2020/03/17 特集

中食のニーズが高まる中、参入前に知っておきたいこと “売れる弁当の作り方”(3ページ目)

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コスト・価格はどう考える?

容器代の目安は価格の10%。食材ロスの抑制も重要に

 中食のコストが店内提供メニューと大きく違うのは、容器(包材)代がかかること。これを上乗せして価格を決めればよいのだろうか。小林氏は、「容器のコストを単純に価格に転嫁して失敗する飲食店は少なくありません」と指摘する。店内利用でもテイクアウトでもデリバリーでも、客の予算が大きく変わることはないからだ。

 小林氏によると、現在のテイクアウト弁当のボリュームゾーンは500~800円。そして、容器代は1個あたり30~100円が相場で、プラスチック製の簡易で安価なものから、環境問題を意識したクラフト容器、2段になっていてデザイン性が高いものなど、様々な選択肢がある。その中で、容器代をできるだけ抑えてメニューの量と質を維持するか、おしゃれな容器も含めて価値を感じてもらい、売価を上げるか、容器代は料理のポーションを小さくするなど原価で調整して、価格をボリュームゾーンに落とし込むかは、客層をよく分析して設計することが大切だ。一つの目安として、「容器代は売価の10%以内が妥当」と小林氏は分析する。加えて、容器代を含めた粗利率は60%が基準のラインになるという。

 では、そのほかのコストはどうだろう。人件費や設備投資の増加も見込んで、設計するべきなのだろうか。

 小林氏は、「弁当メニューを仕込むための既存スタッフの勤務時間の延長や、ピーク時のシフトの増員など、生産増に伴う人件費の増加はある程度、仕方がありません」と語る。しかし、それ以外の新たなコストにつながるもの、例えば、弁当販売のための新規スタッフの採用や設備投資などは、少なくとも参入初期の段階では避けた方がいいだろう。ただし、「弁当などテイクアウトの売上が店全体の売上の20~30%になったら、設備を含めた専用オペレーションの導入や専門店化なども視野に入れていいでしょう」(小林氏)。

 さらに、コストに関連して忘れてはいけないのが、店内メニューと同様に食材ロス。特に作り置きの弁当の場合、売れ残りによる廃棄は大きな損失になる。この食材ロスを最小限にするために、小林氏は「生産予測の精度を高めるとともに、アフターオーダー制や事前予約制の導入」を提唱する。

 アフターオーダー制とは、文字通りオーダーを受けてから作り、出来たてを提供すること。必ずしも調理自体を注文後にするのではなく、加熱や味付けなどの最終工程のみを注文後にして、容器に詰めればいい。食材ロスの減少につながるのはもちろんだが、飲食店の弁当への“出来たて”ニーズに応え、小売店との差別化という意味で大きなポイントとなる。また、予約制であれば、個数に合わせて事前に食材の発注・仕込みができるので、食材ロスだけでなく、人件費のロスの回避にもつながる。「アプリを使って予約を受け付ける方法などもあり、食材ロスの回避やキャシュレス決済による会計処理コストの削減、客の待ち時間の回避など、ランニングコストを上回る利便性がある」と小林氏。立地や客層にもよるが、こうした新しいツールなども活用して、弁当販売にチャレンジするのもいいだろう。

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