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共同経営のトラブルを回避!トラブル事例と共同経営解消時に注意すること

共同経営はお互いに対する不満から、失敗してしまう場合もあります。その際に起こりやすいのが、利益の分配方法への不満といった金銭などのトラブル。実際の失敗談をもとに、共同経営を辞める際にはどのようなトラブルが起きやすく、事前にどのような対策・注意が必要なのかを解説していきます。

飲食店経営 2017/12/06

共同経営はお互いに対する不満から、失敗してしまう場合もあります。その際に起こりやすいのが、利益の分配方法への不満といった金銭などのトラブル。実際の失敗談をもとに、共同経営を辞める際にはどのようなトラブルが起きやすく、事前にどのような対策・注意が必要なのかを解説していきます。

共同経営をうまくやるには?まずはよくあるトラブルの原因を確認しよう

共同経営とは、複数の人が対等に近い関係で、一緒に店舗経営をしていくことをいいます。共同経営者が出資する額は等分の場合もあれば、1人が大半もしくは全額を負担する場合もあります。出資比率や意思決定権を同等にしても、ひとたび歯車が噛み合わなくなると、「対立」関係となり、トラブルに発展するケースもあります。
ここでは共同経営でよくあるトラブルの原因について見ていきましょう。

共同経営をしてトラブルになる原因

事業を成功させたいという同じ夢や目標を持ち、資金を出し合えるほど信頼していた相手なのに、なぜトラブルになってしまうのでしょうか?

出典:ぐるなび飲食店共同経営に関するアンケート調査2017年10月(N:114)

アンケート結果によると共同経営の主なトラブルは、閉店時における金銭トラブルが71.4%と圧倒的に多く、次いで出資に関するトラブル64.3%とお金に関することが多いことがわかります。また、経営者同士の主張の食い違い・気持ちのすれ違いがきっかけで共同経営者が脱退してしまうケースも多く見られます。以下は、具体的なよくある理由をまとめたものです。

出資や利益などのお金が基で、不満が溜まり関係悪化の原因に

共同経営者の仕事内容がまったく同じということは、ほとんどありません。例えば、経営者の1人は出資額が多く経営手腕に自信がある、もう1人は出資額は少ないけど優秀なシェフ、という飲食店のケースがあったとします。
一見、役割分担ができているようでも、金銭が絡んでくると、「自分のほうが多く出資しているのに、現場に自分の意見が反映されない」や「自分の新メニューで売上がアップしたのに、相手の報酬のほうが多い」など、お互いに不満や不公平感が増していくことがあります。これを放っておくと、関係が悪化し、トラブルにつながります。

経営方針の食い違い

経営者なら誰でも事業に対する強いビジョンを持っていますが、共同経営では己の経営方針を貫き通せないことがあります。考え方が合う経営者同士でも意見が衝突する場面は必ずあります。
例えば、「メニューの値段を安めに設定し、気軽に色々な人に来てほしい」といった方針と「高価で付加価値のあるメニューを提供し、リピーターを重視したい」という正反対の方針で対立するようなケースがあります。対立の頻度や内容によっては、どうしても納得がいかず、「自分1人でやったほうが成功するのでは?」などと、共同経営を解消するきっかけが生まれます。

環境の変化により途中放棄する場合も

事故や病気、家族の事情などで自分の置かれる環境が変化し、仕事ができなくなる場合もあります。共同経営を続けることが困難となり、他の事情でお金が必要になったとき、辞める経営者は今後のために資金を取り戻したいと考えることがあります。
反対に他の共同経営者は、理由はどうあれ、経営者の1人が抜けることによって事業がダメージを受けると考えるかもしれません。例えば、共同経営を辞めるのが料理長だった場合、店の重要な要素である料理についてこれまで通りの味や見た目が保証できなくなるため、店の経営に影響が出てくることに対して、損害賠償を請求してくる可能性もあります。

共同で事業を育ててきたからこそ、お互いに「裏切られた」気がして感情的になりやすく、喧嘩別れに終わってしまうことがあるようです。


共同経営中・共同経営解消時に起きたトラブル事例を3つ紹介

ここからは、実際に飲食店の共同経営者の間で起きたトラブル事例を3つ紹介します。

1. 【共同経営中】経営方針・考え方が合わずトラブルに発展
(40代女性/居酒屋経営/愛知県)

宣伝の仕方、メニュー構成、価格、スタッフ教育など、すべての面で意見が食い違いました。例えば、私は、宣伝は出来る限り予算をかけてやりたいが、相手は宣伝にお金をかけず店舗周辺を通るお客様だけを集客する考え方でした。
メニューの価格を決める際、コストがかかるメニューは原価を改修できる価格をつけたかったのですが、相手が安い値段を設定してしまいました。アルバイトのレジ担当を教育せず、1人でなんでも行ってしまうので、スタッフが育たなかった点も大きな問題でした。

2. 【共同経営中】出資の多い人の意見が強くなりトラブルに発展
(20代男性/居酒屋経営/秋田県)

業績が悪い時に、出資比率が高い人の意見ばかりが通り、経営方針などで不満が募っていきました。また、開業時に出資の比率と責任の所在を明確にしていなかったため、最終的に責任のなすり合いになってしまったことで共同経営がうまくいかなくなりました。

3. 【共同経営解消時】利益の分配方法でトラブルに発展
(30代男性/居酒屋経営/千葉県)

閉店する際に、過去に出ていた利益の分配方法について揉めました。誰が、調理器具、レジシステム、宣伝費、アルバイト採用を決めたかで、配分の金額を決めることになりました。これから頑張ろうという状況では出資金の違いも気にしないで事業を行いますが、経営が厳しくなると、取り分に不満が出てきます。店舗の方向性に違いが現れたときにも出資金の違いにより揉めることになります。最終的に解消する場合は、全額返してもらいたい、自分のほうが損をしているなどと言われ、最悪な形で終わってしまいました。
閉店してから、利益のお金が手元に来るのに、3カ月以上かかりました。

事例の3名の共通点としては、出資金などのお金や、経営方針の違い、責任の所在、この3点が大きく関わっていることがわかります。共同経営でトラブルにならないためにはどうすればいいのでしょうか?

共同経営を辞める際に起こりやすいトラブルの予防方法と注意すること

共同経営を解消するときに、特に問題になりやすいのが「お金」と「権限」です。
トラブルを回避するには、あらかじめ共同経営の基本的ルールを取りまとめた共同経営契約書などを交わして、この2点について明確にしておくことが大切です。税理士・弁護士などの専門家に相談し、正式な契約書を作成したほうがよいでしょう。

事前にお金の取り決めをしておく

経営者には事業から脱退することができる権利と、過去の投資額を払い戻し請求する権利があります。
辞める人には、「いくら投資額を戻す」などを決めておく必要があります。
また、払い戻すにしても、経理上の記録が重要になりお金が動くときは、「いつ誰の名義で」「どんな名目でいくらのお金が動いたのか」を書面に残します。
特に開業して初めての決算処理や確定申告が終わるまでの間は、状況によっては経費の精算が後回しになりがちです。個人のカードや銀行口座から立て替えたものは、「いつ」「何を」購入したのか明確でないと払い戻せない可能性もあるので、事業用口座やビジネスカードを使って、自動的に支払い記録が残るようにしましょう。
こうした記録・証拠を残しておけば、共同経営を解消するときに払い戻しがスムーズですし、トラブルになっても法律の下で解決する可能性があります。

<お金に関する取り決め>
・出資金、運転資金、増資額などの投資額の負担割合
・利益の分配、報酬の計算方法
・経理に関するルール
・事業で失敗したときの経営者としての責任範囲

事業に対する権限など役割分担を明確にする

共同経営においては、出資金額の違いや店舗における実質的な立場の違いによって、意思決定権や影響力の強さは異なります。例えば、飲食店を共同経営している2人がどちらも同額を出資し、経営に関し細かな取り決めをしていなかったとします。このとき、一方に長年有名レストランに勤めていたというシェフとしての経験があった場合、メニューの考案や仕事の流れを指示していくことが多く、現場でより影響力を持つことになるでしょう。この影響力が増すと、経営全体に対しても、強い影響力を持つようになることも考えられます。
そのため、「誰が事業のどの部分に対してどの程度の権限があるのか」をあらかじめ決めておくことが、トラブルを回避するためのポイントです。共同経営の場合は、以下のことは必ず決めておきましょう。

<事業に関する取り決め>
・事業や職務の分担、権限の範囲
・意見が異なる場合の調整方法、最終決裁者
・誰かが辞めるとき、事業を存続するのかどうか
・事業を存続するとき、事業や店舗備品や在庫は誰のものになるのか
・スタッフの引き抜きに関するルール
・店名やコンセプト、ロゴデザインなどの使用について

契約書を交わすまで辞めない選択肢もある

共同経営を解消したいけれど、お金や権利についての取り決めがない場合は、共同経営契約書を作成するまで辞めないという方法もあります。
相手に「共同経営を辞めたいから投資額を返して」というと角が立つので、トラブルにつながりやすくなります。
いきなり返金の交渉をするのではなく、共同経営メンバーに、辞めることを考えている意思を告げる必要があります。
互いにトラブルにならないために、契約書を作成する必要があります。

個人経営にない共同経営のメリットとは?

1人では、資金調達に時間がかかる場合がありますが、共同経営であれば、資金の出し合いにより、早い段階で資金が集まる可能性が高いです。また、お互いの能力や経験値・人脈を活かせるような役割分担や権限の分配がしっかりできていれば、成果もあがりやすくなります。

例えば、飲食店の共同経営者の1人が経営や財務を担当し、他方は店の料理や接客を担当する、というようなイメージです。
このような役割分担ができていれば、経営面で問題が起きた場合でも1人で悩むことなく、経営に関する知識や経験のある他の経営者と一緒に立て直し策を話し合うことができるでしょう。また、経営面に強い他の経営者の人脈を活かして多方面からの意見をすぐに聞ける可能性が高くなるので、解決の糸口が見つけやすくなります。

まとめ
共同経営は、早い段階での資金調達ができたり、経営者それぞれの強みを活かした経営ができるメリットがあります。一方で、複数の指令系統がある状態であるため、組織運営はスムーズにいかないと言われています。トラブルの原因としては、閉店時の金銭の配分や、経営者間の考え方や意見の食い違いが多いようです。共同経営を辞める際のトラブルを未然に防ぐためには、出資額などの金銭や、役割分担などの権限についての取り決めを明確にしておくとよいでしょう。

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