2019/05/14 特集

外食ならではの強みを活かすのがカギ! 飲食店が手がけるテイクアウト

飲食店の新たな販路として注目されるテイクアウト。店舗の大きさに関わらず、売上アップが期待できる。どのようにテイクアウトに取り組んだらよいかコンサルタントに聞くとともに、事例からその道筋を見つけたい。

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高い専門性とクオリティを武器に、新しい価値を創出して、販路拡大へ

お話を伺ったのは… 城取フードサービス研究所 代表 城取(しろとり) 博幸氏
大学卒業後、大手外食チェーンを経て、スーパーマーケットチェーンで店長、日配食品担当、バイヤー、惣菜バイヤーなどを務め、1992年に独立。小売店や食品メーカーの惣菜と日配の改善と改革を中心とした実践的なコンサルティングを行う。雑誌『食品商業』や書籍『すぐ分かるスーパーマーケット惣菜の仕事ハンドブック』(どちらも商業界刊)などで執筆も行う。

中食市場は堅調に成長。新たな形態も生まれ活性化

 日本の食マーケットの中で、今、もっとも拡大しているのは、調理済みの食品を購入して自宅で食べる「中食」の市場だ。一般社団法人日本惣菜協会が発行する『2018年版惣菜白書』によると、中食の中心的存在である「惣菜」(家庭外で加工・調理され、持ち帰って調理加熱せずに食べられる、日持ちしない食品)の市場は、2017年、ついに10兆円を突破した。2007年と2016年を比較すると123%を超える成長率で、外食の成長率(同103%)を大きく上回っている。

 中食や惣菜市場の動向に詳しいコンサルタントの城取博幸氏は、背景に「家庭での調理が減っていること」を挙げる。女性の社会進出や核家族化などが、中食市場の成長につながっているという。同時に城取氏が指摘するのが、内食・中食・外食の垣根が低くなり、新しい市場を生み出しつつある現状だ。「スーパーマーケットのような小売業は、内食用に食材そのものを売るだけでなく、中食用の惣菜の販売へシフトを強めるとともに、外食市場にも積極的に進出しようとしています」と言う。

 その現れの1つが、小売店の「グローサラント」という動き。グローサラントは、「グロッサリー」(食料品)と「レストラン」を合わせた造語で、食材を販売しつつ、その食材を使った料理が店内で食べられる新しい形態を指す。生鮮品や調味料などの物販に、飲食業が持つライブ感をプラスアルファすることで、さらなる購買につなげる狙いがある。

 これに対して、外食市場からも中食のみならず、内食にアプローチする動きが生まれている。城取氏は「海外では、その動きが活発で、飲食店が料理で使っている食材やおすすめの調味料、自店で作る惣菜などを販売して成功している例が多数あります。日本でも徐々にこの動き、つまり外食の強みを押し出して内食・中食市場に進出する飲食企業も見受けられます。これが広がれば、今までにない市場が生まれる可能性があり、日本の食市場の活性化につながるのではないでしょうか」と展望する。

 この好例の1つとして氏が紹介するのが、あるフードホールに出店している外食企業の販売方法だ。「新鮮な果物を陳列し、オーダーに応じて目の前でフレッシュジュースにして提供しています。使用する果物も販売し、五感に訴える戦略です。できたてのシズル感やおいしさには、外食ならではの価値があります」(城取氏)。できたてを提供するため、調理の待ち時間があるが、それも期待感につながる。「店で食べるときと同じようなできたてを持ち帰れること、店で使っている食材と同じものを購入できることは、消費者にとって魅力的に映ります。外食企業によるテイクアウト事業は、あらたな価値を生み出すことができるのではないでしょうか」と城取氏は分析する。

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