更新日:2022.7.11
目次
・コロナ禍の店内営業で、どのように売上を上げればよいですか
・ターゲットを変更し、売上や利益を上げるにはどうすればよいですか
・人件費のロスについて、何かよい対策はありますか
・どのように顧客を取り戻せばよいですか
・テイクアウトで売上を上げるにはどうしたらよいですか
・デリバリーやゴーストレストランをどのように始めたらよいですか
先に掲載した記事「【飲食店アンケート】どんな問題に、どう対応してる? コロナ禍における店舗運営」でも紹介したが、コロナ禍において、飲食店はさまざま問題や悩みに直面している。そこで、ぐるなび加盟店のアンケート(2021年9月実施)で寄せられた売上や顧客の確保、ターゲットの変更、人件費ロスなどの悩みについて、飲食店コンサルタントの三ツ井創太郎氏にアドバイスをいただいた。
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【Q】コロナ禍の店内営業で、どのように売上を上げればよいでしょうか。今後、また酒類が提供できなくなると厳しいです。
【A】既存客のリピート率を高めることが重要。次回来店のオファーをしましょう。
コロナ禍、そして酒類が提供できない中での営業は厳しく、その中でも来店してくださるお客様は本当に貴重です。そういったお客様は店のファンである可能性も非常に高いので、まずは再来店をいかに確保するかを最優先に考えましょう。消費者は行動制限が解除されたからといって、すぐに知らない店に行きたい気持ちにはならず、よく知っている店の中から選ぼうとするはずです。再来店したくなるようなフックを用意し、「来店のオファー」をしましょう。例えば、お見送りの時に新商品の案内や特典が付いたクーポン、チラシを手渡す、顧客情報を使ってメール配信するなど、店に合った方法で取り組んでください。そうすれば「次も行ってみよう」というきっかけを作ることができるのです。
加えて、感染対策がしっかりしていることも重要。居心地の良い空間であることに今まで以上に気を配り、「やっぱり、この店はいいね」と思ってもらうことが売上確保の確かな方法です。
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【Q】コロナの影響でこれまでの主たる客層が獲得できなくなったため、ターゲットの変更を考えています。ターゲットを変更しつつ、売上や利益を上げるためには、どんなことに気を付ければよいでしょうか。
【A】
まずは計画を練りましょう。ターゲットを調査し、成功している「モデル店」を探して長所を取り入れましょう。
ターゲットの客層を変更して成功を収めるのは、コンセプトから作り直すことが必要になるため、難易度が高いと言えます。よくよく吟味し、計画を練らなければいけません。そもそも、変更しようとするターゲットのことを、どれだけ知っていますか? 今まで接する機会が少なかった人たちのはずですから、まずはその人たちのニーズや嗜好をよく調べることが重要です。なんとなくわかった気になり、勝算を頭の中だけで描いているのだとしたら“失敗の始まり”になりかねません。
ターゲットの変更が可能と判断したら、しっかりと準備をします。商圏内の競合店を調査するとともに、全国に視野を広げて「モデル店」、すなわち自店と似た条件の成功店を見つけます。そして、成功につながっている長所をたくさん探し出し、店づくりに生かしてください。成功店の長所に学ぶことが業態開発の基本です。「この店は繁盛しているけれど、料理はうちの店のほうがおいしい」などと短所を見つけるような姿勢は禁物。繁盛するには理由が必ずあります。長所を参考にしながら改善していけば、売上や利益にもつながっていくでしょう。
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【Q】コロナの状況により集客にムラがあり、営業が暇なときもあって、人件費のロスが出てしまっています。何かよい対策はないでしょうか。
【A】QSC向上のための仕事をしてもらいましょう。人員配置の適正化やフードコストの調整も有効です。
今後も集客の見通しが立ちにくい状況が続く可能性があります。まずはアルバイトスタッフに事態をよく説明して、シフト調整に協力してもらうことが必要です。一方で、スタッフに協力ばかりをお願いしていると、モチベーションが下がり、離職につながりやすくなります。社員はもちろんアルバイトスタッフの採用・教育コストは、決して小さくありません。人が足りなかったり、採用しても教育が追いつかなければ、これまで通りのサービスが提供できず、顧客離れを起こす危険があります。
こうした事態を避けるために、ある程度の人数を確保し、生まれた余裕で接客を手厚くするなど、店のQSC向上のための仕事をしてもらいましょう。今は、QSCが要の時です。また、アフターコロナでは飲食店の人手不足は必至ですから、現在のスタッフが貴重な戦力であることを忘れないでください。
混雑予測の立てにくさは、コロナ禍の特徴の1つでもあります。あらかじめ仕込んでおけるメニューを増やすなどの工夫で、人員の配置を適正化したり、フードコストを調整し人件費に回すといったことが有効。食材の在庫状況に合わせておすすめ料理を変えるなどすると、食材ロス削減につながり、FLコストの改善に役立ちます。
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【Q】コロナの影響で顧客が離れてしまいました。今後、どのように顧客を取り戻せばよいでしょうか。
【A】まずは営業していることを発信!期待に応え、顧客満足度を上げることが重要。
まず、店が元気に営業していることを顧客に知らせる情報発信が、何よりも大切です。店が今、どんな営業スタイルなのかなどを積極的に発信してください。ひと昔前のように「おいしい料理を出していれば、客足は自然に戻る」などと構えていても、顧客は思い出してくれません。
同時に、自店の価値を最大化し、今まで以上にファンになってもらう視点が必要です。久しぶりの外食で、お客様の期待値は予想以上に上がっていますから、「数カ月ぶりに来たけれど、以前よりサービスが悪かった」などと思われたら大変です。よく準備して顧客満足度を上げること、お客様の不満足をいち早くキャッチして手を打つことが大事です。特に、営業を再開した直後はオペレーションが不安定になりがちです。久しぶりの活気に浮かれて、接客やサービスが行き届かないことがないように、店が一丸となって抜かりのない営業を目指してください。
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【Q】テイクアウトで売上を上げるにはどうしたらよいでしょうか。
【A】圧倒的な差別化ができるメニューが必要。食べる直前の状態を想定して開発しましょう。
そもそも、中食マーケットは7〜8兆円しかなく、25兆円の外食マーケットとは規模が違います。しかも、すでに専門企業が数多く存在していますから、飲食業から参入して成功するのは容易ではありません。
でも、中食市場が活気づいているのは事実。まずは商品力が重要です。複数の料理で総合的に判断してもらえる飲食店と違って、テイクアウトは1品勝負です。圧倒的な差別化ができるメニューで、選ばれることを目指してください。その時に大切なのが、食べる直前の商品の状態を想定して開発すること。イートイン商品をテイクアウトに横滑りさせると、食卓に上がった時の経時劣化に気付かず、逆に店の評判を落としかねないからです。もちろん、中食の商圏(半径約2km)にある競合店は全てチェックしましょう。
さらに、鮮度の高い情報をダイレクトに顧客に届ける仕組みを目指すとよいでしょう。顧客のデジタルアドレス(メールアドレスやLINEの会員など)を収集していた店は、テイクアウトを始めた際、デジタルアドレスに一斉送信し、大量注文に成功しました。デジタルアドレスの登録に特典を付けて収集し、「本日の限定メニュー」といった鮮度の高い情報を送信すると、利用頻度が上がりやすくなります。
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【Q】デリバリーやゴーストレストランなどもやりたいのですが、人手を削っているため、管理しきれなくなりそうです。どのように始めたらよいでしょうか。
【A】人手がないのであれば参入は難しいでしょう。挑戦するなら、まずは自分が利用して課題の洗い出しを。
デリバリーやゴーストレストランは、一定程度の人口規模がある商圏でなければ成立しにくいビジネスモデルです。人口が少ないエリアでは、需要が高く、マーケットサイズが大きいピザや寿司などの商品でないと難しい。また、大手がガッチリ固めている場合も少なくありませんし、どちらもピークタイムが店内営業と重なりますから、人手がないなどの不安要素があるなら、無理して参入しないほうがよいでしょう。
挑戦するのであれば、事業としての軸をしっかり据えます。まずは商圏調査を行い、競合店をチェック。オーナー自身がデリバリーシステムのアカウントを取って、商圏内のデリバリーやゴーストレストランでオーダーをしましょう。客になったつもりで実際に利用すると、料理のクオリティーや経時劣化の程度、配達時間など課題がいくつも見えてきます。それらを一つひとつ解決して勝算があるならチャレンジしてください。
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