2011/11/29 繁盛の黄金律

瞬発力を身に付けて、“売れる時間”にもっと売る!

店の構造と、調理力、サービス力を総チェック!「ランチは13時30分を過ぎると、客足がピタリと途絶えます」「夜、21時以降はさっぱりですわ」。こういう店主の嘆きの声をよく聞きます。

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Vol.3

店の構造と、調理力、サービス力を総チェック!

「ランチは13時30分を過ぎると、客足がピタリと途絶えます」「夜、21時以降はさっぱりですわ」。こういう店主の嘆きの声をよく聞きます。13時30分以降、そして21時過ぎに、「ここでもうひと山あったら、売上がグンと上がるのに」と思うわけです。
実にもっともな希望ですが、そのために打つ手は、おおかた失敗に帰します。あまり無理な作戦を立てると、店のフォーマット自体が狂ってしまいます。ダメな時間はやっぱりダメなものなのですね。

結論を先に言っておきましょう。客数を増やし、売上を伸ばすベストの方法は、"売れている時間をもっと売れる時間にする"ことです。これ以外に方法はありません。

「何を言っているんだ。その時間はいつも満席で、限界いっぱい売っているんだよ。今以上に売れるわけがないじゃないか」と、お叱りを受けそうですが、それはあなた(店主)が限界と思っているだけです。ピークタイムは、チャンスロスタイムでもあるのです。ウエイティングしているお客様へのフォローがなく、去ってしまう方はいませんか。50席あるのに、満席時の実際の客数が25人ということはありませんか。オーダーテイクや商品提供に時間がかかり、お客様の滞在時間が不要に長くなっていませんか。

つまり、客席構成の悪さ、キッチンスタッフの調理能力の低さ、調理場のレイアウトの悪さ、キッチンとフロアの連携の悪さ、サービス力の低さなど、店作りとオペレーションのレベルの低さが原因で、取れるはずの客数を逸しているのです。
アイドルタイムにお客を呼び込む努力も確かに必要ですが、ゴールデンタイムをフル稼働させることに全力を注ぐべきです。キッチンの機動力は万全か、調理力は十分備わっているか、客席配置は現状で良いか、サービス力は十分に鍛えられているか。ハードとソフトの総点検をしなくてはなりません。

仕込み過ぎに注意。「牛のよだれ」型の店も、その強さをしっかりと生かそう

力がついてきて、店のレベルが総体的に上がると、ピークタイムの客数がジワリと上がっていきます。そうなると、しめたものです。そして不思議なことに、ランチもディナーも、ピークタイムが前後に伸び始めます。今までアイドルだった時間が、稼働時間に変わっていくのです。自然とお客様がピーク前半と後半に来店するようになるのですね。

ここで注意しておかなければならないのは、仕込みをし過ぎないことです。提供時間を早めるために、下準備をやり過ぎると、せっかくの商品の質が低下してしまいます。例えば刺身を開店前に全部カットしてしまったり、付け合せのサラダを多く作り置きしてしまったり、フライのパン粉づけや野菜のカットを済ましておいたり、商品劣化を招くような下準備は絶対にやってはいけません。致命傷になります。

仕込みは大事です。が、やってはいけない仕込み作業を整理しておくことは、絶対に必要です。いくら稼働率を上げる準備をしたとしても、店の人気を下げるようなことをしたら、元も子もありません。
"強い時間をさらに強くすること"。これが店の力を高めることなのです。店は、ピークタイムの稼働力を高めることで鍛えられます。このことをどうか肝に銘じておいてください。

あ、それから言い忘れました。特別なピークもなく、全営業時間中にダラダラとお客様が来店する店も侮れません。いわゆる「牛のヨダレ」ですね。喫茶店やファミリーレストラン、町のそば店などではこういった店がありますが、これはこれでその業種的強みをしっかりと生かす営業力を持たなければなりません。

株式会社エフビー 代表取締役 神山 泉 氏
早稲田大学卒業後、株式会社 柴田書店に入社。「月刊食堂」編集長、同社取締役編集部長を経て、2002年に株式会社エフビーを発足。翌年、食のオピニオン誌「フードビズ」を発刊。35年以上もの間、飲食業界を見続けてきた、業界ウオッチャーの第一人者として知られる。