2021/03/08 繁盛の法則

人気店での勤務経験を経て、独自に展開するうどん店とは

滑らかな舌触りと、しっかりしたコシを併せ持つ自家製麺のさぬきうどんを、たっぷりの豚肉を合わせた「肉うどん」を看板商品とする「甚三」。都内に3店舗を展開し、日商22~24万円と健闘している。

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新橋 甚三(じんざ)

Key Point

  1. 自家製麺で本格的なさぬきうどんを提供
  2. 定評ある豚肉を使った肉うどんを開発
  3. 素早い商品提供、客席の高回転を実現

飲食業で独立を目指し、日常食であるうどんに着目

 ツルツルした滑らかな舌触りと、しっかりしたコシを併せ持つ自家製麺のさぬきうどんに、たっぷりの肉を合わせた「肉うどん」を看板商品とする「甚三」は、千葉・浦安出身の岡本修平氏が創業し、2021年3月現在、都内に3店舗を展開している。

 1号店は2015年12月に出店した港区・大門にある「大門 甚三」(15坪24席)、2号店が2019年5月オープンの港区・新橋にある「新橋 甚三」(35坪39席)で、3号店は2020年12月に千代田区・神田錦町で「肉讃岐 甚三うどん」(17坪24席)としてオープンした。大門店は株式会社岡本商事の運営だが、2号店からは2019年4月設立の株式会社甚三が経営元となっている。

 岡本氏は1985年生まれで、専修大学時代まで野球選手として活躍し、神奈川・桐蔭学園高校時代は甲子園出場も果たしている。大学卒業後は一般企業に就職したが、サラリーマン生活が肌に合わず、2年半ほどで退社し、自分の好きなことができそうな自営業の道を目指すことにした。自身の興味、関心の中から飲食業を選び、特に肉が好きだったため、ハンバーグやステーキ、焼き肉など肉業態を展開する飲食企業に2011年に転職。2年ほど勤務したが、肉業態での開業資金の高さ、肉類の仕入れルートの確保などにハードルの高さを感じ、より日常的な食としてうどんに着目した。その後、いろいろなうどん店を食べ歩いた中で、そのおいしさに感動した東京・神保町の「丸香(まるか)」に2013年に入り、2年ほど勤務。同店では、製麺やつゆ作りは店主のみが行っているため、岡本氏は主に店舗オペレーションの経験を積みながら、うどん作りは見よう見まねで学んだ。加えて、香川に本社のある製麺機メーカー、さぬき麺機株式会社が主催する2日間の「讃岐うどん学校」を東京支社で受講し、大門の物件を見つけて独立に踏み切った。

圧倒的な人気を誇る「肉かけ」(写真右640円)は、千葉産の豚肉「林SPF」のバラ肉約100gを、ごく薄いしょうゆ味でさっと茹でてのせた、ボリュームたっぷりの商品。肉厚の生ワカメをのせた「鳴門天然わかめ」(同上590円)は、さぬきうどん店ならではのメニュー。寒い季節にはやや辛口に仕上げたカレーうどんやサイドメニューの「ミニカレー」(同左200円)もよく出ている

看板商品の肉うどんを武器に、開店後1年半で軌道にのせる

 開業に際し岡本氏は、うどんやつゆの素材である小麦粉やしょうゆ、和三盆糖、煮干し、ネギなどは香川から仕入れ、毎朝製麺。加えて、独自性を出すために自身の好きな肉を使い、肉うどんをメインにすることにした。できれば出身地である千葉県産の良質な豚肉を使いたいと、県内全域の精肉卸業者をネットで調べて訪ね、仕入れ交渉をした。その中で、高品質な豚肉として知られる「林SPF」の仕入れルートを確保でき、看板商品の「肉かけ」(640円)を開発。「林SPF」のバラ肉を、うどんとともに食べたときのバランスを考え、厚さ1.5mmのスライスにし、ごく薄いしょうゆ味でしゃぶしゃぶ風にさっと茹で、うどんの上にのせて提供する。うどんは1玉が生麺で280g、豚肉も1人前に100gを使用し、そのボリューム感も魅力となっている。

 しかし、大門店のオープン当初は客数が少なく、日商5~6万円という日が続いた。徐々にリピーターや口コミのお客が増えていき、1年後に日商13~15万円、1年半後に日商20万円を超えるようになった。その過程で、食券機を導入し、体への負担を考えて昼のみの営業に絞るなど、少しずつ営業スタイルを変更。さらに、ウエイティングがあっても、お客の着席後は1分ほどで商品が提供できるように、オペレーションやスタッフの配置などの工夫を重ねた。大門店では1日の最多客数として480人を記録しており、昼の4時間半の営業で24席が20回転したことになる。客単価は680~700円で、20~70代まで幅広く集客し、女性が3~4割を占める。コロナ以前は大門店、新橋店ともに日商30万円を超える日も多く、その後はコロナ感染拡大の影響を受け、客数減などの影響はあるものの、両店とも日商22~24万円と健闘している。

 同店がさぬきうどんと肉をテーマに、ビジネス立地で健闘している要因は、以下のようになるだろう。

  1. 香川を中心とする四国の素材を使った、自家製麺によるさぬきうどんを提供している。
  2. 定評ある豚肉「林SPF」を使った肉うどんを看板商品としている。
  3. オペレーションを工夫し、素早く料理を提供し、客席の高回転を実現している。

 新橋店出店に際し、高校時代の野球部の先輩で、飲食店経営の道に進んでいた荻巣雄太氏と協力し、今後の事業展開を進めることにした。そのため、株式会社甚三は岡本氏と荻巣氏が共同代表となっている。荻巣氏は別会社で台湾小籠包が看板の「京鼎樓(ジン ディン ロウ)」などを経営しており、その経験を「甚三」でも生かしていく狙いがある。また、3号店の神田店では、「林SPF」の挽き肉が入手できるようになったため、つみれを使ったうどんやキーマカレーをメニューに加えるなど、新たな看板商品の開発、訴求に努め、常に進化させながら多店舗化を目指している。

新橋 甚三(じんざ)
住所
東京都港区西新橋1-19-3 第二双葉ビル 1F
TEL 03-6205-4955
営業時間
11:00~15:30(土曜日~14:00)、17:00~22:00(変更の場合あり)
定休日
日曜日、祝日