2019/09/10 特集

業務時間やコスト削減につながる、仕込みの効率化

仕込み作業は、キッチンスタッフに負担がかかるだけでなく、人材不足の解消や就業時間の短縮化を目指す飲食業界にとって、課題の1つ。どうすれば仕込みが効率的にできるのか、2店舗の事例からその工夫を探りたい。

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日にちを決め、共通メニューを一斉に仕込み、少人数でも営業可能に

【群馬・高崎】窯焼きdining 和蘭(オランダ)ししがしら

営業時の調理工程を簡略化。冷凍による質の低下も防ぐ

 ピザや特製ソースと野菜を合わせて450℃の窯で焼き上げる「窯焼きバーニャカウダ」など、窯焼き料理が自慢の「窯焼きdining 和蘭ししがしら」。運営元の株式会社ディライトでは、「ししがしら」を含めた洋食業態3店舗と、和食業態「雨云(あうん)」の計4店舗を群馬県内で展開しており、全店舗共通で提供しているメニューを、月2回、一括で仕込みを行っている。

【POINT】グランドメニューを共通化し月2回、一括で仕込む
洋食業態3店舗のグランドメニューを共通にし、月2回、計10品を一括で仕込む。人気の「窯焼きバーニャカウダ」は、仕込み時にソースを調理。営業前に野菜をカットし、作ってあるソースをかけ、注文が入れば焼くだけにしている

 代表取締役の福島浩司氏は、「3店舗目である『ししがしら』オープン後の2015年から一括で仕込みを始めました。当初は仕込みの効率化というよりも、ミーティングを兼ねて月に1回1店舗にスタッフを集め、コミュニケーションを図ることが目的でした」と振り返る。その後、スタッフミーティングを週1回に増やしたことで、仕込みの方法も変更。別途、月2回設けて全店舗で提供している「トロトロ牛すじ肉じゃが」や「鶏のから揚げ」、洋食業態3店舗の共通メニュー「窯焼きバーニャカウダ」のソースなど、計10品を4店舗で振り分け、各店のシェフ5名が中心になって仕込んでいる。

450℃の窯で焼き上げる「窯焼きバーニャカウダ」(1,058円)。遠赤外線によってみずみずしく仕上がり、野菜の甘みが感じられると好評だ
  • バーニャカウダのソースは、アンチョビトマトソース(写真)のほか、前橋産の赤鳥居みそを使ったソースと季節のソースも用意
  • グランドメニューは窯焼き料理をメインに、群馬県産の上州牛のグリル、ピザ、前菜、サラダなどをラインナップ

 「例えば、『ししがしら』は、麦風鶏の酒粕みそ漬と窯焼きバーニャカウダのソース、『雨云』は、肉じゃがと鶏のから揚げというように、各店舗でメニューを分担。ときには『今回は仕込みが少ないので、2店舗でそれぞれ2名と3名で行う』など、適宜、場所とスタッフの人数を決めて行っています」と福島氏。

【POINT】解凍後、料理の質が落ちないよう工夫
窯焼き用の肉は、仕込み時に調味液に浸して冷凍。写真は、「窯焼きジンジャーポーク」用のやまと豚(手前)と、「酒粕みそ漬け焼き」用の麦風鶏(奥)。解凍後に水分が出たり、味が落ちないよう、調味料の量や冷凍方法を変えている

仕込んだ肉は1人前ずつ、ビニール袋に入れて冷凍。袋は、使い勝手がよく低コストな薄手のポリエチレン製のものを使用

 各店舗のキッチンスタッフは1~2名のため、限られた人数でも営業時に調理ができるよう、仕込みによって調理工程を簡略化。特に、洋食業態は全店舗グランドメニューを共通にしており、窯焼き料理であれば“あとは窯で焼くだけ”、肉じゃがなどの煮込み料理なら“温めるだけ”の状態まで仕込み、1人前ずつビニール袋で個装して冷凍。これを各店舗に分配する。さらに、仕込む人によって味の違いやクオリティに差が出ないよう、レシピを統一。解凍時に肉や野菜から余計な水分が出て味が落ちたり、食材が劣化しないよう、調味料の分量や肉の包丁の入れ方、冷凍方法を様々に試し、細かくマニュアル化した。

【POINT】作業効率を考えたメニュー開発
窯焼きメニューは“焼き上げるだけ”の状態に仕込み、各店舗の調理工程を簡略化。これにより、キッチンスタッフが1~2名でも多数のオーダーに対応することができる。写真は、作業効率を考えたメニュー開発。写真は「やまと豚の窯焼きジンジャーポーク」(1,058円)

「麦風鶏の酒粕みそ漬け焼き」(1,058円)。漬け込むことで、肉が柔らかく風味 豊かに仕上がっている
使用するガス窯は、ピッツェリア用のものを専門店ではなくても使えるように特注した

 一括で料理を仕込むため、食材の仕入れコストや仕入れ業者の配送費などが抑えられるほか、食材ロスも減り、原価率は従来より2~3%削減。「削減できたコストはスタッフ育成や福利厚生に回しており、サービスや従業員満足の向上につなげたいと考えています。実際、毎日の仕込みは数時間で済んでおり、スタッフの離職率の低下にもつながっています」(福島氏)。

 今後は店舗拡大を見据え、売りである窯焼き料理のバリエーションを増やすとともに、限られたキッチンスタッフでも提供できるメニューをさらに充実したいという。「今年度中に前橋にカフェをオープンする予定ですが、そこに大きめの厨房を設けてセントラルキッチンとして活用したいと考えています」と福島氏。各店舗への配送についても、専用車の購入を検討するなど、さらなる効率化を進める方針だ。

窯焼きdining 和蘭(オランダ)ししがしら【群馬・高崎】
群馬県高崎市栄町12-17 TAMONZ1F
https://r.gnavi.co.jp/7rjb4rbp0000/
高崎駅東口から徒歩5分の場所に立地し、窯焼き料理とワインが売り。近隣には大手企業のオフィスがあり、平日は主にビジネス層が来店。土、日曜日は女子会やカップルで賑わう。
株式会社ディライト 代表取締役 福島 浩司氏
飲食店で経験を積んだ後、2004年独立。2010年に会社を設立し、群馬県内で洋食業態3店舗、和食業態1店舗を展開する。

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