繁盛店にするための5つのテクニック

いつもお客様で賑わう繁盛店にはいくつかの共通点があります。成功者に学び、真似できるところは取り入れたいもの。繁盛店の条件や特徴について詳しく解説します。

飲食店経営

いつもお客様賑わう繁盛店にはいくつかの共通点があります。成功者に学び、真似できるところは取り入れたいもの。繁盛店の条件や特徴について詳しく解説します。

自分の店を繁盛店にするための条件とは

繁盛店になるための条件を一つだけ挙げるとすれば、それは「戦略」です。あなたが飲食店を開業して成功を願うなら、次の問いを自分自身に投げかけてみてください。「お客様が競合店ではなく自分の店に来る、そういう商品・サービスを本当に提供できていますか?」と。

「はい!」と即答できる人は、いわゆる3C分析がある程度できていて、「自社(Company)・顧客(Customer)・競合(Competitor)」を分析してから、立地や店のコンセプト、ターゲットやメニューを決定しているはず。即答できない人は3C分析が足りないのです。 繁盛店は戦略を決して疎かにせず、忙しくなってからも常に変化を取り入れてブラッシュアップしているという共通点があります。

具体的に実践すべきポイントを紹介します。

①リピートしてもらうための商品・サービス作り

飲食店は、新規客だけでは成り立たないので、お客様にリピートしてもらうための商品・サービスが不可欠です。3C分析でいうと、自社(Company)の強みや個性、ブランドにあたる部分です。

まず、何かしら個性のあるメニューを出してお客様に選んでもらうことが重要となります。地方の飲食店の場合は、ある程度広い客層を集めたいのでメニューの幅を増やす方向も考えられるのですが、都心の店はメニューを深堀りして個性を際立たせることで成功するケースの方が多いです。例えば、同じカレー業態でも色々なスタイルがあり、家庭と同じようにワンプレートにライスとソースを盛り付けて出す店もあれば、オーダーが入ってから鉄製の小鍋を直火にかけてソースを温め、別盛りのライスと一緒に提供する店もあります。後者は商品の提供方法を変えただけですが、そうした工夫でも他店との差別化を図ることができます。

飲食店が生き残るために必要な個性とは、他の誰もやらない奇抜なメニューを提供することだけではありません。商品やサービスをゼロから組み立てる必要はなく、あくまで競合店と比較して、「自分の店が選ばれるような商品」や「次に来店する理由があるサービス」などを作ることができれば良いのです。

繁盛店はそこをきちんと押さえていて、地域の競合店の商品・サービスについて研究し、そこよりも少し良いものを出すことで競争に勝ち、リピーターを掴んでいるのです。敵を知ることの重要性、これが3Cの競合(Competitor)分析にあたります。

また、商品とサービスには、どんなメニューを、いくらで、どのような接客で提供するかということが含まれています。多くの繁盛店は、料理が美味しいかどうかだけでなく、接客・雰囲気・価格・客層・立地などの複数の要素において支持される理由があるものです。この点を自ら繁盛店に足を運んで確かめてみましょう。客として料理を食べ、サービスを体験し、前述の複数の要素がどのようなバランスで組み合わさっているのかよく観察します。そして、分析したことはしっかりとメモに残しておきましょう。

②飲食業界のトレンドをチェックする

繁盛店のオーナーは、時間を見つけて外に出かけては情報収集を行い、時代の変化に対してアンテナを張っています。話題になっている飲食店や美味しいと人気の食べ物を体験することは重要ですし、新聞や専門雑誌で業界の動向を知ることも役に立ちます。このように、顧客が感じていることや心理を知るための作業は、3Cの顧客(Customer)分析の1つです。

現在の飲食業界は、非常に変化が激しい。近年は短期間で新しい業態がブームとなり、そして短期間で消えていくことが繰り返されるという現象もみられます。一時の「ジンギスカンブーム」などもそうでした。 そんな流行り廃りの早さもあって、飲食店がオープン3年以内で廃業する確率は約7割、10年以内に廃業する確率は9割と言われています。

店を続けることの大変さは、繁盛店のオーナーが一番実感しています。だからこそ普段から危機感を持ち、それを原動力として、メニューを時代に合ったものへブラッシュアップしたり、新しい販促にチャレンジしたりと、変化を加え続けているのだと思います。これは成功するオーナーに共通する資質とも言えるのですが、「時代の変化から目を反らさず、変わることを怖がらない」。そういう姿勢が求められるのです。

③立地とコンセプトの相性

繁盛店を分析していて、「ここは好立地だから…」、「人通りに恵まれているから繁盛しているのでは」と思うこともあるでしょう。確かに立地自体の良し悪しは重要ですが、大抵の繁盛店は「立地と店のコンセプトの相性が良いから繁盛している」のです。

立地とコンセプトを合致させると、集客が見込めるようになり、売上が上がりやすくなります。これは、「お客様は立地に紐付いている」ためです。

例えば、学生街には学生が紐付いていますし、オフィス街にはビジネス層が紐付いています。ですからコンセプトを決めるときは、学生街に高級料亭を開業しても見向きもされないだろうし、オフィス街にランチがおいしい店を開業しても、料理の提供スピードがゆっくりだったらリピーターはつかないだろう、などと考えるべきなのです。

また、立地の人口密度によっても繁盛店の条件は変わってきます。人口も店舗数も多く、競争の激しい都心の飲食店なら、コンセプトやターゲットを絞り込んで個性を際立たせる方向をおすすめしますが、郊外や地方の飲食店では客層を広げる店づくりをおすすめすることが多々あります。例えば、都心では「激辛ラーメン1種のみ」という繁盛店も成り立ちますが、地方のラーメン店が売上を確保するには高齢者やファミリーにも来店してほしいので、種類の違う2つのラーメンを両方出してもよいのです。他に客層を広げるテクニックとして、イートインの顧客対応だけでなく、テイクアウトの提供、、オードブルやおせちなどの物販を行うことも考えられるでしょう。

このように、立地と店のコンセプト及びターゲットはセットで考え、3C分析の顧客(Customer)について十分に検討することが大事です。


④経営感覚・財務の知識

経営・財務の知識も、飲食店オーナーに欠くことができない素養の一つです。料理やレシピ、飲食業界に詳しいだけでなく、財務についても把握していたほうが繁盛店への道が開ける確率は高くなります。経済状態がきちんと理解できれば、開業時に初期投資をしすぎたり、売上に見合わない家賃の物件を選んでしまったりという大きなミスを防げます。
まずスタートダッシュでつまずくリスクが大幅に低くなりますし、そういう人は、開業してからもどの業務にどれだけコストがかかっているのか注意を払うので、問題があっても対策を取りしやすく、店舗運営を健全化させやすいのです。

⑤客や従業員を意識した動線づくりがしっかりできている

店舗のレイアウトは、売上の向上やコストダウンに大きな関係があります。繁盛店では、ホールにおけるお客様動線と、キッチンにおける従業員動線がそれぞれ効率良くなる方法を取り入れています。これにより人の動きがスムーズになり、回転率のアップにもつながります。
また、小さな店の場合は、料理人は料理以外のこともしていて、ホールの人手が足りなければお客様に水を出したり、オーダーを取ったりと、複数の業務を担当しているはずです。繁盛店に足を運んだら、お客様と従業員の動作や流れについても注目してみてください。
繁盛する!店舗レイアウトの考え方・作り方

閑散店の共通点は?

ここまで、繁盛店の条件や実践テクニックを5つ紹介してきましたが、繁盛する理由を探っていくといろいろな要因が重なっていることがほとんどです。
それに対して、店が閑散として儲からない人がやってしまう失敗は比較的ワンパターンです。反面教師とするために、そういった店の共通点についても知っておきましょう。

3C分析がしっかりと行われていない

繁盛店に必ずあるものが「戦略」なのは先ほど述べた通り。逆に言えば失敗する人は戦略をロクに立てず、3C分析もやっていないことが多いです。具体的には、自社(Company)の強みとなるメニューが作れていない、顧客(Customer)を考えずに立地やコンセプトを決めてしまう、競合(Competitor)を十分に知ろうとしないなどがあります。

なかでも、競合に勝てるメニューやサービスができていないのに、とにかくお客様を呼びたいと考える人が多すぎます。「とりあえず目先の集客さえできればずっと繁盛する」という考えが根底にあるからでしょう。

しかしこれは大きな間違い。そのことを理解していただくためによく例えるのが、「穴の開いたバケツにいくら水を注いでも、無駄に流れるだけ」ということです。売上という名の水を貯められるバケツがあったとして、もしもバケツに穴が開いていたら、どうしますか? 普通は、水を注ぐよりも先に穴を塞ごうとするはずです。しかし、飲食店で失敗する人の多くは、バケツの穴が開いたまま水を貯めようとします。それでは何の解決にもなりません。

バケツの穴を塞ぐこと、つまりリピートしてもらえる状態を作ることは、決して簡単なことではありません。競合に勝てるメニューやコンセプトを作る必要があるからです。しかし、売上が思うように上がらないのなら、必ずそこを見直さなければなりません。一方、うまくいっていない店のオーナーは、自分の店を見直すよりも、SNSなどの販促や宣伝を優先してしまいがちです。まずは、自分の店がいま本当にすべきことは何なのか考えてみましょう。

オープン時から固定費が高い

店の経済状況や財務に鈍感だと、初めから固定費が高すぎる、という問題が起こりやすいものです。固定費には、店舗の家賃、社員の給料などの人件費、開業するときの借入金などがあります。
よくあるケースは、友達が店で働きたいと言うので社員として採用してしまうこと。しかし小さい店の場合、売り上げが安定していない時期から社員を雇うのはかなりリスキーです。アルバイトなら、社員と違って必要な時間だけ来てもらえるので、まずはアルバイト採用を検討しましょう。

また、物件の内装工事費などに初期投資をかけすぎるのも失敗のもとです。内装業者もいろいろな提案をしてきますが、すべて取り入れていたら大変なことになります。初期投資の金額を抑えることを常に頭に置き、同じ業態の居抜き物件などを探す手間を惜しまないようにしましょう。

業界の変化に取り残されている

飲食店は体力もすごく使う仕事です。定休日には体を休めることも必要ですし、家でやりたいこともあるでしょう。するとなんだかんだで、休日は外に行かず家にこもることが多くなりがち。ただ、それでは時代の変化にだんだんと取り残されてしまいます。

なかには、自分の料理やキャラクターに絶対的な自信があって、「外に出て、いろいろ見なくても成功する」と思っている人がいるかもしれません。雑誌やテレビなどでは、人の少ない裏通りや山奥でも行列ができるくらい美味しい店や、名物オーナーにたくさんのファンがついている店など、繁盛店の情報が度々取り上げられるので、それで勘違いする人もいます。
しかし現実は、料理やオーナーの人柄だけで繁盛店になれるほど甘くはありません。だからこそ今回紹介したような繁盛店のセオリーに学んだほうが得策だと言えます。それに、料理の腕やキャラクターに自信のある人が、さらに3C分析などをしっかりやれば鬼に金棒で、もっともっと繁盛店になれるはずです。

さいごに
「食べること」は誰もが毎日経験することなので、「自分だったらもっと美味しいものを出せる」と考えて飲食店経営に参入する人は少なくありません。ただし、美味しい料理を提供することと、繁盛店になれるかどうかはまた別の問題です。

繁盛店になるには、料理の美味しさだけでなく、戦略が必要です。戦略を立てる際は料理・接客・雰囲気・価格・客層・立地をどのように組み合わせてバランスを取るかが重要となります。また、繁盛店のオーナーには、開業前のマーケティング能力、情報収集をする積極性、財務など料理以外の事を学ぶ姿勢、「問題を人のせいにしない・自分で解決する能力」や、「人の意見に耳を傾け、時代の変化に柔軟に対応すること」も求められます。迷ったら、とにかく外に出て繁盛店に足を運び、自分なりに調査をしてみましょう。きっとさまざまなヒントが見つかるはずです。

監修者プロフィール
株式会社ライズウィル    井澤岳志
大学卒業後、北陸最大のコンサルティング会社を経て、2005年ライズウィル創業。
飲食店向けの「低リスク」かつ「現場主義」の開業・店舗再生を信条とし、 継続コンサルティングにおける売上アップ成功率は94.1%を達成。 ラーメン屋の売上が同月昨年対比で51ヶ月連続アップし、月商300万から750万を達成など、実績多数。 メディア掲載事例としては、「日経レストラン」で支援店舗の成功事例が多数掲載されており、その他、テレビ、雑誌などの取材実績多数。全国での講演実績あり。2009年に出版した著書は現在11刷中のロングセラーとなっている。また、自身も飲食店を北陸地区で複数店(居酒屋、ラーメン屋などの業態)経営し、より実践的な成果重視のコンサルティングを行っている。
書籍
7つの超低リスク戦略で成功する『飲食店「開業・経営」法』(日本実業出版社)
小資本・低リスクで繁盛店をつくる はじめての飲食店開業の教科書(日本実業出版社)

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