2019/10/29 特集

泣き寝入りはもうしない! 悪質クレーム&無断キャンセルからお店を守る!(2ページ目)

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悪質なクレーマーに対して、「NO」を突きつけても大丈夫?

裁判沙汰を恐れる必要なし。無茶な要求は明確に拒絶を

 しっかり初期対応をしたうえで、悪質と判断したら、はっきりと「NO」を突きつけ、それ以上取り合わないことが重要だ。「理不尽な要求には『そういったご要望にはお応えできません』と伝え、要求がはっきりしない場合は『これ以上は対応できません』と言い切り、そのまま放置しましょう」と石﨑氏。それでも問題行為が続くようであれば、クレーマー本人に通告したうえで業務妨害が起きていると警察や弁護士に連絡するのが最終手段だ。「『訴える』と言われても、『構いません』と伝えて問題ありません。食中毒など人命に関わる重大な過失であれば別ですが、軽微な過失に対して過剰な要求をするクレーマーが、費用や時間をかけてまで裁判を起こすとは考えにくいですし、実際に私が顧問をしている店でも、訴えられたことは一度もありません」(石﨑氏)。むしろ「NO」とはっきり言わないことは、悪質なクレーマーを増長させるきっかけになってしまうと考えるべきだ。

 また、大声で騒ぐ、脅し文句を並べ金品を要求する、土下座を強要するといった行為は、「威力業務妨害罪」「強要罪」「脅迫罪」「恐喝罪」などの刑事罰に問われる、れっきとした犯罪行為だということも認識しておきたい。たとえ問題の原因が店にあっても、悪質な迷惑行為にはひるまず、「NO」を伝える姿勢が大切になる。

やってはいけないNG行為は?

その場しのぎの対応や反論は新たなトラブルを生む可能性大

 では、クレーマー対応で避けるべき行為は何か。その一つとして石﨑氏は、「自分で判断できないことをその場で回答すること」を挙げる。騒動を早く収めようと、責任者などに確認せずに「対応します」などと言ってしまうと、あとあと「対応できない」「違う対応をする」となった場合、別のクレームに発展してしまう。「相手から即座の回答を迫られても、その場で結論を出そうとせず、『責任者と協議のうえ、◯◯までに回答します』などと答えましょう」(石﨑氏)。また、反論や議論をするのもNG。クレーマーはもともと納得する気がなく、反論を受けるとさらに感情的になってしまう。また、味やサービスに関するクレームは、「正解のない主観的な要素も多分にあり、議論をしたところで双方の主張が平行線をたどって着地点が見つけられない場合が多いです」と石﨑氏は指摘する。ほか、動揺したり、自信のない態度で接すると、クレーマーを勢いづかせ、状況を悪化させかねないので要注意だ。

悪質なクレーマー対応には、どんな心構えが必要?

「クレーム=人格否定」と捉えず、状況を達観するのが◎

 クレームに対応する際の姿勢や心構えとして重要だと石﨑氏が上げるポイントは3つ。まず、「はきはきと話すこと」。NG行為でも触れたように、小声で話したり、口ごもると、内容に関係なく感情を逆なでする恐れがあるからだ。2つ目は、「状況を達観すること」。「批判を受けても人格を否定されたように捉えず、心の中で『無理なものは無理』と達観し、威嚇に動じないことが重要」(石﨑氏)。3つ目は、「まめな対応をすること」。相手や自分の発言を正しく記憶し、対応に関する金額や期日などの数字をしっかり記録するなど、まめな対応が求められる。「ただ、一人で対応していると、相手の圧力に押されてしまうこともあります。そんなときは、2人以上でフォローし合うことで、冷静に対応できるはずです」と石﨑氏は提案する。

事前に準備できるクレーマー対策は?

マニュアル化&ロープレ、事例の社内共有も効果的

 前もってできるクレーマー対策について石﨑氏は、「前述の初期対応の3原則をスタッフに徹底することがもっとも重要です」と語る。そのためには、最低限のとるべき対応や判断基準をまとめた簡易的なマニュアルを用意し、誰でも同じように対応できるようにすることが望ましい。「どこまでを現場のスタッフに任せ、どこから店長などの管理者が対応するか、相手の要求に対して、どこまでなら応じるのか、など線引きを明確に決めておくことは非常に重要。ここがあいまいだと現場は混乱し、スタッフの士気も下がってしまいます」と石﨑氏は注意を促す。さらに、マニュアルを読んでもらうだけではなく、定期的にスタッフ同士でロールプレイングをしたり、実際に店であったクレーマーの対応事例をスタッフに共有するのも効果的だ。

飲食店アンケート①「クレーム対応」について聞きました

謝罪で一定数は解決。店の対策には課題あり!?

 上記は、悪質なクレームに関して飲食店に聞いたアンケート結果。Q1では、半数以上の飲食店が悪質なクレームを受けたことがあると回答しており、飲食業界の大きな課題となっていることがわかる。また、クレームが悪質だと感じた理由について聞いたQ2では、「暴言・罵倒」「事実でないことを言う・言いがかりをつける」がそれぞれ50%以上となり、「何回も同じ内容を繰り返す」も高い数値に。前ページで石﨑氏が指摘したクレーマーの特徴「話の堂々巡り」が、実際のケースとしても多いことがわかる。次に、Q3はクレームによる店への悪影響について。誹謗中傷や代金の不払いなどよりも、「店内の雰囲気が悪くなった」(57.7%)をはじめ、ほかの来店客やスタッフの業務への影響があったと感じている店が多いようだ。さらに、悪質なクレーマーへの最終的な対応で効果的だったことを聞いたQ4では、「店長など管理者による謝罪」(33.5%)がもっとも多かった。一方で、「要望に応えられないことをはっきり伝えた」(26.0%)も2番目に多く、クレーマーからの理不尽な要求に対して毅然と対応することで、事態を収められるケースも多いといえそうだ。クレーマーから店を守るために必要だと思う対策についての質問(Q5)では、「スタッフの教育」(43.9%)が一番多かったが、Q6を見ると、マニュアルを用意している店は2割以下。対策が十分とはいえない現状も浮き彫りとなった。

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