2014/07/15 挑戦者たち

株式会社プレジャーカンパニー 代表取締役 望月 大輔氏

株式会社グローバルダイニング出身の望月氏。現在、東京近郊で8店舗を展開する。人材育成にも力を入れ、年商100億円を目指す同社はいかにして成功したのか。これまでの歩みと今後の目標を聞いた。

URLコピー

企業規模として成長するだけでなく、社員が長く働き続けられる会社でありたい。

時代をリードする飲食店を次々と開発してきた、株式会社グローバルダイニング出身の望月大輔氏。現在、株式会社プレジャーカンパニーを率い、東京近郊のベッドタウンでのドミナント戦略で8店舗を展開する。人材育成にも力を入れ、年商100億円を目指す同社はいかにして成功したのか。これまでの歩みと今後の目標を聞いた。

――まず、飲食業界に入ったきっかけを教えてください。

学生時代に飲食店でアルバイトをしていました。仕事がおもしろく、何よりお客様とコミュニケーションをとるのが楽しかった。でも、飲食業に進もうとは考えていませんでした。

大学在学中に1年間、アメリカに留学した経験があり、卒業後はもっと世界を知りたくて海外へ。ワーキングホリデーと留学を合わせ、2年間オーストラリアで過ごしました。帰国後、とりあえず飲食店でアルバイトをしようと考えていたとき、目に留まったのが、株式会社グローバルダイニングが経営する「ゼスト キャンティーナ 恵比寿」の求人広告でした。どんな会社か、知らずにアルバイトの面接を受けたんです。

――実際に「ゼスト」で働いてみて、どのように感じましたか。

一番驚いたのは、成果主義が徹底されていることでした。給与に関しては明快な評価システムがあり、昇給・昇格は自己申告制で、若くてもやる気があって結果を出せば、地位も給料も上がりました。逆に、ベテラン社員でも結果が出せなければ、降格です。当時、「ゼスト」の店長は私と同じ24歳でしたが、年収は2000万円を超えていました。それを知ってから、負けん気に火が付きましたね。この会社で絶対にトップになってやると決意し、まず、目標に定めたのが店長。わからないことは先輩にどんどん聞いて貪欲に吸収し、真剣に仕事に向き合いました。当時、グローバルダイニングはとても勢いがあって、学ぶことが多く、やりがいもあり、1日中、仕事のことを考えていたと言っても過言ではありません。その結果、半年後には正社員に、その1年半後には、自ら手を挙げてお台場の「モンスーンカフェ」の店長になりました。その後、他店の店長を経て、エリアマネージャーも経験しました。

1975年、山梨県甲府市生まれ。2000年に株式会社グローバルダイニングにアルバイトで入り、翌年、正社員に登用。2002年7月からは「モンスーンカフェ お台場」の店長に就任。2010年2月に退社し、株式会社プレジャーカンパニーを設立。現在、3業態8店舗を展開。

――順調にステップアップしていた時期に、独立したのはなぜですか。

10年近く働くなかで、こうすればもっとお客様を呼べるのにと思うことも多かったのですが、会社には会社としての方針があり、私が考えていることを社内で実現するのは難しいと感じたのです。会社が好きで、社長のことも尊敬していましたが、自分の想いをかたちにするために、同じ考えを持つ仲間とともに会社を起こすことに。グローバルダイニングで培ってきたことをベースに、ブラッシュアップした店を出そうと考えていました。

業態として当初から念頭にあったのは、エスニック、イタリアン、炭焼きの3つ。最初の出店場所は、東急田園都市線のたまプラーザに決めました。過去に、たまプラーザの「モンスーンカフェ」の店長を6年間務めていた経験から、立地や客層を熟知していたからです。店長をしていた当時から、周辺には裕福な若い人たちが多く住んでいるのに、その人たちが行きたいと思えるおしゃれな店がなかった。また、「モンスーンカフェ」が好調だったことから、エスニック料理がこのエリアの女性に受けると確信していました。それで、ここに住む女性をメインターゲットに、エスニック料理とワインが楽しめる、アジアンテイストのビストロというコンセプトを打ち出したんです。

こうして、独立した2010年に出店したのが、「アジアンビストロ Daiたまプラーザ本店」です。

――出店にあたって、エリアや業態以外でこだわったことはありますか。

物件は、商店街の中にある築40年の古いビルの2階で、店舗面積は17坪。決して恵まれた立地とは言えません。しかし、会社を長く続け、発展させていくためには、自分たちの身の丈に合った投資と規模でスタートすることが大事だというのが、私たちの考えでした。「ニーズがあるのにそれに応える店がないエリアに出店すれば、多少立地が悪くても、お客様は必ず来てくれる」という自信もあり、あえてこの立地でスタートを切りました。狙いどおり、宣伝はまったくしませんでしたが、地元の主婦や若い女性に注目してもらい、口コミで売上が伸びていきました。

自分たちの考えが間違っていなかったと確信し、その後は、同じような郊外エリアに出店していくことにしました。ただ実は、同じ田園都市線の藤が丘に出店した2号店は、苦戦しました。駅の乗降客数が少なかったことが原因で、思うように客数が伸びなかったのです。このときの反省をもとに、以降は最寄り駅の乗降客数をより重視し、3号店目となる新百合ヶ丘店は成功することができたのだと思います。

――今年5月、これまでの郊外エリアとは違う東京・町田に出店されましたね。

現在、当社の年商は約8億円。中期計画では、2018年に年商20億円、長期計画では年商100億円の企業を目指しています。そのためには、少なくても年間3店舗の出店が必要で、同じような立地だけでは限界がある。それで東急田園都市線、小田急線などの沿線で、乗降客数が多い駅の周辺に出店エリアを拡大することにしました。町田は1日の乗降客数が40万人を超える繁華街で、新しい飲食店も増えています。可能性を秘めたおもしろい町ですよ。たまたまいい物件が出たので、イタリアンで出店しました。

今後は、より大きな商圏へも出店したいと思っていますし、スペインバルやカフェなど、新しい業態にもチャレンジしていきたい。エリア的には、当面は私の目の届く範囲で出店し、店舗数が増えた段階で、コンセプトごとに10億円規模の子会社を作り、ホールディング体制にしたいと考えています。

――店舗拡大には欠かせないのが人材。教育はどのように行っていますか。

人材育成は当社にとっても重要な課題です。店長から希望者を募り、副社長によって月1回開催される「経営塾」のほか、店長になりたい社員のための「店長塾」、店長対象の「サービス塾」、アルバイトスタッフの合同ロールプレイング、店長・料理長会議など、様々な研修や会議を定期的に実施しています。社内の教育制度はかなり充実していると思いますよ。また、実力主義を取り入れ、売上に応じたインセンティブを報酬に反映してモチベーションを高める一方、長く働き続けられる環境を整えることも重視しています。

企業理念としては、「感動の追求と提供」「社員全員経営者」「家族・仲間と共に夢を追い、人生を楽しむ」の3つを掲げています。ここにもあるように、スタッフは家族であり、仲間であるというのが当社の考えです。今後も全員で同じ目標に向かって進んでいき、みんなに幸せになってほしいですね。

年4回、全店を休業して社員、アルバイト全員参加によるイベントを開催。今年は7月7日に約100人でバーベキューを楽しんだ

――最後に、飲食業界で経営者を目指す人へのアドバイスをお願いします。

例えば、若いうちに海外へ出て、視野を広げるのもおすすめです。飲食業界に限らず、何かに本気でチャレンジしていけば、いろいろなものが見えてくるようになるはずです。

炭焼き 大 たまプラーザ本店(神奈川・たまプラーザ)
http://r.gnavi.co.jp/5k08f8tp0000/
串焼きとワインが楽しめる和テイストのバル。国産の新鮮な鶏の串焼きをメインに、馬刺し、創作料理など、幅広いメニューを提供して人気。
トラットリア&ピッツエリア Dai 町田本店(東京・町田)
http://r.gnavi.co.jp/df39nsza0000/
おしゃれな店内で、イタリアンをベースに小皿料理、生パスタや手打ちパスタ、薪窯で焼く本格的なピッツアが楽しめる。ワインやカクテルも豊富。

Company Data

会社名
株式会社プレジャーカンパニー

所在地
神奈川県横浜市青葉区美しが丘2-21-10 4F

Company History

2010年 株式会社プレジャーカンパニー設立
     「アジアンビストロ Dai たまプラーザ本店」オープン
2011年 「アジアンビストロ Dai 藤が丘店」「アジアンビストロ Dai 新百合ヶ丘店 WINE&BAR」オープン
2012年 「ワインビストロ Dai たまプラーザ本店」ほかオープン
2013年 「炭焼き 大 たまプラーザ本店」ほか オープン
2014年 「トラットリア&ピッツエリア Dai 町田本店」オープン

※本記事の情報は記事作成時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報はご自身でご確認ください。

ぐるなび通信をフォローする