2020/05/21 特集

何を売る? どう売る? テイクアウト&デリバリー(2ページ目)

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素材と製法にこだわったオリジナルな商品開発が肝要

 飲食店などの参入によって、テイクアウトやデリバリーの市場はこれまで以上に競争が激化。選ばれるためには、やはりメニューが重要だ。小林氏は「その店ならではの“名物”や“看板”を生かした商品開発が有効」とアドバイス。従来は、唐揚げやハンバーグといった定番料理の品ぞろえが売上に直結することが少なくなかったが、現在はそれだけでは選ばれにくいという。「“あの店のあの料理を自宅で食べることができるのなら、ぜひ買いたい”という利用動機の喚起がカギになります。その際、キーワードになるのが『素材と調理法』」(小林氏)。例えば、地元ブランド豚を使用している店なら、「△△豚のカツ丼」などと打ち出したり、漁港直送の海鮮が自慢の海鮮居酒屋なら「○○漁港の漁師弁当」などもアピール力があるし、炭火焼きが看板なら「牛炭火焼き弁当」もいいだろう。定番の唐揚げでも、こだわりの素材や調理法をアピールすれば、ぐっと選ばれやすい。「できたて」は飲食店ならではの重要な価値だが、作り置きをする場合も「素材と調理法」のアピールは有効なセールスポイントとなる。

 さらに、「これらのメニューを、レディミールとしてブランド展開すれば、将来的に通販にも進出が可能。収益の柱の多角化を狙えます」と小林氏。例えば、「△△豚のカツ丼」でテイクアウトやデリバリーを展開し、同じ素材を「△△豚の鍋セット」などミールキットへ落とし込めば、通販という販売経路が開け、店のブランディングにつながる。事業拡大の可能性の1つがここにもありそうだ。

 加えて、小林氏は「価格帯を最適化することも忘れてはいけません。現在、特に伸びている中食ニーズは、『家庭の夕食』『オフィスや工場でのランチ』『家庭のプチパーティー』の3つ。それぞれの利用動機によって予算が変わってくるので、自店の立地やターゲットのニーズに合わせた価格帯を見極めることが大切です」と指摘する。競合が多い分、安すぎても高すぎても、選択肢からこぼれてしまうからだ。ただし、価格設定については、「消費者側に“コロナ慣れ”“中食慣れ”による価格意識の変化があることも、念頭に置きたい」と小林氏。以前は、外食で使う金額に比べ、中食の予算はかなり抑えられる傾向があった。飲食店のテイクアウトも、コンビニやスーパーの低価格帯に引っ張られて、安価になりがちだったのだ。しかし、今は「外食が制限されている分、中食にお金を使いやすい心理になっている」(小林氏)という。こうした状況で、飲食店ならではのこだわりが詰まった中食であれば、価格を上げても十分に勝負できるはず。作り置きのコンビニ弁当や惣菜との差別化に成功するチャンスでもある。

 小林氏は「飲食店がテイクアウトやデリバリーを行う上で、今の状況は完全に“追い風”」ときっぱり。上手に“風”をつかみたいところだ。そのためには、見た目の完成度にも気を配りたい。盛り付けの工夫とともに、包材のチョイスも重要になる。コロナ禍によって生まれた消費者の新しい価値観を意識し、ニーズとシーンに合った包材で、アピール力を強めることも一案だ。

 今回のコロナ禍に伴う特別措置として、飲食店で酒類のテイクアウトが可能になったことも見逃せない。通常、飲食店の営業許可では酒類のテイクアウト販売はできず、酒類販売業免許が必要。だが、緊急事態宣言によって飲食店に営業時間の短縮が求められたこともあり、期限付酒類小売業免許が特別措置として申請制で付与されることになった。6月30日までに税務署へ申請すれば、飲食店でも6カ月間の酒類のテイクアウト販売が認められる。小林氏は「飲食店がアルコールのテイクアウト販売を行うのであれば、フードとアルコールのセット商品が有効」とアドバイス。例えば、缶ビール単体ならスーパーで購入したほうが安く済むだろうが、飲食店のこだわり料理と、それに合うお酒(銘柄含む)とのセットなら、購入につながりやすいだろう。そもそも、フードとアルコールのマッチングは飲食店の得意分野だ。「例えば、ワインバルなら、おしゃれなタパスにワインやカクテルを付けるとか、和食メインの居酒屋なら小鉢料理などと日本酒を組み合わせたり、地酒3種飲み比べセットを付けたりすると、喜ばれるのでは」(小林氏)。スーパーではなかなか手に入らない銘柄などは、希少価値からそれ単体でも購入意欲につながるはずだ。

 「『家飲み』や『オンライン飲み会』は、コロナ収束後も定着する可能性が大。今後は、オンライン飲み会であれば、料理やドリンクの“Web映え”が重要になっていくかもしれません」と小林氏。自店の強みを生かしてチャレンジしてみてはどうだろうか。

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