2020/10/13 特集

飲食店のEC 成功の法則 成果を出すにはコツがある!(2ページ目)

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ECサイトの種類と商品・販売戦略

新規客へのリーチにはモール、実店舗との連動なら自社サイトが有効

 EC市場には、大きく2種類のプラットフォームがある。1つは「モール」と呼ばれ、「楽天市場」や「Yahoo! ショッピング」などに代表されるような複数のネットショップを1つにまとめたWebサイトだ。もう1つは、それぞれの店舗や企業が自前で構築・運営する「自社サイト」。江藤氏によると、ネットショップの約6割がモール、約4割が自社サイトだという。

 最近は無料で出店できる「BASE」「STORES」といったプラットフォームもある。江藤氏は「有料モールは販促やリピーター作りの仕組みがありますが、無料の出店プラットフォームは最低限の機能しかありません。購入・決済の場という性格が強い。SNSなどで一定のファンを集めているなら、無料出店プラットフォームで作成したサイトに誘導して利益を出せる可能性はありますが、それ以外では苦戦が予想されます」と解説する。

 では、飲食店がネット通販を始める場合、モールと自社サイトどちらがよいのだろうか。それぞれの主な特徴を下の図に示した。「広いエリアから新規客を獲得することを狙うならモール、ターゲットが実店舗に紐づく既存客ならば自社サイトが有効。どちらを選ぶかで商品開発や事業計画、販売手法まで大きく違ってくる」と江藤氏は言う。以下では、それぞれの特徴について見ていく。よく理解したうえで、自店に合ったものを選びたい。

■モール:競合が多く、顧客獲得までにコストがかかるが、販売手法は確立

 モールは全国にユーザーがおり、集客力が高いので、実店舗では集客対象外のエリアや客層に向けた発信が可能。だが、競合が多いため、情報が埋もれやすいのも事実だ。江藤氏は「どうやって顧客を獲得するかがポイント」と話す。まず、「お試し」や「訳あり」などお得感の高い商品を用意して広告を打ち、初回購入を誘う。次に購入者に対し、メールやクーポンを付与して再購入と共に、看板商品や利益率の高い商品へ誘導し、売上・利益増につなげるという流れが基本だ。「販売手法は確立されているので、やるべきことはシンプル」と江藤氏。だが、「モールでの顧客獲得単価は8000円」(江藤氏)と言われており、広告・販促費は高い。また、リピートまでの流れを作らなければ、利益が出にくい。それでも江藤氏は、「販売方法に則れば、利益は薄くても売上は立ちやすいので、自社の余剰人員を回すためにモールを活用するのもあり」と言う。もちろんファンを獲得できれば、収益の大きな柱になる。

■自社サイト:既存客を中心にSNSで発信。実店舗との連動が有効

 自社サイトには、モールのような幅広い集客力はない。だが、実店舗で既存客や常連客が一定数確保できている飲食店なら、自社サイトでのEC展開は、実店舗との相乗効果を狙うことができる。また、モールに比べ価格競争になりにくいので、個性を前面に出した看板メニューなどで、勝負することが可能だ。販促は、自社の努力が不可欠。モールのように確立された手法はないが、「SNSの活用が非常に有効」と江藤氏。例えば、既存客にSNSのアカウントのフォローを促し、商品を発信。店を思い出してもらいつつ、商品のこだわりや特徴を改めて伝え、購入意欲を喚起する。過去に来店したことがある人であれば、店への信頼感や安心感があるので、購入のハードルは下がりやすい。同時に、実店舗の情報、テイクアウトの案内などもSNSと連動させれば、実店舗とECの双方で売上を上げることができる。販促費が低く抑えられる点も特徴の1つだ。

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