両国「焼き鳥 はな火」本日のおすすめで心をつかむ!季節感と驚きで魅了するアレンジ串

高級店はもちろん、大衆価格の店で食べてもそれなりにおいしい。でも季節感まではあまり無い……。焼き鳥とはそういう料理だと、どこかで思っていました。でも「焼き鳥でここまで季節感や驚き、美しさを表現できるんだ」と気づかせてくれたのが、2024年にオープンした「焼き鳥 はな火」の「季節のアレンジ串」です。正統派焼き鳥ファンの方にこそ知ってほしい、新しいおいしさを深掘りします。

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夏のアレンジ串「ジェノベーゼ串」「葱レモン串」

「ジェノベーゼ串」「葱レモン串」(各1本350円)

炭火で香ばしく焼き上げた鶏肉に、旬の食材や意外な調味料を合わせる——。両国にある「焼き鳥 はな火」のアレンジ串は、一口食べるたびに従来の焼き鳥のイメージを心地よく覆してくれます。

今回は、週末の酒場巡りが趣味のフードライター・桑原 恵美子さんが、驚きに満ちた「季節のアレンジ串」から、夏の2品を紹介します。

桑原 恵美子
フードライター。十数年間にわたり、新聞社系の媒体で大手チェーン飲食店や新オープンの商業施設の飲食店、食品メーカーを中心に取材。ぐるなび媒体「dressing」でも100軒以上の飲食店を取材。「ラクなのに美味しい 驚異の弱火調理法」(三空出版)など料理レシピ本の構成にも携わる。
訪れた飲食店を紹介している個人ブログ:
https://ameblo.jp/amaguri0111/theme-10066247104.html

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焼き鳥 はな火(東京・両国)

【店舗Data】
焼き鳥 はな火
業態:焼き鳥 居酒屋
席数:17席(カウンター6席、テーブル2卓)
客単価:6,000円
客層:20代後半~50代、男女比3:7、外国人客も多い
住  所:東京都墨田区両国2-14-8 1FB
アクセス:JR両国駅西口から徒歩2分
営業時間:16:00~23:00
定休日 :月曜日、年末年始
https://r.gnavi.co.jp/bby6hudc0000/
https://www.instagram.com/yakitorihanabi4524/

目次
外観はまるでカフェ!おしゃれで軽やかな焼き鳥店
華やかさで魅せる!「はな火」流・進化串
定番の安心感に、季節感と驚きを重ねて

外観はまるでカフェ!おしゃれで軽やかな焼き鳥店

「焼き鳥 はな火」(以下、「はな火」)は2024年4月、両国駅から徒歩2分ほどの路地にオープンした焼き鳥店です。道路に面した側はガラス張りで、一見するとまるでおしゃれなカフェのよう。お店の前を通りかかっただけで、店内の温かな雰囲気や楽しそうなにぎわいが伝わってきます。いわゆる“渋い焼き鳥屋”という従来のイメージを心地よく覆す、明るく華やかで、軽やかな空間なのです。

「はな火」の外観。通りに面した全面ガラス張りで、店内の設えや日本酒、季節の花々が外からも見える開放的な空間
  • 入って正面にはカウンター席
  • テーブル席は手前と右奥の2卓。店内のどこからもスタッフと目が合う安心感がある広さ

そんな「はな火」の一番の魅力は、季節で入れ変わる個性豊かな「本日のおすすめ」メニュー。中にはほんの数日しか味わえない、まさに一期一会の“幻の一皿”もあります。

カウンターの上に置かれたメニューボード。右上のシートに書かれているのが、食材との出合いによって変わる「本日のおすすめ」

実は、私がこのお店を訪れるきっかけになったのも、SNSで見かけた「本日のおすすめ」の画像でした。見た瞬間に「全品食べたい!」と心を掴まれ、実際に店舗へ足を運んだ際には本当に全品オーダーしてしまったほど。

そんな、お品書きを見ただけで食欲を爆発的にかきたてる「はな火」のお料理。その魅力を象徴しているのが、名物の「季節のアレンジ串」です。

華やかさで魅せる!「はな火」流・進化串

夏を感じさせる、爽やかなアレンジ串2種

焼き鳥って、おいしいけれど「季節感」で変化を出すのがむずかしい料理だと思います。それなりにおいしさが保証されている安心感はあるものの、大きな驚きは少ない……どこかでそんなイメージを持っていました。ですが、「はな火」のアレンジ串は違ったのです。

「ジェノベーゼ串」(1本350円)。焼きたての串に、温度差のある角切りクリームチーズとジェノベーゼソースという組み合わせが秀逸

「ジェノベーゼ串」は、たっぷりのジェノベーゼソースとクリームチーズをトッピングしたアレンジ串。温かい肉料理にチーズをトッピングするなら、トロトロに溶かして舌ざわりをよくするのが定石ですが、「ジェノベーゼ串」ではあえて、冷たい角切りのクリームチーズを乗せています。噛んだ瞬間に鶏肉とやわらかいクリームチーズがひとつになり、口の中で融合します。さらに、クリームチーズを噛んだ時に広がるまろやかなミルク感が、ジェノベーゼソースの風味をより引き立てるのです。見た目でも味わいでも夏を感じさせる一串です。

「葱レモン串」(1本350円)。ネギ塩ダレとレモンでさっぱりと

もう一つが「葱レモン串」。焼き肉の”ネギタン塩”をイメージして作ったという特製のネギ塩ダレがたっぷり乗っており、食べる直前にしぼるレモンによって、目が覚めるような香りと爽やかな酸味が加わります。これもまた、「ジェノベーゼ串」とはひと味違ったアプローチで夏を感じさせてくれるアレンジ。奇をてらわなくとも、工夫次第でこんなにも表情が変わるんですね。

  • 使用しているのは、千葉県産の錦爽(きんそう)どり。美しく爽やかな鶏をイメージして名づけられたその名のとおり、臭みが少なく上品な味わいなのにしっかりコクがある
  • 皮が薄く身はやわらかなのが特徴。炭は備長炭を使用している
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定番の安心感に、季節感と驚きを重ねて

店長の大坪 明夫さん。「両国は、相撲がある日は人が多いけれど、それ以外は意外に静かな街。自分の料理で少しでもにぎわいに貢献できればうれしい」と語る

お店のメニューを考案するのは、「両国 焼き鳥 はな火」の店長・大坪 明夫さん。その華やかで美しい料理の原点は、最初に修業を積んだ和食店「いけす料理 柏」(千葉県柏市)の店主・岩立 正和さん譲りなのだとか。「大将は生け花でも賞を取るほど美的センスが際立った方で、味はもちろん見せ方の意識も高く、今の自分に大きな影響を与えています」(大坪さん)。

その後、岩立さんのアドバイスをきっかけに、向島の料亭をはじめとする和食店や、フレンチの技法を取り入れた創作和食店で修業を重ねます。そこで“魅せる表現”の追求や自由な発想が、さらに広がっていったといいます。

  • カウンターの中央の花瓶に季節の花や枝ものを飾る
  • メニューには紙の四つ角を閉じる黒いボードを使用。紙が折れたり痛んだりせずに、美しさを保っている

転機となったのは、趣味のキャンプを通じて「炭火の扱い」に魅了されたことでした。炭を本格的に扱える料理として焼き鳥に着目した大坪さんは、30歳頃、亀戸に予約困難な人気店があると聞いて「炭火焼鳥 亀戸 酉(TORIYA)」へと足を運びます。

やっととれた予約で訪れ、その卓越した火入れの技術にひとくち食べて衝撃を受けた大坪さんは、感動のあまり、なんとその場で「働かせてほしい」と大将(現在の社長・野村 廣志さん)に直談判したそうです。「さすがにびっくりされましたけど(笑)、すぐに採用していただき、その後は12年間にわたり大将の横で鶏を焼き続けました」(大坪さん)。

2024年、42歳で新店を任され「はな火」をオープン。磨いた美的感覚と多彩な修業歴、探求心が実を結び、季節感あふれる料理が次々と生まれています。

「和栗とモッツァレラのつくね串」(1本480円)は、生栗の渋皮を残して裏ごしすることで、栗本来の風味と色合いを引き出す。「桜薫る春苺のサラダ」(1,300円)は、型抜きしたチュイールの華やかな飾りが目を引く(写真提供:はな火)

例えば秋に提供する「和栗とモッツァレラのつくね串」は、栗を生で仕入れて渋皮を残して煮て裏ごしし、モッツァレラチーズを乗せたつくねに絞り出し、生栗をすりおろしてトッピングするという凝りようです。

焼き鳥以外の「季節の一品」も、華やかなサプライズや季節感に満ちていて、フルーツを多用しているのも特徴です。その代表作が、春の「桜薫る春苺のサラダ」。甘みの強い苺やフルーツトマトに生ハムの塩気を重ね、桜の香りをまとわせたドレッシングでまとめた一品です。

「白桃とアールグレイのバスクチーズケーキ」(920円)。焼き鳥店と思えない本格的なデザートが味わえることも女性客が多い理由の一つ

さらに人気デザートの夏バージョン「白桃とアールグレイのバスクチーズケーキ」は、アールグレイが上品に香る生地のうえに、ぜいたくにも4分の1カットの白桃がゴロっと乗った、彩りも華やかな心が躍るスイーツです。

  • 冷蔵ケースに並ぶのは、日本酒好きの大坪さんが厳選した日本酒。「はな火オリジナルクラフトビール」(写真右の2本)はIPAとペールエールを用意
  • トマトのリキュールを強炭酸で割った「オリジナルトマト割り」(780円)。さっぱりした飲み口で焼き鳥の脂を流してくれる。マドラーに刺したミニトマトで混ぜやすく、最後に食べられる遊び心も魅力

店名の「はな火」には、「華やかな料理で両国の街に火を灯したい」との思いが込められているそう。でも私の中では、大坪さんの作る料理そのものが、美しさと驚きに満ちた“花火”そのもの。食材との出合いやひらめきで作る「本日のおすすめ」は数日で変わってしまうこともあり、一期一会の儚(はかな)さがあるからこそ魅力的なことも、花火と共通している気がします。

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