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【店舗のタイプ別】原状回復の1坪あたりの相場費用を紹介

店舗の原状回復費用の一般的な相場を坪別に紹介します。また、原状回復費用を軽減できる店舗の特徴も掲載しています。これから原状回復を行う場合は、大まかな予算の参考にしてみてください。

廃業・閉店マニュアル 2017/07/28

店舗の原状回復費用の一般的な相場を坪別に紹介します。また、原状回復費用を軽減できる店舗の特徴も掲載しています。これから原状回復を行う場合は、大まかな予算の参考にしてみてください。

店舗の原状回復とは何?

原状回復とは、飲食店の閉店にともなって賃貸物件から退去する際に、「原状=契約締結時の状態」に戻して引き渡すことをいいます。原状回復義務の有無については、物件の賃貸借契約書の引き渡し条件などで確認することができます。
原状回復義務がある場合も、どこまで対応するかはケースバイケースです。必ずしもスケルトン状態(建物の構造体以外の内外装を全て解体した状態)まで戻す義務があるわけではなく、たとえば居抜き物件として借りた場合は、追加した造作物だけを撤去して元の内装に戻せばよいケースが少なくありません。ただし大家との契約内容次第では、居抜き物件として借りた場合でも、退去時にスケルトン状態にしなければならないケースもあります。

では、店舗の原状回復にはどれくらいの費用が必要なのでしょうか?
飲食店の閉店経験があるオーナーを対象にアンケートを行い、原状回復費用の坪数別の相場をまとめました。

閉店した店舗は、「坪数」はどれくらいのお店?

※飲食店経営に関するアンケートを元に作成(2017年6月ぐるなび加盟店向けに調査実施)回答数=102


上のグラフは、「これまでに閉店した飲食店は、坪数がどれくらいのお店でしたか」という質問に対する答えです。最も多かった回答は、「21坪から30坪(約31%)」で、次いで「10坪から20坪(約26%)」となりました。10坪から30坪の小規模な店舗が全体の約57%を占めていますが、これは飲食業界において小規模店舗の割合が比較的多いためだと考えられます。

つづいて、店舗の坪数別に、原状回復工事・解体工事にかかった費用を見ていきましょう。

店舗の原状回復の費用にかかった1坪あたりの相場

※飲食店経営に関するアンケートを元に作成(2017年6月ぐるなび加盟店向けに調査実施)回答数=112


上の棒グラフは、実際に閉店した店舗の坪数別に、原状回復にかかった1坪あたりの金額を元オーナーに尋ねて集計したものです。このうち、「賃貸店舗ではないため費用がかかっていない」と答えた人が全体の16%、「わからない・覚えていない」と答えた人が全体の約20%いました。

それ以外の、全体の約65%にあたる回答を対象に、1坪あたりの原状回復費用の平均を算出(加重平均)すると、以下のようになりました。

店舗の坪数 現状回復費用(1坪あたりの平均)
10坪未満(小規模店舗) 1万1667円
10坪~20坪(小規模店舗) 2万1563円
21坪~30坪(小規模店舗) 2万3636円
31坪~40坪(中規模店舗) 2万3056円
41坪~50坪(中規模店舗) 2万1667円
51坪以上(大規模店舗) 4万8750円

この結果、10坪から50坪までの小・中規模の店舗の費用は1坪あたり2万円を少し超える程度となり、坪数によってそれほど大きな差は見られませんでした。51坪以上の大規模な店舗の場合は1坪あたり5万円近くと比較的高額ですが、これは50数坪の店舗もあれば、100坪以上の店舗もあるなど、坪数の違いが大きいことも要因にあると考えられます。

そして、上記の加重平均をもとに計算すると、店舗の坪数別の原状回復費用の相場(総額)は、以下のように推定できます。
店舗の坪数 現状回復費用(1坪あたりの平均)
10坪未満(小規模店舗) 11万円未満
10坪~20坪(小規模店舗) 21万円~43万円
21坪~30坪(小規模店舗) 50万円~71万円
31坪~40坪(中規模店舗) 71万円~92万円
41坪~50坪(中規模店舗) 88万円~108万円
51坪以上(大規模店舗) 248万円以上

原状回復費用を軽減できるタイプの飲食店

原状回復費用は、店舗のタイプによっても変わってきます。
原状回復費用を軽減できるタイプの店とは、物件の契約後に、間仕切りや造作をあまり変えずに開業した飲食店です。また、業態が軽飲食(カフェ・喫茶店など)なら、油汚れなどで排水管や排気ダクトが詰まる・故障することも少ないので、退去前のクリーニング費用や修理費用が抑えられるでしょう。

  • 間仕切りや造作物が少ない(契約後に増設していない店舗)
  • 厨房設備の位置や大きさを変更していない
  • 排水設備や排気設備の状態が良く、故障していない
  • 壁や床の素材の損耗が少ない
  • 禁煙にしていた など

店舗の例としては、カフェや喫茶店などの軽飲食店や、テイクアウト中心で人の出入りが少ない飲食店などが当てはまります。 なお、通常の使用による自然損耗については原状回復の対象ではありませんが、故意や過失で損耗した部分(たとえば、家具の設置や移動で壁や床を傷つけてしまった場合など)は修繕費用を負担する可能性が高いです。

原状回復費用がかかるタイプの飲食店

開業時に、とくに厨房設備を大きく変更した場合は、床下の給排水設備やガスの配管・電気の配線なども変更されていることが多いです。そのため、閉店時の原状回復工事にもそれなりの費用がかかります。また、焼肉店のようにテーブルの数だけ排気ダクトがあるような店舗は、退去前のクリーニングやメンテナンス費用が高くなる傾向にあります。
さらに、店舗が地下や2階以上にある場合は、搬入搬出のしにくさから高めの設定となるでしょう。

  • 間仕切りや造作物が多い(契約後に増設した店舗)
  • 厨房設備の位置や大きさを変更した
  • 排気ダクトが複雑でメンテナンスが必要
  • 排水設備に詰まりなどが生じている
  • 壁や床の素材の損耗が激しい
  • 喫煙可にしていた
  • 物件が搬入搬出しにくい場所にある など

店舗の例としては、ラーメン店や居酒屋などの飲食店や、各テーブルでロースターを使う業態、24時間営業の飲食店などが当てはまります。

原状回復工事・解体工事費用は業者によっても違うため、見積もりは複数の業者から取るとよいでしょう。

まとめ
店舗の原状回復の相場費用について紹介しました。原状回復費用は、原状回復の程度、店舗の坪数やタイプなどによって変わってきます。物件を契約した際の大家との取り決め(財産区分など)も非常に重要となりますので、契約書の内容をよく確かめておきましょう。また、退去時のトラブルを防ぐためには、契約時のやり取りをきちんと記録し、原状の写真を撮っておくなどの対策が重要です。

監修者プロフィール
赤沼 慎太郎
行政書士赤沼法務事務所/アクティス株式会社 代表
行政書士、経営コンサルタント

起業支援、事業再生、事業承継の支援を中核に展開し、資金繰り改善、資金調達支援など、中小企業支援を精力的に行っている。そのコンサルティングは分かりやすく実践的な指導と定評がある。 2010年より税理士、行政書士等の専門家を対象とした財務コンサルティング勉強会『赤沼創経塾』を主宰。他にはない実務に基づいた実践的な勉強会として高い支持を得ている。 著書に 『はじめての人の飲食店開業塾』、『銀行としぶとく交渉してゼッタイ会社を潰すな!』 、『そのまま使える契約書式文例集』(以上、かんき出版)、『「危ない隣の会社」の資金繰り』(すばる舎)等多数。
(運営サイト)赤沼慎太郎公式サイト http://akanumashintaro.com/

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