2019/08/20 特集

食材、人件費高騰、消費増税・・・今あらためて考えたい 万全ですか? コスト管理(2ページ目)

URLコピー

COST MANAGEMENT② 原価を見直す

仕入れ価格の値上げには業者の変更も視野に交渉を

 原価の管理は、飲食店が利益を確保するための生命線。なぜなら、先述のように食材やドリンクにかかる仕入れコストは、家賃などの固定費とは違い、売上が増えた分、ともに増えていく変動費だからだ。原価率が高くなると、たとえ売上が増えても手元に残る利益は少なくなり、徐々に経営を圧迫することになる。また、近年は食材費の高騰が続いており、消費増税も重なることで、さらなる値上がりが予想されている。

 「消費増税のタイミングで、様々な業者が値上げに踏み切ると考えた方がいいでしょう。物流業界をはじめ、人手不足の影響もあって人件費が上がっており、その分を価格に転嫁せざるを得ないからです。食材だけでなく、電気やガスなどの光熱費、ゴミ回収の費用に至るまで一斉に値上げされるはずですから、相当な注意が必要と肝に銘じておくべきです」(水野氏)。

 今後は、これまで以上に原価の管理が重要になる。それでは、原価率が高くなってしまう原因はどこにあるのか。水野氏は「仕入れ、調理、販売の3つの工程のいずれかに原因があります」と語る。どの工程に原因があるかによって取るべき対策は異なるため、まずは原因を見極めることが大切だ。

 飲食店で勤務経験のあるCredo税理士法人・部長の吉野一也氏は、「例えば、仕入れの工程に問題がある場合としては、仕入れ業者がいつの間にか価格を上げており、知らない間に原価率が高くなっているということが考えられます」と話す。そんなときには、あらためて仕入れ値をチェックして、業者と交渉するなど、原価率を低く抑える努力が必要だ。実際、同法人がコンサルティングを行う居酒屋では、5年前には地域で一番安い業者だった仕入れ先が、半年前に値上げをしていたことに気づかず、同地域のほかの業者と比べて、かなり高い価格で仕入れていたということがあったという。

 また、「消費増税の前後、半年くらいは特に仕入れ価格を注視するようにしてください」と水野氏。もし値上がりするようであれば、そのタイミングで相見積もりを取って、ほかの業者と比較検討する必要がある。さらに、「新たに業者を探したい時におすすめなのが、飲食店関連の展示会へ参加することです。展示会場には食材や調味料、調理器具などの業者がたくさん出展しており、効率よく情報を収集することができます。常にアンテナを張り、“情報弱者”にならないことが大切です」(水野氏)とアドバイスする。

 また、調理の工程においても、見直すべきポイントはある。「調理工程では、1つのメニューに使用する食材の分量が定まっておらず、オーバーポーションになっていることや、在庫管理ができていないために先入れ先出しが守られず、ロスが発生するなどの問題が生じているケースが多い」と吉野氏。

 また、販売工程においては、「メニューの値付けが安すぎることや、原価率の高い商品ばかり売れているといったことが考えられます」(吉野氏)。これらを改善するためには、まずメニュー一品ごとの原価率を点検することが肝心だ。そして、ABC分析をしたうえでメニューブックなどをリニューアルし、オーダーをコントロールする。さらに、出数を増やしたいメニューを提案するための有効なツールとして、POPなどの活用も重要。原価率を見直し、改善するための対策を取ることは、同時に販売戦略の強化にもつながる。

原価率が高くなる3つの原因と対策

1 仕入れ工程
業者から仕入れる価格が、いつの間にか高くなっている、また、必要以上の量の食材・ドリンクなどを仕入れているのが原因。業者の見直しや値下げ交渉、売上予測を立て、適正量を仕入れるようにするなどの対策を。

2 調理工程
「先入れ・先出し」が守られておらず、仕入れた食材をきちんと使い切れていない、また、必要以上に食材を使い過ぎていることなどが原因。在庫管理を徹底することやメニューごとのレシピ作り、見直しなどが必要。

3 販売工程
原因は、メニューの値付けが低すぎることや、原価率の高いメニューばかりオーダーされていることなど。対策としては、値付けの見直しに加え、メニューブックやPOPを改訂し、注文の流れを変えることが重要。

全7ページ