2019/08/20 特集

食材、人件費高騰、消費増税・・・今あらためて考えたい 万全ですか? コスト管理(3ページ目)

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COST MANAGEMENT③ 人件費を見直す

人件費削減に関する指示は具体的にわかりやすく

 人手不足に伴う人件費の高騰が続いている近年、定休日を設けたり、営業時間を短縮したりする企業・店舗も増えている。人材の採用に苦戦する経営者も少なくないが、あくまで飲食店の売上を作るのは「人」。「人が足りず、お客様の満足度が低下して、売上が下がるのであれば、躊躇なく採用にお金をかけるべき」と水野氏は話す。「営業時間の短縮などにより、確かに人件費は抑えられるかもしれませんが、当然ながら売上は下がります。家賃などの固定費は支払い続けるわけで、きちんと店舗を稼働させるためにも、計画的な人材採用が重要です」(水野氏)。

 採用と同時に注力すべきなのが、人が辞めない環境づくり。店舗運営のためはもちろん、新たな人材を採用するためのコストが発生してしまうからだ。アルバイトスタッフが、勤務日数を増やしたくなるような店舗にすることが大切だが、「最近は、コンプライアンスに対する見方が厳しさを増しており、実際に店とアルバイトの間の労務トラブルも増えています。こうした事態を未然に防ぐ意味でも、スタッフの働きやすさを意識して、職場や待遇の改善を図るべきです」と吉野氏は話す。

 では、人件費が高くなっている店舗は、どのような改善を図るべきなのか。水野氏によれば、人件費率が高くなってしまう理由としては、①シフトを組む段階で人数を入れ過ぎてしまった場合、②その日の売上が目標売上を大きく下回ってしまった場合の、大きく2つが挙げられるという。

 人件費率は、人件費を売上で割った比率になるため、売上の好不調に大きく左右される。人件費が高くならないようにするためには、まずシフトを組む際、必要以上に人数を入れないようにすることが重要だ。ただし、人件費率は売上の要因によっても数値が変動するため、人件費を的確に把握するには、人件費率だけでなく、社員・アルバイトごとの「人件費額」と「労働時間」(総労働時間や深夜残業時間など)にも注目し、どこに問題があるのかを詳しく探っていくことが重要だ。

 そして、経営者が店長や現場のスタッフに人件費のことを伝える場合、「人件費率を○%落として」や、「人件費をあと○万円下げて」と言ってもなかなか伝わらない。そこで水野氏は、「1日当たり、1人の労働時間をどのくらい削減すればよいかを伝えると理解できるはず」とアドバイス。「例えば人件費を5000円減らす場合、時給1000円のアルバイトが5人いるなら、『1人当たり1日のシフトを1時間減らしてほしい』と言えばわかりやすいでしょう」(水野氏)。これくらい具体的に説明すれば、店長も人件費を意識しながら、シフトを組むことができるようになる。

 さらに、人件費を分析するうえで有効なのが、「人時売上高」。これは、1人のスタッフが1時間当たりにどれだけ売上を上げているのかを示すもので、「その日の売上」÷「その日の全スタッフの総労働時間の合計」で算出することができる。水野氏によると、「中小規模の飲食店の場合、確保したい人時売上高は4000円台です」と解説。これも1つの目安にして、人件費の見直しを図っていくのがよいだろう。

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