2016/11/25 繁盛の黄金律

独立開業に失敗するお店は、この4つの理由のどれかに大抵当てはまっている

参入も多いが、その大部分が退出する世界 -飲食業界は「小学校の学芸会」と言われます。子どもが舞台に上がりは、また去っていくからです。参入はもちろん、退出(閉店)も多いということです。

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Vol.63

参入も多いが、その大部分が退出する世界

飲食業界はよく、「小学校の学芸会」と言われます。入れかわり立ちかわり子どもが舞台に上がり、また去っていくからです。参入も多く、退出(閉店)も多いということですね。

参入が多い理由は、小投資で開業できるからです。極端な話、ガスがあって、寸胴と鍋があれば、ラーメン店を開業できてしまいます。少しばかりの資金と技能があれば、「よし、俺もいっちょやってやるか」と思い立つ人が次々と出てくるのも、当然なのです。しかも、無手勝流で始めても、いくつかの幸運が重なって、結構な繁盛店を生み出すこともあります。外食業は粗利益率が高いですから、当たればすぐに小金持ちが誕生します。

一方、敗退組も後を絶ちません。参入する人の9割は、結果的に敗退組になると言っても過言ではないでしょう。せっかくの技能と資金を持っていながら、無知と無計画が敗退を招くのです。押さえるべきところをしっかりと押さえてさえいれば、こんなことにならなかったのに、というケースがあまりに多いのは、至極残念なことです。

失敗する理由は、大別すると次のようになります。

  1. 立地を間違えた。
  2. 資金が底をついた。
  3. 開店時の混乱で、力を出し切れなかった。
  4. 売上を利益と勘違いしてしまった。

この4つです。

外食業は立地ビジネスです。ぐるなびのような媒体の登場により、ある程度の立地のハンデは、商品力・サービス力・企画力などで克服できるようになりました。しかし、間違えないでください。「いい立地」というのは、業種・業態に合った立地ということです。高い金を払って一等立地に店を出したとしても、商売の内容と合っていなければ、目も当てられません。

例えば、マクドナルドやスターバックスや銀行のATMがある立地は、一等立地で家賃もベラボーに高いですが、フランス料理やイタリア料理やカウンター割烹などの、主に夜の来店を狙う商売には合いませんね。大通りから「一筋中に」入らなければなりません。そういう立地は競合店が多すぎるということで、出店を断念する人もいますが、やろうとする商売に合っている(狙うお客が多い)かどうか、ということですから、本当に自信があるのならば、その激戦区に切り込んでいったほうがいいのです。もちろん激しい競争にさらされますが、「勝てば総取り」も夢ではなくなります。

立地で失敗しないために、心に刻んでおくべき言葉があります。それは、「安い物件には、傷がある」という言葉です。“掘り出し物”もないとは言いませんが、基本的にはないと考えておいたほうが、失敗がありません。

経営が軌道に乗っても、当面は入金よりも出金のほうが多い

2の「資金が底をつく」もよくあるケースです。開業した本人は、店さえ完成すればすぐに売上が立って、その後は売上金でまかなえる、と考えてしまいがちですが、そんなに都合のよい話はありません。軌道に乗ったとしても、開業当初は入金よりも出金のほうが多いのです。

売上に関係なく、材料費・人件費・家賃・水道光熱費はどんどん出ていきますし、備品や機器などに関して、買い足しをしていかなければいけないものも発生します。これからの営業費を合算して、少なくともその6カ月分は現金で持っておかなければ、余裕のあるスタートは切れません。商売は楽観的な人のほうが向いていますが、うまくいかなかったときの撤退作戦も頭に入れておかなければなりません。

それから、飲食の仕事で独立しようというときは、共同経営はやめたほうがいいでしょう。二人三脚で見事に成功というケースも、稀にはありますが、失敗しても成功しても、仲たがいするケースの方が圧倒的に多いです。それを私は40年以上見てきていますから。

資金については、「軌道に乗っても金は出ていく」を格言にしておきましょう。出資者を見つけるのも、あまり勧めません。「利子なんかいらないよ」と最初は鷹揚(おうよう)な態度を取っていても、失敗したとみると、ガラリと態度を変えて、苛斂誅求(かれんちゅうきゅう=情け容赦なく取りたてること)を極めることとなります。そういう出資者に苦しめられている人も、私はずいぶん見てきました。

借金は、実の親と金融機関に頼ったほうが、安心安全なようです。【後編へ続く】

株式会社エフビー 代表取締役 神山 泉 氏
早稲田大学卒業後、株式会社 柴田書店に入社。「月刊食堂」編集長、同社取締役編集部長を経て、2002年に株式会社エフビーを発足。翌年、食のオピニオン誌「フードビズ」を発刊。35年以上もの間、飲食業界を見続けてきた、業界ウオッチャーの第一人者として知られる。

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