2019/09/17 特集

気軽にチャレンジ!活用法は様々! “社内報”のつくり方。

飲食業界に限らず、社内情報を共有して結束を強める目的などで作成される“社内報”(社内誌、社内新聞、社内SNS)。風通しのよい社風づくりにもつながる社内報づくりにチャレンジしてみよう。

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オールカラーの冊子を完全手づくりで隔月発行! 店舗と本部の絆も強化!

株式会社ティーピーディー(埼玉)

求人、商談にも活用され、様々な効果で会社に貢献!

 埼玉を拠点に、和・洋様々な飲食店を展開する株式会社ティーピーディー。その制作部で「社内報の発行」という新企画が出たのは、2018年秋。本部でメニューブックなどを制作しているグラフィックデザイナーの川島江理氏、神奈川・茅ヶ崎の店舗に所属しつつ、広報(プレス)も担う大工園(だいくぞの)雄樹氏、そして取締役営業統括本部長・有山正寿氏の3名による定例ミーティングの席だった。「会社が成長し、店もスタッフも増え、自分が働く店以外はよく知らないという人が多くなっていました。もっと姉妹店や会社全体のことを知ってもらえれば、親近感がわき、働くことがより楽しくなるのでは、と話し合ったのがスタートでした」と川島氏は振り返る。それまでもFacebookで、ある程度の情報共有は行われていたが、それだけでは業務連絡の域を出ない。そこで、「初めは全店舗をくまなく“取材”して紹介する、『TPD図鑑』の制作を考えました」と川島氏。だが、30弱の店舗をすべて掲載するとなると、完成までの道のりは長く、情報の鮮度も落ちてしまう。「それなら、店があるエリアごとに数店ずつ紹介する雑誌スタイルにして定期的に発行し、全店舗を掲載し終わったら合本することにしたのです」(川島氏)。冊子にこだわったのは、「バックヤードに置いて、パートやアルバイトさんも含めたスタッフに、休憩時間につい手にとって読んでもらえるような楽しい読み物にしたかったから」と大工園氏。市販の様々な雑誌も参考にして構想を固め、A4判の『TPD MAGAZINE』を2019年1月に創刊した。

注目スタッフ紹介の連載「今熱(イマアツ)」(写真左は第3号、同右は第4号掲載のもの)。「ココに出たい!」と立候補するスタッフもいる人気企画

 以来、2カ月に1回発行。特集と題して毎号エリアを決め、1店舗につき見開き2ページで記事を掲載している。同時に、社内イベントや部活動のお知らせ、代表取締役の古澤健志氏や料理長、エリアマネージャーなど、多くのスタッフにとって接する機会の少ない社の幹部らのコラムを掲載し、理念や情報の共有の一翼を担ってきた。取材は事前送付のヒアリングシートをもとに川島氏と大工園氏が担当。「同じ社で働く仲間だからこその目線で、店のよさやスタッフの想いを深く掘り下げて伝えたい」と川島氏。印刷・製本も自分たちで行うため、「社内イベントをすぐに記事にして、みんなの気持ちが熱いうちに届けられる」(大工園氏)こともメリットの1つだ。

各店のまかない料理を紹介する「俺のまかない」。社内報らしい、気軽に楽しく読める記事だ
4月に開催された社内の料理コンテストを完全リポート。自社の取り組みを広く深く伝えてアピール
創刊号では「編集後記」で社内報発行の目的を、担い手の2人の似顔絵とともに発信

 評判は上々で、号を重ねるごとに掲載希望や企画の提案が届き、ページ数も増えている。毎号100~120部を作成し、全社員に1部、および各店に1部配布するとともに、店紹介のページは自社の公式Facebookにもアップ。取引先から「1部ほしい」という声や取材のリクエストが寄せられることもある。店や新設の倉庫など、社内資産や社風が視覚化されているため、就職説明会や商談でも効果を発揮している。「私たち自身、今まで知らなかった店のこと、スタッフのことをよく知ることができ、本部と店との距離が縮まって仕事のレベルが上がっています」と両氏。よりよい社内報を目指し、8月現在、第5号の編集に取り組んでいる。

2019年1月から隔月で発行。判型はA5。第1号の8ページから徐々にページ数が増えている
株式会社ティーピーディー(埼玉)
2001年4月設立。埼玉を中心にビストロ、バル、ラーメン店など28店舗を展開し、東京・神奈川にも進出。製麺所や巨大倉庫も擁する。「ひとりひとりの“ワクワクする気持ち”が会社の原動力」(「理念」より)と「人づくり」を重視。社員約60名、パート・アルバイト含め400名以上が在籍。埼玉・大宮「ワイン食堂 マルコ1591」(写真)をはじめ、様々な業態を展開中
埼玉・大宮「ワイン食堂 マルコ1591」(写真)をはじめ、様々な業態を展開中
プレス 大工園 雄樹氏(左) グラフィックデザイナー 川島 江理氏(右)
社内報の写真とキャッチコピーを大工園氏が、記事の執筆とデザインを川島氏が担当。普段の仕事は、大工園氏が茅ヶ崎の店舗「サザンビーチカフェ」のスタッフ、川島氏は本部でメニューブックや販促物などの制作に従事。

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