2019/08/23 挑戦者たち

株式会社 WONE 代表取締役 阿部 真也 氏

「若旦那」ブランドを軸に、新潟でドミナント展開する株式会社WONE。代表の阿部真也氏は20代で整骨院を開業し、その後は介護、飲食、美容へと事業を拡大。その原動力と多角経営の強みを活かした今後の展望を聞いた。

URLコピー

様々な事業を手がけ、現場に立たない“お客様目線”が強み

――最初は整骨院で起業したそうですね。飲食業を始めた経緯を教えてください。

 実家が新潟で整骨院を経営している関係で、高校を卒業して東京の専門学校で柔道整復師の資格を取った後、地元に戻り、親の会社に入社しました。そこで院長業務の経験などを積み、新潟市内に新たに整骨院を開いて独立したのが25歳のときです。家族や親戚など周りに経営者が多かったこともあり、起業は自然な選択でした。

 整骨院との相乗効果を出せる分野として、続いて介護事業にも進出。柔道整復師の資格を持つスタッフによる機能訓練が特徴の介護施設を開設しました。そこでは食事を外部の業者に委託していたのですが、介護食というのは全般的にどうも味気なく思え、今後、介護を柱に事業を進めていくうえで、食事の質を高めることで差別化を図れないだろうかと考えました。それが飲食業に参入したきっかけです。

 具体的には、飲食店を出店してブランドを育て、その名前でプロデュースした食事を介護施設で提供することで、他の施設にはない売りになると考えたのです。ちょうどそんな折、新潟駅前エリアによい物件が見つかり、2011年11月に「旬魚旬菜 極DINING若旦那」をオープンしました。

――飲食経験まったくゼロの状況から、どのように店づくりを進めたのですか。

 それまで自分が客として様々な飲食店を訪れて感じていたのは、新潟は海鮮居酒屋が多く、メニューや雰囲気も似ているということでした。そこで、居酒屋を掲げつつ、洋食メニューなども取り入れ、なおかつ居心地のよい空間づくりに力を入れました。客席のほか、トイレや音響にもこだわり、1号店ながら費用をかけて出店しました。

 場所は、駅前エリアでも繁華街とは逆方向で人通りが少なく、不利な立地でしたが、その分、家賃が安く、損益分岐点も低い。当時は飲食で店舗展開をする考えはなかったので、自分の作りたい店ができ、一定の利益を出せていることに満足していました。

 それが変化したのは、3年目に現在の総料理長が加わってからです。彼は非常に向上心があり、時間を見つけては東京の繁盛店に足を運び、流行りの要素を自分流にアレンジしたメニューを積極的に開発。名物の「極上生ウニと村上牛の贅沢巻き」など、次々にキラーメニューが生まれ、それらが評判となり、売上が伸びていきました。

 結果、28席の店は1週間先まで予約で埋まり、お客様から「予約が取れない」とクレームが入るように。一方で、「若旦那で働きたい」と言ってくれる人も増え、これは次の店を作るしかないと考えて、2016年に「若旦那」2号店をオープンしました。現在、店舗数は13まで増え、そのうち「若旦那」ブランドは6店舗ありますが、いちばん小さい1号店が常に売上トップで、右肩上がりを続けています。

 ほかに美容室やネイル、まつげエクステサロンなども経営しています。お客様の反応が直接返ってくる点は飲食も美容も同じですが、飲食の場合は加えて、人が楽しく集う場としての役目もあり、そこにやりがいを感じます。

Masaya Abe 1984年、新潟県生まれ。22歳で柔道整復師の資格を取り、実家が営む整骨院で院長業務などに携わった後、25歳のときに独立・開業。介護にも事業を広げ、2011年には「旬魚旬菜 極DINING 若旦那」を新潟駅前に出店し、飲食業へ参入。現在、新潟市内を中心に飲食店を13店舗展開。

――カフェや肉バルも手がけていますが、業態開発で重視することは?

 根底にあるのは、新潟でほかにはないような業態やメニューを手がけ、お客様に喜んでもらいたいという想いです。勝ち目がありそうか、リサーチも入念に行いますが、基本は私自身が「こんな店があるといいな」「新潟でやれば流行りそうだ」と思えるかどうか。感覚的なものですが、そこを外さずに来たからこそ、今があると思っています。料理も接客も、お客様を絶対に満足させることができる、高いレベルを維持し続けたいですね。周りと比べての良し悪しではなく、自分たちが考える100点という理想を、妥協なく追求することを常に意識しています。

 最初に整骨院を開いたときから今に至るまで、実は私自身が現場に立ったことは一度もありません。信頼できる人間を責任者に選び、現場を任せることは、経営者として大事にしていることの1つです。そして、誰がやっても同じように売上が立つ仕組みを作り上げることも徹底しています。売上が伸びればおのずとブランドは認知され、そのブランドがさらにお客様を呼び、スタッフも集まってくる。そのためにも最初の段階で集客を左右する出店場所の選定や、仕組みづくりは特に重視し、ここでも一切妥協はしません。

――近年は速いスピードで出店しています。人手の確保に難しさはありませんか?

 飲食の先輩経営者からも「この時代になぜ人が集まるの?」とよく聞かれます。確かに、急速な出店ペースにもかかわらず、必要な人数は確保できています。採用に関してキーパーソンと言えるのが、創業時に1号店の店長を務め、現・飲食部部長の長谷川(太郎)です。彼が幅広い人脈を活かして集めてくれたスタッフは多く、その人の紹介でまた人が集まり、「よい人材がよい人材を呼ぶ」連鎖があります。

 社会保険を完備させることや、年3回の賞与など、待遇面を充実させていることも大きいと思います。一般的に飲食店のオーナーは「いくらでアルバイトを雇えるか」と考えがちですが、私は採算を店ごとに厳しく管理する発想ではなく、逆に「どんな待遇や環境なら働きたいと思ってもらえるか」という視点で環境整備に努めています。複数の事業を手がけ、かつ現場に立たないからこそ、お客様の目線や、スタッフの目線でものごとを捉えられるのは強みかもしれません。

 普段から各店に出向く機会も多く、その際はメニューブックから料理の味や見た目、接客、清掃状態まで細かく目を配り、気になった点はすぐに長谷川に伝えます。現場スタッフと直接やり取りすることはなく、アルバイトのなかには私の顔を知らない人もいますが、お客様目線を大事にする意味でも、今の立ち位置でいいと考えています。

阿部氏と飲食事業のスタッフたち。「若旦那」ブランドの広がりと店舗展開を実現している

――多角的に経営を行うなか、飲食事業の今後の展望は?

 今夏、新潟市外初出店としてJR長岡駅前に「若旦那」の新店を出店します。法人様から関東で「若旦那」をFCで出したいという問い合わせもあり、進めていく予定です。そこからほかの主要都市にも広げていき、新潟発の「若旦那」ブランドを全国へ広めていくことが目標です。

 現在、株式会社WONEで飲食部門、美容部門、フィットネス部門を、別会社で整骨院、障害施設、介護施設、IT事業などを運営していますが、今後は、各事業に横軸を通す取り組みもしたいですね。そのために、グループとしての情報発信力を高めていきます。また、能力のある人材にもっと活躍の場を提供できるよう、各部門を子会社化し、ホールディングス化も検討しています。

 異なる複数の事業に関わることで、例えば、飲食や美容で培った店舗プロモーションのノウハウを、整骨や介護の分野にも応用できると気付きました。やりたいことはまだまだたくさんあるので、従来の業界の慣習にとらわれず、この先も新しい業態、新しい事業への挑戦を続けていきたいと思います。

Company Data

会社名
株式会社 WONE

所在地
新潟市中央区東大通1-2-30 第3マルカビル10階

Company History

2011年 飲食初出店となる「旬魚旬菜 極DINING若旦那 駅前店」オープン
2016年 「旬魚旬菜 極DINING 若旦那 駅南店」など3店舗をオープン
2017年 「MR. & MRS. CAFE」「肉バル横丁 新潟けやき通り店」オープン
2018年 「Sandwich Box」「The Public Stand 新潟駅前店」など5店舗をオープン
2019年 夜は「大衆酒場 若旦那」、昼は「長岡中華そば くま一」で営業する新店をオープン

旬魚旬菜 極DINING 若旦那(新潟・新潟駅)
https://r.gnavi.co.jp/49c5svab0000/
漁港直送の新鮮な魚介やA5 ランクの村上牛を地酒とともに堪能できる。琉球畳などをぜいたくに用いた居心地のよい空間も評判。
若旦那 別邸(新潟・新潟駅)
https://r.gnavi.co.jp/auav7dnx0000/
全席完全個室で接待や会食での利用が多い。村上牛をはじめとする新潟産の食材をふんだんに盛り込んだ宴会コースが人気。