2020/05/21 特集

何を売る? どう売る? テイクアウト&デリバリー(3ページ目)

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店頭でのアピールと共にオンラインでも多角的に発信を

 自店でテイクアウトやデリバリーを行っていることをアピールするには、どんな方法が効果的なのか。小林氏がまず呼びかけるのが、「他者任せにしてはいけない」ということ。「特に最近よく見られるのが、集客のための販促について、外部の業者に過度に依存してしまうケース」という。デリバリーの配送代行業者に登録しただけで良しとし、集客の工夫を怠りがちになることが、その典型例の1つだ。「これでは、思うような売上にはつながりにくい」と指摘する。では、どうすればよいのだろうか。小林氏は「集客の機能(仕掛け)を内製化する視点が大切」と力説する。例えば、ファサードの全体、もしくは一部を使ってテイクアウトやデリバリー情報を発信する。そこまでできなくても、店頭のポスターやのぼり、店頭に出すA型の立て看板やイーゼルなどでテイクアウト・デリバリーを行っていることやメニュー内容・価格などを、わかりやすく、細かく発信すること。また、エリアによってはポスティングも有効だ。いずれにしろ、テイクアウトやデリバリーをやっていることがひと目でわかるようにアピールし、商品の魅力をターゲットに届ける努力が肝心だ。

 また、オンラインでの発信も不可欠。特に不要不急の外出自粛が求められているエリアもある現在、様々な情報を家にいながら手にしたい気持ちは、かなり強い。食事を用意しようと思ったとき、食材の買い出しではなく、まずテイクアウトやデリバリーができる店や施設をインターネットで検索する人は多くなっている。地図アプリにはテイアウトやデリバリー情報が検索できるようになったものもあり、自粛の長期化で、テイクアウトやデリバリーできる店を新たに開拓しようという意欲も大きい。だからこそ、「SNSでの発信はもちろん、自店のWebサイトやグルメサイトをきちんと更新して、テイクアウトやデリバリーを探している人の目に留まるように努力することがとても大切」と小林氏。「Googleマイビジネスの活用のほか、Instagramで情報を発信する際も、『テイクアウト』や『持ち帰り』といった言葉をハッシュタグに使うだけでも、効果は大きい」と語り、「こうした地道な取り組みに、どれだけ注力できるかによって、集客への効果は大きく変わってくる」と力説する。

 一方、デリバリーは、テイクアウトに比べると配達という工程が加わる分、特に従業員の少ない店ではハードルが高くなる。配達代行業者に登録する店は増えているが、コロナ禍で参入店が多くなり、登録待ちが発生しているほか、配達手数料も発生するため、どうしても収益性が下がる。だからといって、従来の出前のように配達先と店とをオーダーが入るたびに往復するピストン型の配達システムでは、時間もコストもかかりすぎて、やはり収益性が低くなる。そこで小林氏は「自社便による効率的な配達システムの構築」を勧める。配達の作業は、車やバイク、自転車などの配達手段によって1時間あたりのコストが異なる。そこで、自社が採用できる配達手段と、配達件数の見込みを勘案して、1便あたりのおよそのコストを算出する。それを元にして、採算ベースに乗せられる配達エリアと配達件数、1件あたりの最低注文金額を設定する。小林氏によると、最も合理的な配達システムは「ルート配達」だという。これは、複数の配達先を最短コースで順番に回る方法で、生活協同組合の宅配方法をイメージするとわかりやすい。この場合、オーダーは必然的に事前予約制になる。例えば、メニューにもよるが前日や前週までにオーダーを受け付け、当日の昼や夕方、決まった時間内にルート配達で複数箇所に配達する仕組みなら、「小規模の飲食店でも、自社便のデリバリーで収益を上げることは十分に可能」と小林氏は言う。こうした新たなデリバリーの戦略でも、オンラインでのアピールは効果を発揮する。Webで探してデリバリーの利用を決めた人が、そのままオンラインで事前予約に進めば、手続きは一瞬で完了。さらに事前決済も導入すれば、飲食店にとっても消費者にとっても利便性は高い。もちろん、テイクアウトでも効果は同じだ。

 もちろん飲食店の魅力はツーオーダーで「できたての料理」をその場で食べられることだが、非接触・移動レスは、今後も「新たな生活様式」として一定の定着が予想され、飲食店によるテイクアウトやデリバリーへの期待はますます高まるだろう。オンラインをはじめとした様々なリソースを駆使して、収益アップを図る取り組みを工夫したい。

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