2019/10/29 特集

泣き寝入りはもうしない! 悪質クレーム&無断キャンセルからお店を守る!(3ページ目)

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テーマ② 無断キャンセルからお店を守る

社会問題化している無断キャンセル。飲食店は打つ手なし?

あきらめたら試合終了。今こそ対応を見直すべき

 悪質クレームと同様に、飲食業界が抱える問題の一つに無断キャンセルがある。「言うまでもなく、無断キャンセルは飲食店にとって百害あって一利なし。用意した料理や食材を、ほかのお客さんに提供できればいいですが、刺身など鮮度が問われる食材は廃棄せざるを得ないケースも少なくありません」と石﨑氏。さらに、満席で予約を断っていた場合の機会損失や人件費のロスも大きい。「フリー客の比率が高い店なら損失分を取り戻せる可能性もありますが、大人数での宴会や貸切が増える年末の繁忙期などは、被害が甚大になります」(石﨑氏)。

 こうした問題は以前からあったが、飲食業界では無断キャンセルへの対策が十分ではなかったと石﨑氏は指摘する。「問題の根本は消費者のモラルなのですが、飲食店も最初からあきらめていたり、キャンセル料を請求する手間を惜しんだり、風評被害につながることを気にして声を上げなかったため、『何も言われない=問題ない』という認識が根付いたという側面もあります」と石﨑氏。しかし近年、学生や外国人観光客などによる大人数での無断キャンセル被害が話題となり、無断キャンセルをよしとしない風潮が広がりつつある。飲食店も潮目が変化している今をチャンスと捉え、次に紹介する予防策や発生後の対策を参考に、自店での対応を見直していただきたい。

事前確認はしてるけど… ほかにできる対策はない?

キャンセルポリシーを予約客に明示するのも重要

 無断キャンセルの予防策として、比較的多くの店が行っているのが予約客への事前確認だ(下記アンケート参照)。予約直後や来店日の前日などに電話やメールで連絡をとり、予約内容のリマインドを行うもので、「一度コンタクトを取ることで、心理的に無断キャンセルに対するハードルが上がるので、一定の効果が期待できます」と石﨑氏。ほかに、貸切や大人数での予約の場合には最低保障金として、デポジット(仮払金)を事前に支払ってもらうことも1つの手段だ。

 こういった対策とは別に、キャンセル料を設定することを前提として石﨑氏が法律的な見地から必要だと考えている対策は、「いつキャンセルをしたら、どれくらいキャンセル料が発生するのか」をまとめたキャンセルポリシーを、しっかり予約客に伝えることだ。自店のホームページやぐるなびなどのネット予約に直結しているサイトに明示するのはもちろん、電話予約の際も必ず口頭で伝えたい。「電話予約の場合は、できれば電話終了後にショートメールなどで予約内容とともに、キャンセルポリシーも送ることをお勧めします」と石﨑氏は語る。こうしておくことで、実際にキャンセル料を請求する場合に『聞いてない』『知らない』などと言われ、水掛け論になることを防ぐことができる。「実際にどこまで請求するかは別にしても、ホームページなどにキャンセルポリシーが明示されているだけで、消費者が安易な気持ちで無断キャンセルすることを防げるはずです」(石﨑氏)。

それでもドタキャンされてしまったら、実際にキャンセル料は請求すべき?

どこまで対応するかは経営判断だが、当事者に「NO」を伝えることは重要

 では、無断キャンセルが起きてしまった場合に有効な対策は何か。前述した食材・機会ロスの被害を最小限に抑えるために、空席情報をSNSなどで発信するのも手だが、「当事者にキャンセル料を請求することで、『無断キャンセルをすると、ペナルティが伴う』と認識させることも大切」と石﨑氏。無断キャンセルは民法上の債務不履行にあたり、キャンセル料の請求は正当な権利。仮に請求の連絡を数回とっても応じてもらえないようなら、そこで区切りをつけるのが一般的だが、弁護士が回収を代行するサービスなどを利用する方法もある。「どこまで対応するかは経営判断になりますが、クレーム対応と同様、しっかり『NO』を伝えることが消費者の意識を変え、ひいては店を守ることにつながるはずです」(石﨑氏)。

飲食店アンケート②「キャンセル対応」について聞きました

キャンセル料は7割以上の店が未回収

 Q7~11は、無断キャンセルについて飲食店に聞いたアンケートの結果。Q7にあるとおり、無断キャンセル被害に遭っている飲食店は半数以上と決して少なくない。また、Q8を見ると、予約経路が電話でもネットでも無断キャンセルの発生率に大きな違いはないことが見てとれる。次に、キャンセルによる食材ロスの対策についての質問(Q9)では、ほかの来店客へ提供(有料)した店が一定数あるものの、スタッフのまかないにせざるを得なかった店も多く、「すべて破棄した」(13%)も含めて、食材ロスの問題が小さくないことがわかる。一方、Q10のキャンセル対策についての質問では、事前連絡をしている店がもっとも多かったが、次いで「特に何もしていない」店も26.5%と多く、今後の対応が求められそうだ。さらに、Q11を見ると、キャンセル料については、75%が「回収できていない」と回答。ここには、最初から請求していない店も含まれると考えられることから、石﨑氏が上記で指摘しているように、現状を変えるにはキャンセル料の回収に動くことも必要なのかもしれない。

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