2018/08/13 繁盛の法則

ていねいに焼き上げた串ものの商品力が魅力のもつ焼き店とは

売上急上昇の「もつ焼★キャプテン」(東京・西新宿)に学ぶ-もつ焼き専門店で修業を積んだスタッフが核となり、質の高い串焼きを提供。女性の来店も増えており、18坪48席で月商800万円を超えている。

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もつ焼★キャプテン

Key Point

  1. 質の高い串焼きや一品料理を提供
  2. 安心感のある店舗で女性客を誘引
  3. アルコール比率7割を実現

中核スタッフの技術を活かし、既存店の近くに新業態を出店

「キャプテンこと、中山昭徳店長が焼くもつ焼きがとてもおいしかったので、新たにもつ焼き業態を開発しました」と、東京・西新宿の「もつ焼★キャプテン」を経営する株式会社ロイヤルストレートフラッシュ 代表取締役社長の類家令奈(るいけれおな)氏は語る。同社は2010年10月に西新宿に出店した「丸鶏るいすけ」からスタートし、2013年5月に「ワインのるいすけ」、2015年3月に「ワインのるいすけゼロ」、2016年12月に「丸鶏るいすけハナレ」を、徒歩数分圏内に出店。「丸鶏るいすけ」では「丸鶏の素揚げ(半身)」(1058円)、「ワインのるいすけ」では「ヒナ鶏の石窯焼き(半身)」(1058円)を看板商品とし、ともに鳥取産の大山地鶏と神奈川産の三浦野菜を使った、ひと工夫ある料理で人気店となっている。

もつ焼き業態を一任された中山氏は、現在、同社の取締役副社長を務めている。中山氏は都内にあるもつ焼きと日本ワインの有名店で3年修業した後、2013年、同社に入社した。ワインを主軸にした業態の立ち上げや、朝採れの新鮮な三浦野菜の導入にも貢献し、キャプテンと呼ばれてリーダーシップを発揮。前職で修得したもつ焼きの技術も評価され、中山氏を中心にもつ焼き業態の開発に乗り出し、出店を企画した。

既存店からほど近い場所に、まず「もつ焼★キャプテン」を2017年3月1日に、続けてJR代々木駅近くの古民家を改装した飲食店街「ほぼ新宿のれん街」内に、「もつ焼とワイン★キャプテン」を2017年3月17日にオープンした。ともに、東京・芝浦の業者から豚などの新鮮なもつを仕入れ、店内でていねいに下処理し、丹念に串に刺して炭火で焼き上げる。部位に合わせて、塩、あっさりしたしょうゆベースのタレ、赤ワインベースの甘辛のタレなどを使い分けている。さらに、安全性と食感を考慮して低温調理で仕上げたもつの刺身類や、白味噌仕立ての「もつ煮込み」(380円)などが好評を得ている。

ドリンクは、「もつ焼★キャプテン」では生ビール、ハイボール、スタンダードなサワー類に加え、シャーベット状に凍らせた金宮焼酎を使った「シャリ金サワー」(626円)などもよく出ている。一方の「もつ焼とワイン★キャプテン」では、輸入および国産ワインを充実させ、ワインに合う酒肴も加えている。

丹精に焼き上げられたもつ焼き(写真手前)は、左から「黒ガツ」、「てっぽう」、「はらみ」、「レバー」、「ハツモト」(各162円)。「低温調理のタン刺」(写真奥/594円)は、60℃での調理で生に近い食感に仕上げ、塩・コショウで調味し、柚子胡椒を添えて提供する。シロやガツなどの白もつを使い、白味噌仕立てにした「もつ煮込み」(写真中央/410円)は、多い日は1日30食ほど出る人気メニュー

確かな商品力を基に年末から認知度が上昇

「もつ焼とワイン★キャプテン」も、16坪40席で月商平均520万円と健闘しているが、特に昨年末から売上が急伸しているのが「もつ焼★キャプテン」で、18坪48席で月商800万円を超えるようになった。客単価は4000円と、同社の居酒屋業態の中では高く、アルコール類が売上の7割を占めているのも特徴である。

「早い時間帯は、ドリンク1、2杯と串焼き、もつ煮込みで2000円前後という人もいますが、アルコール類をかなり飲むお客様が多く、なかにはハイボールを10杯飲む人もいます」と中山氏。また、清潔感のある白いのれんと、ガラス戸越しに店内がよく見える安心感から、カップルや女性グループの来店も多く、女性が約4割を占めている。

同店が居酒屋企業の新業態として、もう一本の柱に成長してきた要因は、以下のようになるだろう。

  1. もつ焼き専門店で修業を積んだスタッフが核となり、質の高い串焼きや一品料理を提供している。
  2. 清潔感、安心感のある店舗造作で、女性の来店を促進している。
  3. アルコール類を充実させ、ドリンクの売上比率7割を実現している。

「串焼きは1日約500本用意していますが、毎日ほぼ完売しています。もつ焼き自体に自信を持っていますし、商品そのものの価値で勝負しています。“昼呑み”の需要もあると思いますので、体制が整えば土・日曜日・祝日は昼から営業したいですね。そうすれば月商1000万円に届くかなと考えています」と、中山氏は期待をふくらませる。

一見、順風満帆のような同社だが、1号店出店後の約1年は不振が続き、商品の見直しやスタッフの総入れ替えなど、抜本的な改革を余儀なくされた。西新宿とはいえ、繁華街からやや外れ、斜め前が墓地という物件で独立開業したのも、「過剰な自信があったからです」と類家氏は振り返る。開店後に売上が低迷するなかで、「こういう店をつくりたい」という類家氏の想いと、当時のスタッフの勤務実態がずれていき、一時は1人で営業せざるを得ないような状況に陥った。類家氏は仲間に「助けてくれ」と真剣に頼み、その時に入って来てくれた中山氏など現在の中心メンバーに助けられたことから、売上が倍増。次第に成長軌道に乗せることができた。今後も年1店ほどのペースで出店を続けていく考えだが、その際は有能なスタッフの将来に配慮し、社内で新たなブランドを立ち上げたり、のれん分けのシステムを構築していきたいという。9月には、渋谷の商業施設への出店が決まっており、進化した窯焼きチキンを訴求する予定である。

もつ焼★キャプテン
住所

東京都新宿区西新宿7-19-11 小玉ビル 1F
TEL 03-5358-9626
営業時間
17:00~24:00(L.O. フード22:45、ドリンク23:30)
定休日
無休
https://r.gnavi.co.jp/8bjhd4hs0000/