2019/08/20 特集

食材、人件費高騰、消費増税・・・今あらためて考えたい 万全ですか? コスト管理(7ページ目)

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CASE②「トリ&ハイ 本店」

健康志向を捉えた業態でビジネス層を中心に集客

 2019年1月、東京・田町にオープンした「トリ&ハイ本店」。メニューはタブレットで注文し、会計はキャッシュレス、ドリンクは30分単位の飲み放題で、売りのハイボールはセルフで作るスタイルと、徹底的にオペレーションの効率化を図った業態で、人件費を抑えた運営に成功している。

 「オーナーがジムで体を鍛え始めたのが出店のきっかけ。ダイエットや健康を気にしていても、思いきり食べたい、飲みたい人のための店をと考えました」と語るのは、代表取締役兼店長の村田春菜氏。「楽しく飲んで、楽しく生きる」をコンセプトに、低糖質なハイボールとヘルシーな鶏焼肉を前面に打ち出した。健康への関心が高い30代後半~50代のサラリーマンをターゲットに据え、ビジネス街である田町の物件を即決。「大通りの路面店なので賃料は決して安くはありませんが、狙いどおりの客層の方々に来店いただいています」と村田氏。現在、来店客の8割は男性で、客単価は3500円。仕事帰りに訪れる少人数のグループが多いという。

 自分で作るハイボールは、各テーブルに炭酸サーバーを設置。月替わりでセレクトするおすすめのウイスキー5種類と氷を卓上に用意し、来店客が好きな銘柄を選んで、自由に濃さを調節できる。自分好みにハイボールを作る過程が楽しいと好評で、店側にとってはスタッフの手間が省けるメリットがある。

卓上の炭酸サーバーとウイスキーで、来店客が自由にハイボールを作ることが できる。ランチタイムは炭酸水を使ったソフトドリンクが飲み放題
【自分で作る楽しさもある“セルフハイボール”】
氷をグラスに入れ、好きなウイスキーを注ぐ。一度に注げるのはシングルの量(30ml)までなので、初心者でも安心
サーバーから強炭酸を注ぐ。「『グラスにある店のロゴの中間くらいまで注ぐとちょうどいいですよ』と説明しています」(村田氏)
マドラーでステアして完成。ドリンクを作るスタッフの手間が省けるほか、客にとっては待ち時間がないというメリットもある
最初の1杯はスタッフが作り方を実演し、以降は完全セルフ。「一度説明すれば、誰でも簡単に作れるようになります」(村田氏)

 また、グラス交換は不要という人も多く、洗い物を減らすことにもつながっている。「グループで賑やかにハイボールを作っている姿をよく見かけます。お酒が飲めない人も、炭酸サーバーを使ってみたいという声が多いですね」と村田氏。ウイスキーが苦手な人向けには、フルーツを漬け込んで苦味を抑えた「漬け込みハイボール」や、炭酸水で割るノンアルコールの「飲むお酢」なども用意し、幅広い層が楽しめるよう工夫している。ドリンクは基本的に飲み放題制。注文は60分からで、60分1160円、90分1680円、120分2180円で、30分単位(580円)で延長もできる。今後は“ちょい飲み”需要に対応するため、単品でも注文ができるようにする予定だが、その際も炭酸水を注ぐのはセルフのままにして、「自分でハイボールなどを作る楽しさを、たくさんの人に体験してもらいたい」(村田氏)という。

ウイスキーの味の特徴をチャートで説明。そのシートを各テーブルに置いている。飲み放題に含まれないウイスキーもあり、様々な種類を用意してリピーターを飽きさせない
5大産地であるスコットランド、アメリカ、カナダ、アイルランド、日本のウイスキーをそろえる。リーフレットで紹介し、スタッフが説明する手間を省いている
入口付近の棚にウイスキーボトルをずらりと並べ、ハイボールが売りであることをアピール。25~30種の銘柄を用意している

 もう1つの売りである鶏焼肉は国産の銘柄鶏にこだわり、9種ほどの部位がセットになった「国産銘柄鶏盛り合わせ」(980円)が一番人気。タブレットから注文を受けたら鶏肉を提供し、卓上のロースターを使って来店客が自ら焼くので、スタッフの手間が少ない。また、鶏肉はカットされたものを毎朝仕入れ、ロスが出ないよう予測・計算をして、余分な在庫を置かないことにも気を配る。そのほか、一品料理などもサラダやアヒージョなどシンプルなものが多く、調理オペレーションを考慮した構成になっている。

売りの鶏焼肉は、「総州古白鶏」などの国産銘柄にこだわる。卓上のロースターで来店客自身が焼くため、調理オペレーションは最小限で済む
【オーダーはタブレットで!】各テーブルに置かれたタブレットを来店客が操作して料理をオーダー。注文履歴を押すと、それまでの注文金額も確認できる

 さらに、キャッシュレスであることも店の“省人化”に大きく貢献している。レジ締め作業が不要なため、閉店から30分以内に全スタッフが退勤できており、売上のデータもクラウドですぐにオーナーと共有可能だ。「できるだけオペレーションを少なくするためにキャッシュレスにしました。盗難のリスクを回避する目的もありますし、飲食業界の労働環境をよくすることにもつながると考えています」(村田氏)。

 7月からはランチ営業も開始し、国産銘柄鶏の「チキンカレー」「チキン南蛮」(ともに800円)などを提供。認知度アップを目指している。「今後は、より細かくFLコストなどを管理していきたい」と話す村田氏。2023年までに同ブランド15店舗の出店が目標で、FC展開も視野に入れている。

【会計はキャッシュレス】会計はキャッシュレスで、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済が利用可能。トラブルを防ぐため、キャッシュレスであることを入店時に説明している
黒を基調としたスタイリッシュな店構えで、ランチタイムは女性の来店も多い。店頭でキャッシュレスであることを掲示している
トリ&ハイ 本店
東京都港区芝5-14-17 白蘭ビル1F
https://r.gnavi.co.jp/3upucgag0000/
地下鉄三田駅から徒歩約6分の場所に立地。落ち着いた雰囲気の店内には、各テーブルに炭酸サーバーとロースターを設置。店舗の広さは20坪、席数は32席で、ランチ、ディナーともにキッチン1名、ホール1~2名のスタッフで運営している。
代表取締役兼店長 村田 春菜 氏
同店を運営するエルライ株式会社・代表取締役。学生時代のアルバイトで、飲食業のおもしろさに目覚める。2018年の夏より開業準備に着手し、半年でオープンにこぎつけた。

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