飲食店物件探し

【トラブル事例あり】賃貸物件の退去費用で損をしないためのポイント

賃貸物件から退去する場合、退去費用が必要になります。飲食店などで実際におきたトラブルの事例を紹介し、退去費用で損をしないために確認しておくべき3つのポイントを解説します。また、退去費用が捻出できない場合の対処方法なども紹介します。

廃業・閉店マニュアル 2017/09/01

賃貸物件から退去する場合、退去費用が必要になります。飲食店などで実際におきたトラブルの事例を紹介し、退去費用で損をしないために確認しておくべき3つのポイントを解説します。また、退去費用が捻出できない場合の対処方法なども紹介します。

飲食店における退去費用とは?

飲食店として使用していた賃貸物件を退去する場合には、退去費用が発生します。契約内容にもよりますが、一般的に退去費用とは“原状回復費用”のことを指します。
この原状回復の範囲や考え方は、事業用(店舗・オフィス)賃貸物件と居住用賃貸物件で異なります。事業用の場合、飲食店経営のために設置した設備や内装・造作などの撤去、使用している間に借りた側の責任により損傷させてしまった部分はもちろんのこと、通常の使用方法で経年劣化していく床板や天井パネルなどの交換についても、退去費用に含まれていることが多くあるのです。また、原状回復工事期間中の賃料については賃借人が負担するのが通例です。

このように事業用賃貸物件の賃貸借契約では、「通常使用による損耗分も借主負担」とする原状回復の特約が付されている場合がありますので、契約書で費用を負担する範囲を把握しておくことが重要です。

飲食店の退去費用でよくおきるトラブル

飲食店の退去費用を巡り、賃貸人(大家)とのトラブルがおきてしまう例は少なくありません。賃貸物件の原状回復工事の場合は、一般的に賃貸人側が工事業者を指定することが多いため、退去する側は請求された金額や工事の内容に納得がいかず、トラブルがおきやすいと考えられます。
ここでは、どのようなトラブルがおきやすいのか、具体的な事例を紹介します。

現状回復以上の修繕を求められた例

  • 前の借主が破損した分の修理費用を上乗せされそうになった
  • 契約時に負担しなくてよいと言われていた部分の負担を強いられた
  • 契約時からすでに壁紙が剥がれていたのに、退去時に貼り直すよう言われた
  • 事前に承諾していない工事を賃貸人が勝手に追加してしまい、費用を負担させようとした

その他

  • 契約時の物件の状態が確認できる資料を紛失し、原状回復する部分がわからなくなった
  • 賃貸人との話し合いが不十分で、撤去すべきではない設備を撤去してしまった

退去時にトラブルにならないための3つのポイント

紹介したトラブルはほんの一例です。ほかにも様々なトラブルがおきており、中には賃貸人と費用で折り合いがつかず、訴訟に至ったというケースもあります。
これらを避けるためにも、退去前に注意すべき3つのポイントを紹介します。


ポイント 1:契約書に「原状回復の特約」があれば、内容を確認する
物件を借りる場合は、原則として契約内容の条件が優先されるため、工事を行う前にどの範囲まで復旧し、費用を負担する必要があるのかを必ず再確認しておきましょう。
前述の通り、特約には通常損耗を超えた範囲を借主負担とする条件が加えられている場合も多く、居抜きで借りてもスケルトンでの引き渡しが決められていたり、経年劣化や通常使用で損耗した部分に関しても借主負担で復旧するよう盛り込まれていたりする場合があります。
工事の見積もりが出てきた段階で、特約の内容と合っているかを確認し、負担の範囲が広すぎると感じたら、専門家の意見も参考にしながら賃貸人と交渉することも検討してみてください。
また本来、原状回復の範囲は、賃貸契約を結ぶ際に明確にするべきで、事前の交渉次第で、費用負担を減らせる場合もあります。これから借りるという方は、賃貸人に十分に確認をして、責任範囲を契約書にしっかり盛り込むようにしましょう。

ポイント 2:過去の退去費用(原状回復費用)を確認する
賃貸人の指定する業者で工事を行う場合は、前の借主が退去する際の原状回復工事内容がわかるもの(請求明細など)を確認させてもらいましょう。賃貸人側が業者を選ぶ場合は、丁寧に作業をしてくれる業者を選んでいる可能性が高いので、その分割高になることもあります。
事前に「どの部分にどれだけの費用がかかっているか」や「必要以上の工事費用が含まれていないか」などをチェックしておけば、おおよその検討がつき、安心です。

ポイント 3:費用を交渉するために相見積もりを取る
賃貸人もしくは賃貸人が指定した業者から提示される見積もりが、予定していたよりも高額な場合には、ほかの業者にも見積もりを依頼し、その差額が大きい時は賃貸人と交渉してみましょう。
一般的な工事費用よりも高額であるとわかれば、賃借人が業者や工事内容の見直しをするきっかけとなり負担額を少なくできるかもしれません。

退去費用(原状回復費用)が捻出できない場合の解決方法

経営不振や自身の病気などで閉店し、退去せざるを得ないときには、退去費用が捻出できず、一括で支払えない場合も出てくるでしょう。
そういった場合、まずはその事情を賃貸人に話し、退去後に分割払いなどで支払うことができるかどうか、また、原状回復費用を抑える方法として、その物件を居抜きで借りてくれる飲食店オーナーや企業を見つけてもよいかを相談してみましょう。

退去費用が払えないために、ずるずると退去時期を延ばしてしまっていたという話を聞きますが、延ばした期間の分だけ仕入れ費用や家賃などもかかってしまうので、できるだけ早く退去できるように動くことをおすすめします。

まとめ
飲食店を閉店し、退去する際には、費用に関する非常に多くのトラブルがおきています。金銭のトラブルは解決が難しく、長引くことも少なくありません。
退去時にトラブルを残さないよう、事前にしっかりと対策をして、速やかに手続きを進めましょう。

監修者プロフィール
赤沼 慎太郎
行政書士赤沼法務事務所/アクティス株式会社 代表
行政書士、経営コンサルタント

起業支援、事業再生、事業承継の支援を中核に展開し、資金繰り改善、資金調達支援など、中小企業支援を精力的に行っている。そのコンサルティングは分かりやすく実践的な指導と定評がある。 2010年より税理士、行政書士等の専門家を対象とした財務コンサルティング勉強会『赤沼創経塾』を主宰。他にはない実務に基づいた実践的な勉強会として高い支持を得ている。 著書に 『はじめての人の飲食店開業塾』、『銀行としぶとく交渉してゼッタイ会社を潰すな!』 、『そのまま使える契約書式文例集』(以上、かんき出版)、『「危ない隣の会社」の資金繰り』(すばる舎)等多数。
(運営サイト)赤沼慎太郎公式サイト http://akanumashintaro.com/

飲食店に「特化」した物件を今すぐ探す

関連記事