2021/04/06 繁盛の法則

4種の肉を新たに導入し、差別化を図るステーキ店とは

東京・渋谷にある「ステーキロッヂ渋谷店」は、鉄板に肉をのせて客席に運び、客が好みの焼き加減に仕上げることができるステーキ専門店。牛肉のほか、新メニューとして鶏、ラムなどのステーキ4品を追加した。

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ステーキロッヂ渋谷店

Key Point

  1. 自由度の高いステーキ店として固定客を獲得
  2. 顧客の利用動機の変化を敏感に察知
  3. 4種の〝機能性ステーキ〟で健康志向に対応

焼き加減や味付けを好みで調整できるスタイルが好評

 東京・渋谷にある「ステーキロッヂ渋谷店」は、独自開発の鉄板の上で、〝ジュージュー〞と音を立てながら肉を提供するステーキ専門店だ。アメリカ産およびオーストラリア産のチルドビーフを主力商品に据えるとともに、コロナ禍における健康志向の高まりを受けて、2021年2月に新メニューとして鶏、ラム、カンガルー、エゾシカのステーキ4品目を追加した。ライスも白飯から、白米に大麦をブレンドしたミネラル豊富な「バーリーライス」と、100%の「発芽玄米」に切り替え。他のステーキチェーンと明確に差別化し、健康と活力を充電する〝チャージスポット〞として地域で必要とされる店になる
とともに、多店舗化を目指している。

 経営元の株式会社B級グルメ研究所は、主に居酒屋業態を展開する株式会社ファイブグループの傘下で2012年に設立された。昔懐かしいナポリタン専門店「スパゲッティーのパンチョ」(直営15店、FC8店)、「牛かつもと村」(国内18店、台湾2店)、「ローストビーフ大野」(2店)などを経営しており、「ステーキロッヂ」は2018年9月オープンの渋谷店と、2020年5月オープンの池袋店がある。

 渋谷・道玄坂沿いのビルの1階にある17坪20席の渋谷店は、登山者を温かく迎える山小屋をイメージした内外装が目を引く。蓄熱性の高いオリジナルの鉄板を使用するため、天井に十分な給排気設備を装備。向かい合った客席の間には脂はね防止を兼ねた調味料置き場でもあるパーテーションを設けており、これらがコロナ対策としても効果を発揮し、お客の安心感につながっている。主力商品は、牛肩ロースの「ジューシーロッヂステーキ」と牛ミスジの「フレッシュロッヂステーキ」(各200g/1100円、300g/1529円、400g/2068円、500g/2607円)。レアの状態で客席に運び、鉄板の上で好みの焼き加減に仕上げることができる。ステーキソースは、店内で毎日手作りする淡路島産タマネギのソース、ガーリックソースの2種を用意し、そのほか岩塩なども置いている。客単価は1800円で、主な客層は20~40代の男性だが、2020年から女性も増え始めて約3割を占めるようになり、1人で来店する女性も少なくない。 

手前が主力商品の1つの「フレッシュロッヂステーキ」(400g/2,068円)で、アメリカ産牛ミスジ肉を使用。蓄熱性の高いオリジナルの鉄板にレアの状態で提供し、好みの焼き加減に仕上げて食べる。奥が2021年2月より提供する「機能性ステーキ」の1つ「ジンギスカンステーキ」(300g/2,189円)。羊肉特有の臭みを抑え、肉汁の甘味が味わえるように調理し、ジンギスカン用ソース「北海道ソラチソース」を添えて提供する

「肉を食べて健康になりたい」という需要の増加に対応

 コロナ禍による飲食店への時短要請に応じ、比較的売上比率の高い深夜の営業を中断し、テイクアウトやデリバリーも開始した。同時に、お客との会話やアンケートから、以前にも増して健康に気を遣う人が目に見えて増えてきた。
 
 「コロナ禍になり、ステーキ店に求められるものが変わり、同時に需要が増していると感じています。肉をしっかり食べて、満腹になりたいというだけではなく、健康のために肉を食べたい、ヘルシーな肉を食べたいという人が増えたように感じます。あるいはコロナ太りを気にして脂身を避け、男性でもライスは少なめという注文が多くなっています。そこで、競合するステーキ店と圧倒的な差別化をするためにも、健康への気遣いという大きなテーマを掲げ、『機能性ステーキ』という4種の新メニューを導入しました」と、営業部長兼ブランドディレクターの福田幸洋氏は説明する。この4種の「機能性ステーキ」とは、国産鶏ムネ肉を使った高たんぱく質、低脂質の「ログチキンステーキ」(200g/1078円~)、Lカルニチン、亜鉛、鉄分などが豊富なラム肉を使った「ジンギスカンステーキ」(150g/1100円~)、高たんぱく質、低脂肪、低コレステロールに加え、不飽和脂肪酸を多く含むオーストラリア産の「カンガルーステーキ」(200g/1650円~)、ラムと同様にLカルニチンが豊富で、鉄分やビタミンB群も多い「蝦夷鹿ステーキ」(200g/3410円~)である。「ログチキンステーキ」は低温調理でしっとりと仕上げ、「ジンギスカンステーキ」は羊肉の臭みを抑えるように工夫し、専用ソースを添えるなど、それぞれの調理法や味付けにも独自性を加えている。
 
 同店がリーズナブルなステーキ店として基盤を築き、新たに4種のメニューを導入し、独自の展開を始めた要因は、以下のようになるだろう。

  1. 肉のグラム数や焼き加減、味付けを好みで調整できるステーキ店としてリピーターを獲得している。
  2. お客との会話やアンケートにより、ステーキ店の利用動機の変化を敏感に察知している。
  3. 新たに4種の「機能性ステーキ」を導入し、健康志向の高まりに対応している。

 「活力を養うチャージスポットは、どの町にも必要だと思うのです。栄養を摂りたい、健康になりたい、何かを補給したいというときに、しっかりと満タンまでチャージできるようなステーキ店になりたいですね。私たちは満足度日本一のステーキ店になるという目標を掲げています」と福田氏は語る。今年中に2店、2025年までに30店体制の実現を目標としている。

ステーキロッヂ渋谷店
住所
東京都渋谷区道玄坂2-10-13 成瀬ビル 1F
TEL 03-6416-4125
営業時間
11:00~翌7:00(LO.6:30、変更の場合あり)
定休日
無休