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個人事業主の廃業に関する届け出とは?

個人事業主が廃業する場合、どんな届け出が必要なのでしょうか?届け出の種類や代表的な届け出である「廃業届」について詳しく解説します。気をつけておくべきことやよくある疑問についても紹介しますので、提出の際は参考にしてください。

廃業・閉店マニュアル 2017/09/01

個人事業主が廃業する場合、どんな届け出が必要なのでしょうか?届け出の種類や代表的な届け出である「廃業届」について詳しく解説します。気をつけておくべきことやよくある疑問についても紹介しますので、提出の際は参考にしてください。

廃業時に提出する届け出の種類

個人事業主が廃業する場合には、廃業に際して様々な届出書の提出が必要となります。「個人事業の開業・廃業等届出書」の他にも、青色申告の適用を受けていた場合には「所得税の青色申告の取りやめ届出書」、給与を支払っていた場合には「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」、消費税の課税事業者で合った場合には「事業廃止届出書」を税務署へ提出することが必要です。
提出先などを事前にチェックして速やかに提出しておきましょう。
出典:国税庁ホームページ

個人事業の開業・廃業等届出書
個人事業を廃止した場合は、個人事業の開業・廃業等届出書の提出が必要となります。提出先は2ヵ所あり、納税地の所轄税務署と所轄する都道府県税事務所です。それぞれ提出期限や提出書類の様式が異なりますので、後述する個人事業の開業・廃業等届出書の注意点を確認しておきましょう。

所得税の青色申告の取りやめ届出書
青色申告をしていた個人事業主の方は、廃業に伴い「所得税の青色申告の取りやめ届出書」の提出が必要です。青色申告を取りやめる予定の年の翌年3月15日までに、所轄税務署へ提出しましょう。
ただし、法人成りによる廃業の場合で、個人名義の不動産を新会社へ賃貸する場合には、「所得税の青色申告の取りやめ届出書」は提出しないでおきましょう。
というのも、賃貸収入が入ることにより新たに生じる不動産所得について、今後も引き続き確定申告を行うことになるのですが、この届出書を提出してしまうと不動産所得の申告が白色申告となり、青色申告の特典を受けられなくなってしまうからです。ご注意ください。

事業廃止届出書
前々年の課税売上高が1000万円を超える消費税の課税事業者が廃業した場合には、「事業廃止届出書」の提出が必要です。廃業後は所轄する税務署へ速やかに提出するよう求められており、1ヵ月以内を目安に提出しましょう。

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
従業員に給与を支払っていた事業主が廃業する場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出が必要です。廃業してから1ヵ月以内に、給与を支払っていた事務所などの所轄税務署へ提出しましょう。

所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書
予定納税とは、前年度の所得税などから計算した予定納税基準額が15万円以上になる場合にあらかじめ予定納税基準額の3分の1を7月と11月に納める税金のことです。予定納税の義務のある事業者が廃業した場合は、「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書」を提出することで納税額の減額を申請できます。
1期・2期ともに減額申請する場合は、廃業する年の7月1から15日まで、2期のみ減額申請をする場合には、その年の11月1 から15日までに所轄税務署に提出しましょう。
予定納税は、予定納税基準額の3分の1の金額を、第1期分として7月1日から7月31日までに、第2期分として11月1日から11月30日までに納めることになっています。(特別農業所得者以外)
届出書名 対象者
個人事業の開業・廃業等届出書 個人事業を廃止した事業者
所得税の青色申告の取りやめ届出書 青色申告をしていた事業者
事業廃止届出書 消費税を支払っていた事業者
給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書 給与を支払っていた事業者
所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書 予定納税義務のある事業者

廃業時の届け出で気をつけておくこと

提出書類の中で、廃業事由や条件に関わらず、すべての事業者が必ず提出しなければならないのが「個人事業の開業・廃業等届出書」です。
上記の書類を提出する際には、提出先や記載する廃業時期など、気をつけておくべきポイントがいくつかあります。注意点を確認しておきましょう。

提出先は2ヵ所!

廃業届は、納税地の事「所轄税務署」と「管轄の都道府県税事務所」の2ヵ所に提出しなければいけません。
所轄税務署へ提出する書類は先ほどの個人事業の開業・廃業等届出書で、廃業した日から1ヵ月以内に提出する必要があります。一方、管轄の都道府県税事務所へ提出する書類は、各都道府県によって様式が異なっており、提出期限についてもそれぞれ定められています。目安としては、廃業後10~15日以内に提出を求められることが多いようなので、早めに提出しておくとよいでしょう。

提出先 届出書名 提出期限
所轄税務署 個人事業の開業・廃業等届出書 廃業した日から1ヵ月以内
管轄の都道府県税事務所 「事業開始等(廃業)申告書」や「事業開始・休業・廃業報告書」など、各都道府県により様式が異なる 廃業後10日以内や15日以内など、各都道府県によって異なる(東京都は10日以内)

廃業時期に注意!

事業の廃業後には、看板の撤去やテナントの修繕など、様々な費用がかかります。そこで適用されるのが所得税法上の「事業を廃止した場合の必要経費の特例」です。
この特例により、廃業後にかかった費用や損失でも、“事業を廃止していなければ当然かかっていた経費”として考えられるため、廃業年の必要経費として計上することができるのです。

廃業届についてのよくある疑問

最後に、廃業の手続きを行う中で、特に多い質問や疑問点について解説します。

廃業届を提出しなかったらどうなる?

廃業届を提出しなかった場合の罰則などはありませんが、個人事業を継続しているとみなされているため、税務署から確定申告の案内が届いたり、確認の電話などがかかってきたりする場合があります。また、事業を継続しているのに納税義務を怠っている可能性があるとみなされた場合は、税務調査の対象となる可能税もあります。
それ以外にも、廃業後に一般企業へ就職される方は、廃業届を提出しておかないと自分自身で確定申告を行う必要があるので、注意が必要です。
こういった事態に備えて、廃業の手続きは必ず行いましょう。また、廃業して数年が経っているという方も、気がついた時点で速やかに手続きすることをおすすめします。

休業する場合も提出すべき?

事業を一定期間休業する場合は、廃業ではないため廃業届の提出は必要ありません。ただし、都道府県によっては管轄の税事務所に休業申告書の提出が必要となる場合もあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。
また、青色申告をしている事業者は、2年連続で確定申告をしなかった場合、青色申告の承認を取り消されてしまいます。一度取り消されると、事業に復帰したとしても1年間は青色申告の申請ができなくなってしまい、経費の計上などで不利なケースが発生します。
そのため、休業中で収入がない場合は、確定申告の書類に「休業中」と記載し、収入無しで申告しておきましょう。

まとめ
廃業に関する手続きは、青色申告をしているか、給与の支払いをしているか消費税の課税事業者に該当するかによって提出する書類の種類や提出先が複数あるため、事前に確認しておくと安心です。必要な書類を確認して、期限内に提出するよう心がけましょう。また、廃業届を提出しなかった場合のデメリットや、休業の場合の手続きなどにも注意が必要です。

監修者プロフィール
保坂 えみ
保坂えみ税理士事務所 代表
税理士、未来会計コンサルタント、認定経営革新等支援機関

中小企業である顧問先に月次決算、利益計画作成、融資の支援を行っている。特に、決算書を「未来を創造するためのツール」として活用しており、どこに手を打てば利益が出るかの指導に力を入れている。 最近ではクラウド会計導入でよりタイムリーな財務状況の把握ができるようになったと好評を得ている。
http://www.harukuru39s.com/

監修者プロフィール
赤沼 慎太郎
行政書士赤沼法務事務所/アクティス株式会社 代表
行政書士、経営コンサルタント

起業支援、事業再生、事業承継の支援を中核に展開し、資金繰り改善、資金調達支援など、中小企業支援を精力的に行っている。そのコンサルティングは分かりやすく実践的な指導と定評がある。 2010年より税理士、行政書士等の専門家を対象とした財務コンサルティング勉強会『赤沼創経塾』を主宰。他にはない実務に基づいた実践的な勉強会として高い支持を得ている。 著書に 『はじめての人の飲食店開業塾』、『銀行としぶとく交渉してゼッタイ会社を潰すな!』 、『そのまま使える契約書式文例集』(以上、かんき出版)、『「危ない隣の会社」の資金繰り』(すばる舎)等多数。
(運営サイト)赤沼慎太郎公式サイト http://akanumashintaro.com/

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