2019/08/20 特集

食材、人件費高騰、消費増税・・・今あらためて考えたい 万全ですか? コスト管理(4ページ目)

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COST MANAGEMENT④ 消費増税に備える

満足度を下げないまま健全な財務状況を目指す

 最後に、消費増税への備えはどうしたらよいのか。コストを再点検する必要はあるが、水野氏は、「CS(顧客満足)やES(従業員満足)が下がらないよう、注意を払わなくてはいけません」と警鐘を鳴らす。「CSやESを無視してFLを削減すれば、店の魅力低下に直結し、売上減という結果を招きます。まず、CSやESに影響が出ないコストに目を向けることが大切です」(水野氏)。具体的には、水道光熱費や消耗品などのムダ使いがないか、同時にロスをなくすうえで、過剰発注がないかも今一度チェックしてほしい。

 そして、水野氏が「消費増税のタイミングで検討すべき」と強調するのが、メニューの値上げ。「このタイミングを逃すと、値上げのチャンスはしばらくないでしょう。最終的に値上げするかどうかはそれぞれの考え方ですが、『検討してみる』ことが大事です」(水野氏)。

 また、経営を総点検するうえでは、本部費もチェックしたい。本部費とは店舗以外でかかる経費のことで、経営者の給料や交際費なども含まれる。「ありがちなのは、経営者の交際費や私的な経費が膨らんでしまうケース。税金対策などの場合もありますが、お金が出ていることには変わりがないので、運転資金がショートしてしまう原因にもなりかねない」と、吉野氏は注意を促す。飲食店の利益率は売上の10%前後であり、本部費が売上の10%を超えてしまうと危険な状態と言える。

 健全な経営を続けるためには、キャッシュ(現金)も意識すべきだ。水野氏によると、2カ月分の売上高が目安で、「月商1カ月分より少ない現金しかない場合は、いわゆる自転車操業の状態。2カ月分を超えれば、資金繰りはだいぶ楽になり、3カ月分あれば、財務的に優秀と言えるでしょう」(水野氏)。

 さらに、消費増税で気をつけたいのは、消費税の納税金額が大きく増えるということだ。「預かった消費税(売上)」ー「支払った消費税(仕入れ・経費)」を納税することになるが、軽減税率制度により売上(テイクアウト以外)の消費税は10%、仕入れ(酒以外)の消費税は8%になるため、手元に残る資金は一時的に多くなるが、納税金額も増えるため、納税用の現金を残しておかないと資金繰りが苦しくなる。「消費税の課税対象の基準は、2年前の売上が1000万円を超えていること。創業2年目までは判断基準となる2年前の売上がないことから、納税が免除されます。そのため、創業から3年が経過し、初めて消費税が課税される店は要注意です」と吉野氏。

 会計処理が簡単にできるアプリなどITも上手に活用しながら、店のお金の流れを「見える化」しておけば、資金繰りへの心配も軽減されるはずだ。

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