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【飲食店の閉店経験者に調査】閉店を決意した理由と閉店手続きの流れ

飲食店の閉店をお考えの方に、営業年数別の閉店割合から見る、閉店の目安や閉店すべき前兆傾向をまとめたチェックリストを掲載。また、閉店するにあたって必要な資金や手続き、撤退費用を大幅に軽減できる居抜き売却のメリットなど、閉店に必要な手順を解説します。

廃業・閉店マニュアル 2017/08/04

飲食店の閉店をお考えの方に、営業年数別の閉店割合から見る、閉店の目安や閉店すべき前兆傾向をまとめたチェックリストを掲載。また、閉店するにあたって必要な資金や手続き、撤退費用を大幅に軽減できる居抜き売却のメリットなど、閉店に必要な手順を解説します。

飲食店 閉店を考える理由とタイミングとは?

愛着のある自分の店を閉店するか、それともまだ続けるのか。赤字経営に頭を悩ませるオーナーが直面する問題です。閉店経験者へのアンケート結果を紹介しますので、後悔しない決断をするためにぜひ参考にしてください。

これまでに飲食店を閉店した経験はありますか?

※飲食店経営に関するアンケートを元に作成(2017年6月ぐるなび加盟店向けに調査実施)回答数=232

飲食店オーナーに、経営していた飲食店を閉店した経験があるかどうかを尋ねたところ、全体の44%が「ある」と答えました。

飲食店を閉店したのは、いつごろですか?

※飲食店経営に関するアンケートを元に作成(2017年6月ぐるなび加盟店向けに調査実施)回答数=102

飲食店を閉店した年を尋ねたところ、最も多かった回答は「2011年以前(約51%)」でした。続いて多かった回答は、「2014年(約14.7%)」、「2012年(約11.8%)」、「2015年(約9.8%)」、「2017年(約7.8%)」、「2016年と2013年(同率で約6.9%)」の順となりました。

2014年の閉店件数が多い原因として、消費税の増税が考えられます。
2014年4月1日に17年ぶりに消費税率が引き上げられ、5%から8%になりました。
この影響により個人消費は冷え込み、飲食店の多くはその影響を大きく受けました。

これまでに閉店した飲食店は【営業年数】がどれくらいのお店でしたか?

閉店した飲食店の営業年数を尋ねたところ、最多の回答は「3年~6年未満(約41.2%)」でした。次に多かった回答は「11年以上(約20.6%)」で、その次が「1年~3年未満、6年~11年未満(同率で約18.6%)」でした。

※飲食店経営に関するアンケートを元に作成(2017年6月ぐるなび加盟店向けに調査実施)回答数=102 ※複数回答あり

今回の結果を見ると、営業年数3年~6年未満の閉店確率が最も高いものの、それ以外の年数にも回答が分散しています。そのため、どの営業年数においても閉店する可能性はあり、決して油断はできないと言えるでしょう。

飲食店を閉店するきっかけとなった【1番の原因】とは

飲食店を閉店するときは、どんな原因があるのでしょうか?
閉店につながりやすい要因を知るために、閉店を経験した飲食店オーナーを対象に、閉店理由としてあてはまるものを答えてもらいました。

※飲食店経営に関するアンケートを元に作成(2017年6月ぐるなび加盟店向けに調査実施)回答数=102

結果、「その他」という回答を除くと、該当者が一番多かった項目は「1年以上赤字が続いている(約28.4%)」でした。長い間赤字が続く、すなわち店の売上が思うように上がらなかった結果、そのほかの「人件費がないため人を雇えず、店舗運営が回らない(11.8%)」「運転資金がなくなってしまった(10.8%)」、「光熱費、家賃が払えない(8.8%)」、といった問題も芋づる式に発生するものと推察できます。

そのため、「1年以上赤字が続いている」というのは、閉店するかどうかを決める一つの目安になります。現在、赤字が続いていて判断を迷っているという人は、ここ半年から1年間の赤字額がどのくらいになりそうか、概算を出してみると良いでしょう。

たとえば、夫婦2人で経営している小規模な店で、毎月の赤字額が15万円程度なら年間の赤字額は180万円程度になります。日本の正規雇用の平均給与額は年間485万円、非正規雇用は171万円(平成27年の民間給与実態統計調査より)ですから、夫婦のどちらかが働きに出たうえで店の運営が可能なら、まだ赤字はカバーできるかもしれません。
ただ、それ以上の赤字となると、現実的にカバーすることは難しくなってきます。

もしも、すでに経費節減を徹底しているのに赤字が続いていたり、給料の支払いや、金融機関への返済を遅らせても資金繰りが厳しいようでしたら、閉店を検討する必要があるかもしれません。愛着ある店舗を閉めるというのはかなり勇気のいる決断ですが、厳しい状況を放置しても改善は難しいため、状況を冷静に分析して判断することが大切です。

閉店を決意したらやるべき2つのポイント

飲食店の閉店を決意したら、いくつかやることがあります。まず、物件の賃貸借契約書、設備のリース契約書などを確認して、途中解約の条件と退去時に必要な費用についてチェックしましょう。それから、各所に連絡をとりながら閉店手続きを進めていきます。

ポイント① 優先して支払うべき閉店費用

  • 保証金償却費
  • 退去するまでの家賃
  • 従業員の給料
  • 光熱費、リース代
  • 中途解約違約金
  • 店舗の原状回復費用、不用品の処分費用

注意点として、償却費は返還予定の保証金や敷金から差し引かれるうえ、その残金が入るのは退去した後になるケースが多いので、試算を間違えないようにしましょう。
閉店するのにも結構な費用がかかります。計画的に行うことをお勧めします。

ポイント② 最低限実行すべき手続き

閉店手続きをスムーズに進めるために、大家には解約予告を、従業員には解雇予告を必ず行いましょう。物件の解約予告期間は契約内容によって異なりますが、退去の3か月から6か月前に通知するのが一般的です。
従業員への予告は解雇の30日前までに行います。
やむなく即時解雇する場合などは、解雇予告手当の支払いが発生しますので気をつけましょう。

退去日までのスケジュール(いつまで営業して、いつから工事に入るかなど)がだいたい決まったら、光熱費関係の契約を解除する手続きを行います。
また、閉店直後には、開業時に行った保健所の営業許可などの届け出を取り消す手続きも必要です。なお、厨房機器などのリース契約は、原則として中途解約ができませんので、閉店後も支払い義務が残ります。中途解約をする場合には、残期間のリース料、もしくは、それに相当する違約金を一括で支払うこととなります。

撤去費用を大幅に削減できる居抜き売却

退去前に原状回復(スケルトン)工事を行うかどうかによって、閉店にかかる費用は大きく変わってきます。もしも居抜き売却が成立した場合は、店舗の原状回復工事をする必要がありません。

居抜き売却とは?

居抜き売却とは、店舗の造作物を残した状態で、次の経営者に売却することです。ただし、賃借物件の居抜き売却には、必ず大家の承諾がいります。個人では、簡単に購入希望者を見つけられるとは限らないため、居抜き売却は仲介業者に依頼するのが一般的です。

メリット

居抜き売却をすると、原状回復費用、解体工事費用がほぼ不要となります。さらに、厨房機器などのリース契約を引き継ぐことができれば、リース解約違約金の発生を防ぐことにつながります。また、内装設備などの造作物を次の経営者に造作譲渡し、買い取りが成立すれば、その金額も得られます。

まとめ
固定費の支払いが苦しい状況が続いているのに閉店を決意できない、というオーナーは少なくありません。しかし、綱渡りの経営を続けるよりも、一旦閉めた方が傷が浅く済むこともあります。閉店を決意したあとは、周囲の理解を得ながら段取りよく閉店手続きを進めて、より良い再スタートへとつなげましょう。

監修者プロフィール
赤沼 慎太郎
行政書士赤沼法務事務所/アクティス株式会社 代表
行政書士、経営コンサルタント

起業支援、事業再生、事業承継の支援を中核に展開し、資金繰り改善、資金調達支援など、中小企業支援を精力的に行っている。そのコンサルティングは分かりやすく実践的な指導と定評がある。 2010年より税理士、行政書士等の専門家を対象とした財務コンサルティング勉強会『赤沼創経塾』を主宰。他にはない実務に基づいた実践的な勉強会として高い支持を得ている。 著書に 『はじめての人の飲食店開業塾』、『銀行としぶとく交渉してゼッタイ会社を潰すな!』 、『そのまま使える契約書式文例集』(以上、かんき出版)、『「危ない隣の会社」の資金繰り』(すばる舎)等多数。
(運営サイト)赤沼慎太郎公式サイト http://akanumashintaro.com/

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