2019/11/26 特集

【PART3】外国人客 受け入れキーワード10-外国人受け入れ対応事例

開幕まで1年を切った東京オリンピック・パラリンピック。全国で外国人客が増える一方で、飲食店はどんな準備を行うべきか。「PART3」では、外国人客の対応に力を入れている店舗の取り組みを紹介する。

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様々な食習慣を持つ外国人客に対応できる料理をわかりやすく表記

Slow Luck -vegetable bal-[石川県金沢市]

食べられない食材をチェックシートで確認

 オープン当初はイタリアンレストランだった「Slow Luck」は、2015年、加賀野菜を使った創作料理とワインを提供する“ベジタブルバル”に業態転換。生産者から直送される野菜をメインに使った料理が好評だ。

ベジタリアンに対応した「五郎島金時のフリット(はちみつマスカルポーネソース)」(730円)。加賀野菜の五郎島金時(サツマイモ)にチーズを合わせたスイーツのような1品
赤ナスやインゲン、ニンジン、パプリカなどの季節の野菜を塩麹のみで味付けした「野菜の塩麹パスタ」(1,250円)。乳製品フリー、ベジタリアン、ヴィーガンに対応

 客層は40~50代の女性が中心だが、2015年3月に北陸新幹線が開通したことで外国人客が増加した。すると、ホテルから紹介や問い合わせも多く寄せられるようになり、海外ツアーのガイドも個人的に来店。ベジタリアンやヴィーガンに対応できるメニューが多かったため、ガイドの間でも口コミが広がった。現在では、全体の約2割を外国人が占めており、海外ツアー客のディナーを年間で約50件請け負うほか、ベジタリアンやヴィーガンの外国人旅行者が、事前に調べて来店するケースも多いという。

英語メニューには、料理にGF(グルテンフリー)、DF(乳製品フリー)、V(ベジタリアン)、VG(ヴィーガン)などを表記する
食べられない食材を確認するため、英語のチェックシートを用意し、着席時に記入してもらう。肉や魚にチェックがある場合は、出汁の可否も確認
英語を話せるスタッフはいないが、外国人客に向けて簡単な英語メニューがあることを店頭に掲示している

 接客については「日本文化を楽しんでいただくことも大切なので、日本語でお出迎えし、片言の英語とボディランゲージで対応します。視線を合わせて笑顔で接客すれば、おもてなしの気持ちは十分伝わります」(村井氏)。
 今後は、料理やおもてなしの質をさらに高めていきたいと考えている。

Slow Luck -vegetable bal-
石川県金沢市尾山町13-23
https://r.gnavi.co.jp/gzxfu8w80000/
2013年2月オープン。金沢の繁華街・香林坊に近く、観光スポットでもある尾山神社に隣接。野菜や果物をメインに肉や魚、チーズなどを組み合わせた料理が売り。
野菜研究家 オーナーシェフ 村井徹氏
金沢市出身。大学を卒業した後、飲食店に勤務。2013年、祖母から譲り受けた建物を活用して出店。夫婦でアットホームな雰囲気で営業する。

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