「会計」「SNS」「予約」のポイントは?
KEYWORD4「会計」
キャッシュレス決済の導入は必須。購買額がアップする傾向も
日本のキャッシュレス化は海外に比べて遅れていると言われている。特に個人経営の商店や飲食店で遅れが目立ち、クレジット対応をしていないために機会損失している例も少なくない。村山氏は「インバウンド市場でも、キャッシュレス決済の重要度は確実に増しています」と断言。「政府がキャッシュレス化推進のために補助金などを交付している今が、導入の好機」と語る。
利便性を考えればキャッシュレス化は必須。一方で、手数料や端末代金によるコスト増を心配する店もあるが、それを上回るメリットが期待できるはずだ。日本クレジットカード協会が2016年に東京・浅草の仲見世商店街で行った調査では、クレジットカード支払いにおける1人あたりの平均購買金額は、現金支払いの1.6倍にのぼった。キャッシュレス決済によって非計画購買、つまり衝動買いがしやすくなったと考えられる。飲食店でも、財布の中身を気にせずにメニューを選べる気安さから単価アップにつながる可能性は高いといえそうだ。
では、様々なキャッシュレス決済サービスの中から、どれを選べばよいのだろうか。欧米人はクレジットカード決済が多く、中国人はQRコード決済の「Alipay」「WeChatPay」の利用が多いなど、国やエリアによって主要な決済方法に特徴があるので、自店の周辺にどこの国・エリアの人が多いかを軸に考えるとよい。まずは導入し、選ばれるための土俵に立つことが大切だ。
KEYWORD5「SNS」
口コミやレビューの効果は絶大。投稿を促し、自店のSNSも活用
今やSNSの口コミは宣伝手段の1つとして定着。特にインバウンドでは、SNSによる口コミは絶大な効果がある。「だからこそ、インバウンドの受け入れ環境を整え、来店客に魅力を感じてもらうことが重要。その魅力がSNSで拡散されると、とても強い集客力につながります」と村山氏。SNSでの拡散がきっかけで、メディアに注目される例もある。
「まずは、来店客に店で撮影した写真や体験したことを自身のSNSに掲載してもらうことや、口コミサイトにレビューを投稿してもらうことを、気軽にお願いしてみましょう。予想以上に快く応じてくれるはず」と村山氏。もちろん、SNSに載せたくなる“動機付け”が大切で、魅力的な写真や動画が撮れるようなポイントを設けるとよいだろう。
同時に、店のSNSを充実させて、フォロワーを増やすことも有効だ。まず、来店客に店のSNSのアカウント情報を案内して、フォローしてもらえる環境を作ることから始めるとよい。ただし、「店のアピールだけでは、継続的にフォローしてもらうのは難しい」と村山氏。「フォローしたくなる有益なコンテンツを発信し続けることが肝心です」とアドバイスする。
例えば、お好み焼き店では、お好み焼きの焼き方をわかりやすく動画で撮影し、SNSにアップ。外国人が来店した際にその動画を見せれば、言葉では伝えにくい情報がひと目でわかるだけでなく、店のアカウントをフォローし、その動画を拡散してくれることもある。つまり、「見て楽しく、日本の食に関する学びにつながる写真や動画を発信すると、フォロワーが増え、拡散してくれる可能性が高まる」(村山氏)といえる。
これらは、さほどコストをかけずにできる取り組みだが、予算があるようなら、影響力のあるブロガーやインフルエンサーを店に招き、SNSで店を紹介してもらうことも、外国人客の起爆剤の1つとして有効だ。そのほか、比較的安価なSNSの広告を利用する方法もあるので、トライアルの1つとして検討してみてもよいだろう。
KEYWORD6「予約」
ネット予約が主流に。事前決済も可能でノーショウ対策にも
外国人が飲食店を予約するとき、電話では言葉の壁が立ちはだかる。ホテルのコンシェルジュに予約の電話を入れてもらうこともできるが、近年はネット予約が増加。電話と違って、言葉のストレスを外国人客、店舗の双方で軽減できるところがネット予約の大きな利点。「今後もネット予約の利用は伸びていくと考えて間違いないでしょう」と村山氏は語る。
外国人客のネット予約に対応するためには、自店のホームページにネット予約機能を持たせることも1つの方法。だが、有名店以外は効果が不透明なので、外国人がよく見るネット予約サイトに掲載したり、「ぐるなび外国語版ネット予約」(下記参照)などを活用することが近道だ。
また、ネット予約では事前決済が可能なサイトもある。利用客にとっては予約から決済までをオンラインで一括処理でき、店にとっては確実なノーショウ(無断キャンセル)対策になる。
さらに、ネット予約の際にアレルギーやハラール(ハラル)、ベジタリアン、ヴィーガンなどの食習慣や禁忌を事前に把握できるようにすれば、来店時の対応もスムーズだ。今後、訪日外国人の食習慣が多様化することは確実なので、こうした配慮も検討したい。
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