2012/05/29 特集

ターゲティングでお客をつかむ!

顧客の多様化が進むなか、やみくもに販促を行なっても効果は薄い。そこで、今回はエリア分析やターゲットを絞って明確に集客している事例をご紹介。自分の店に合ったターゲットに効果的にアピールしよう!

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顧客の多様化が進むなか、やみくもに販促を行なっても効果は薄い。そこで、今回はエリア分析やターゲットを絞って明確に集客している事例をご紹介。自分の店に合ったターゲットに効果的にアピールしよう!

親目線に変え、子供も連れて食べに行きたくなる店へ

【大阪・江坂】 焼肉ホルモン 地鶏専門 おちば屋

ちゃんと「ごちそうさま」を言えた子供にはアイスのサービス、帰りにはおもちゃを渡すなど、子供歓迎の姿勢が随所に光る。親からは感謝の言葉が上がるほど

街の変化を実感しながらターゲットを絞り込む

大阪府吹田市江坂に1999年にオープン。もともとスタッフに子供好きが多く、「子供歓迎」を店の姿勢としていた。「お子様向けに、入店時にジュース1杯のサービス、カレー1杯10円にし、おかわりも自由にしました。さらに『おなかいっぱい、ごちそうさま!』と言えた子には、アイスのサービスとおもちゃのプレゼントも行なっています」と、株式会社ブラサニ代表取締役の櫻田浩太氏。3年前からは、子供連れが多い日曜・祝日は店内をすべて禁煙にし、女性用トイレにはベビーシートを設置。子供を受け入れる体制を強化した。

こういった子供歓迎の姿勢に、近年の街の変化がマッチした。「都会と郊外の要素を併せ持つ江坂は、大小様々なオフィスもありながら、住宅地としても人気が高いエリアです。近年、ビジネス街から変遷しつつあり、他の地域から住み替えでマンションを購入する30代以上の子育て家族が増えています」と櫻田氏。自らも子供を持ったことで、同世代との家族ぐるみの交流も増え、それを身を持って実感 したという。

街に30代の家族が定着してきたことで、改めて、自分と同世代の30~40代の子供を持つ親を店に取り込んでいこうと考えた櫻田氏。「周辺ではチェーン店の出店なども相次ぎ、週末に飲食を楽しむ人も確実に増えていますから、ファミリーに向けたアピールをしないのはもったいないと思いました。親たちは子供を連れて行ける店を選びますし、子供がいても“焼鳥を食べたい”と思う親たちは多い。親が安心して食べ、おいしいと思うものは、子供にも食べさせたいと思うはず」と考えるようになった。それまでの子供へのサービスを前面に出す考えから、親が喜ぶ店作りを目指すことで、ファミリーを獲得しようと視点を変えた。

付加価値を付けて成功。親に選ばれる店へ

こうした親目線もふまえ、ファミリーをターゲットにした新たな戦略が見えてきた。まず必要なことは、安心で安全な食材を仕入れること。それを徹底し、これまで一部のドリンクだけだったが、すべてのドリンクをオーガニックな製法で作られたものに変更。料理も生産者と直にやり取りして仕入れる自慢の丹波地鶏に加え、新たに河内鴨の仕入れ先も確保。店舗ページにも生産者の顔を掲載し、より安全性をアピールした。「子供を持つ親として、食育の意味も込めています。本当に安全でおいしいものを提供することで、子供の食べる意識を高めたいと思っています」。今後は、養鶏場や農家への子連れ見学会も検討し、生産者と消費者の懸け橋にもなりたいという。

これまでの子供歓迎の姿勢に加え、親が喜ぶ店作りを目指したことで、週末のファミリーの集客も増えた。より良い食材を仕入れることで、客単価は1000円ほどアップしたが、それによる店離れは見られない。3年前に英断した日曜・祝日の店内禁煙も、当初は集客に影響があったが、このところの禁煙ブームで、逆に選ばれる店の要因になった。

また、ファミリーに向け、節分には3年連続で「恵方巻」をテイクアウトで販売。「レストランメール配信システム」を活用して、会 員に向けてメルマガで告知し、自身のフェイスブックでもさりげなくアピールして、300本を売り上げた。現在は、メルマガ会員を増やし、さらにターゲットを絞り込んだ販促ができるように、「ぐるなびタッチ」の利用促進にも力を入れている。「『タッチでじゃんけんチャンス』というサービスを作りました。お客様のグループ全員がメルマガ会員になるとグループの代表者とスタッフがじゃんけんし、勝った回数によって特典を進呈。最大、当日のお食事代が半額になります」と櫻田氏。チャレンジしたい気持ちにさせ、タッチの回数を飛躍的にアップさせた。店外でも店を再認識してもらうには、店からのメルマガや、フェイスブックなどで印象付けることが大切だと感じている。「最大の印象付けとなる料理の安心と安全を徹底し、接客も近隣で評判になるほど、元気にしています」と、味と丁寧な接客がリピーター作りの原点であることも忘れない。そこに付加価値を付け、ターゲットである親に喜ばれ、子供も安心して連れて行ける店作りに向けて、取り組んでいる。

河内鴨の串焼き。ジューシーで柔らかく、大人はもちろん、子供もおいしく食べられる一品。産地から直接仕入れているので鮮度も抜群だ
よりターゲットを絞った販促を行なうべく、ぐるなびタッチを積極的に活用。スタッフとじゃんけんして勝つと割引などの特典が付く
こだわりの「河内鴨」と「丹波地どり」をメニューブックで説明。安心と安全をアピール
「ホオズキトマト」(手前)など、季節の珍しい生野菜をそのままいただく「旬彩サラダ」。親も子も楽しんで食べられる
トイレに居酒屋では珍しいベビーシートを設置。赤ちゃんも連れて来店できるように配慮
株式会社ブラサニ
代表取締役
櫻田 浩太 氏大学卒業後、飲食業界に就職。自分が行きたい店を作りたいと、今後は鴨とワインの店の出店アイデアを持つ。飲食業界全体のレベルアップも目指したいという
地鶏専門
おちば屋
大阪府吹田市江坂町1-23-33 第7マイダビル2F
http://r.gnavi.co.jp/k097700/江坂駅から徒歩1分。丹波地鶏、河内鴨などを生産者から直に仕入れ、焼鳥のおいしさで人気が高い。旬の食材にこだわったサラダも評判。清潔感のある店内に、スタッフの明るさも魅力

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