2026/03/02 コラボ企画

立川市・ヤマス蔵カフェ|蔵を再生して11年、手作りでファンをつかむ個人店の経営術

築90年の自宅の蔵を再生し、カフェを開業した鈴木 志生子(しおこ)さん。この11年、子育てとの両立を模索しながら、柔軟な運営方針を打ち出し、徹底した“手仕事”で確実にファンを定着させてきました。小規模店が“長く愛される”ための店づくりについて、お話を伺いました。

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※スマイラー118号(2025年12月)より転載

立川市の印刷屋の蔵を再生。屋号「ヤマス」を守る店づくり

ヤマス蔵カフェのオーナー鈴木 志生子 さん(左)。お店のロゴには、印刷屋の屋号の「ヤマス」が入っている(右)

志生子さんが「ここでカフェをやらせてください!」とご両親に頼んだとき、それはもう大反対に遭ったそうです。こんな所で、しかも蔵で。しかし、「カフェになるわけがない」という親心からの心配は杞憂に終わります。オープン時は、いつもお客様がいらっしゃる。そんなお店になりました。

ご実家は、1930年創業の印刷屋さん。お兄さんが継がれて、今年95周年を迎えました。“ヤマス”は、その印刷屋さんの屋号です。“山印に鈴木のス”で「ヤマス」。その蔵で始めたカフェだから、「ヤマス蔵カフェ」という名称。

亡くなられたお父様は趣味人で、いろいろな文芸や芸能に造詣が深い。ことに落語は大好きで、親交のあった古今亭 志ん生(ここんてい しんしょう )さんを慕うあまり、娘に「志生子(しおこ)」とつ名付けたそうです。志ん生さんから頂いたキセルをお持ちだとか。「ええ、兄が持っています。でもね、 タクシーの中で頂いたとかで、志ん生さんも父もいなくなった今となっては、このキセルが本当に志ん生さんのものだという証拠がなくて、そのまま置いてあります」と志生子さん。美しい思い出として、志生子さんの名前とともに大切にするのが一番ですね。

宣伝なしでファン増。子育てとの両立、柔軟な営業で歩む

落ち着いていて、そしてアットホームな空間

もともとカフェがやりたかった志生子さん。古くなった母屋を建て替えるという時に、物置になってはいたけれど、子どもの頃からずっと見てきた蔵が無くなることは想像できなかったそう。だから、ここをカフェにと思い立ったのだとか。まだ下のお子さんが2歳くらいの時に始めたので、まさに子育て中のため、カフェを休まなければならない日もあって、「いったいいつになったらちゃんと営業できるのだろう」と思う日々。

「宣伝も全然できないし、宣伝したところで、住宅街のど真ん中、突然休む日もあるのにわざわざ来てくださるお客様のことを考えると、宣伝する勇気もでなかった」と志生子さん。うまく入店できたお客様には、「こんな感じでやってます」「ゆるゆるなんです」などと言いながら、少しずつファンを増やしていったのだそう。

「私、季節感とかも無視してやっていたんです。真夏でもドリア、みたいに。ですが、ある方が『夏場にはかき氷をやってみるといい』とアドバイスしてくれたんですね。やるならただのかき氷じゃ面白くないと思って、富士山の天然水の氷で、5種類の手作りシロップをふんだんにかける、そんなかき氷にしたら、お客様が来てくださるようになりました」と志生子さん。

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昭和レトロの空間価値と「手仕事」の魅力

レトロなかき氷機

――志生子さんのお料理は、ほぼ手作りなんですね。だから本当においしい。

志生子さん:カフェを始めて驚いたのは、「手作りですか」って、頻繁にお客様に聞かれることです。こんなこと、聞かれると思っていなかったので。キッシュのパイ生地も自分で作っています。

でも、キッシュの具はたいして入っていないんですよ(笑)。ベーコンとオニオンとキノコくらい。オーブンにパイ皿が2台しか入らないので、キッシュは一度に2台しか作っていません(笑)。キッシュ1つ作るのに、3回くらい焼かなればならないんです。まず生地を作って伸ばして焼いて、焼けたら今度は具材を入れて焼いて、最後にサクッと焼き上げるという具合に。手作りのスイーツとキッシュ、ランチのクロックムッシュとかチキンドリアとか、一生懸命作っていますが、おいしいと言っていただければありがたいですね。

日によっては、ドリアに偏ってしまう時もあるんですよ。チキンドリアとカレードリアだと、圧倒的にカレードリアの方が人気が高い。ドライカレーのドリアです。 面白いですよね。気分が乗ったときはメニューに無いものも作ります。雰囲気を気に入って来てくださるお客様も多いですね。こんな暗いところで大丈夫かなと思うのですが、勉強しに来ている学生さんとか、営業の方とかもいらっしゃいます。長居していただいていいので。会社に居づらい時はぜひ(笑)。

店内にはレトロなインテリアが並んでいる

昭和レトロのこの雰囲気が好きで常連になってくださると、いつの間にか忙しい時にはお店を手伝ってくださったりしています(笑)。でも最近、この昭和レトロの展開が正解なのかどうかわからなくなっちゃって。どうしていったらいいのか。それでルームスタイリストの勉強を始めたんです。

――志生子さん、どこまでも極めますね。

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キャッシュレス化がもたらした、経営のメリット

――こちらのカフェは小さいお店ですが、キャッシュレスでお支払いできるんですね。

志生子さん:キャッシュレスにして本当に良かったと思っています。もちろん現金も扱いますが、コロナ禍前にIT化しました。売上や客数もすぐにはっきり出ますし。お客様の注文してくれる品数が、キャッシュレスの方が増えているので本当によかったと今は思っています。


――開店から11年が経って、これからはどんな風になさっていくのですか。

志生子さん:私、50歳を過ぎたので、これからもっといろいろやりたいことをやっていこうと思っていたのですが、やっと自分の子育てが終わったと思ったら、今度は孫の世話が始まってしまいまして……。

――ええ? お孫さん! それはびっくり。

志生子さん:なので、子育てが終わってもなおゆるゆるです。ネット上にお休みをアップするようにしていますから、それをご覧になっていらしてください。

文:Betty
地域コミュニティ誌を書いて25年。「私の興味はみんなの興味」と信じて取材を続けています。文化・芸術・スポーツ、もちろん食べることも、浅く広くですがとにかく守備範囲の広いことだけが自慢です。
取材協力:ヤマス蔵カフェ
住所:東京都立川市富士見町5-8-14
https://www.instagram.com/yamaskuracafe/


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