは、お店のイチオシ最強メニューを用意しておきましょう。「とにかくこれだけは食べて欲しい」というキラーコンテンツが大事です。
このように、他の店にはない独自のサービス精神が出ていれば、客には伝わる可能性が高くなります。

販促ツールを準備する

お店の宣伝物は、看板やチラシなどにお金がかかります。
一番よいのは、宣伝をしなくてもお店のファンになってもらって口コミや紹介で来てもらえるような店作りを目指しましょう。 もちろん、販促ツールも飲食店の制作経験が多いクリエイターを選ぶことも大切です。
あとは、手描きチラシやSNSなど、こまめな発信を目指していきましょう。

さいごに
この章では、物件探しを中心に紹介しましたが、大切なことは、自分が「こんな店をやりたい」という明確なビジョンをもって、細かな部分にまで気をつけて探すことです。サービス業はまさに、気を遣っていくらの仕事ですから。

監修者プロフィール
有限会社 STPDファーストゲート    金井秀樹
1992年5月お好み焼き専門店「秀作」をオープン。その後1995年5月に有限会社STPDファーストゲート設立。直営店事業としてニンニク料理専門店「はじめの一っぽ」「はじめの一っぽ2」、Wine&meat 「kasumi store 新宿御苑」、銘柄豚100%鉄板スタイルハンバーグ専門店「will」を経営。また暖簾分け店事業として経営しているハンバーグWILL「Mrs.Burg」では、飲食店開業を目指す方に対し3年間の勤務を通して暖簾分け独立の道を提供している。さらに自身の飲食店経営の経験を活かし、個人店向け飲食店経営コンサルティングも行っている。

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