2025/10/31 コラボ企画

飲食店のコンセプト設計が多店舗展開成功の鍵!仕組み化で「オヤジ」から「経営者」に

「宇宙一外食産業が好きな男」須田 光彦 氏が、多店舗展開を成功させるための秘訣を辛口トークで解説。3店舗を目指すべき理由、キャッシュフローの考え方、そして“ラッキーパンチ”に惑わされない経営判断とは?属人化から脱却し、仕組みで勝つための視点を語ります。

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※スマイラー114号(2025年8月)より転載

須田 光彦 飲食業特化型プロデューサー
1962年北海道生まれ。業態開発・商品開発、設計・デザイン、コンサルティングまでをワンストップでサポートする。18歳で上京し設計とデザインを学び23歳で設計事務所に入社、初仕事で売上日本一の惣菜店を設計。28歳で起業、設計において業態を深く理解し分析し、顧客心理を踏まえた設計とコンサルティングの垣根がない設計手法を開発。2008年リーマンショックによりクライアントサイドが資金調達に失敗、その影響でキャッシュフローが悪化し、1年で1億の未払い金が発生、2009年に倒産・破産・離婚を経験する。外食産業への熱い想いから2011年に再起業。倒産の経験から多くの学びを得て、それ以降大胆なコンサルティング手法の導入によりクライアントの業績をV字回復させている。2020年3月フォレスト出版より、「絶対やってはいけない飲食店の法則25」を出版。Amazonの外食産業部門において売れ筋ランキングで1位を獲得。これまでメディア出演多数。日本テレビの「有吉ゼミ」の「芸能人の心配な店」では芸能人が経営する飲食店を診断するコーナーに出演。今後は外食産業の成長に更に寄与し、外食産業を40兆円産業にするのが夢である。

1店舗経営の厳しさと多店舗展開のメリット

――須田さん、飲食で成功するには開業してからできるだけ早い時期に、まずは3店舗を目指すのが秘訣ですよね。

3店舗くらい出さないと面白くないのは当然だよね。

――それは、なぜですか?

多店舗展開が、なぜ面白いのか。まず、1店舗だと店舗の運営イコール会社の経営だからです。
前回、飲食店の経営者が直面する「 数字 」について話したように、オープン月で売上がドーンと上がり、2カ月目にオープン景気が終わり、3カ月目はどん底を味わう、そして4カ月目で少ない売上でもなんとかやりくりすることを学んで少し持ち直す。それって店舗の売上が即、会社の経営になっていてかつ、自分の生活費にもなっている。でもお店が2店舗、3店舗あると投資もかかるし、コストも増えるし、人の管理も大変だけど(だから仕組みが必要なんだけど)。でも、すべてがうまくいかないってことは無いんですよ。

もちろん3店舗全てがうまく行っていればいいけど、そのうち1店舗の数字が悪くても、ほかの店舗の利益で補填できる。まあ3店舗すべてが悪かったら最悪だけどね。で、この3店舗やらなきゃいけないっていうことの最も大きな利点は、年商規模が増えるから、回せるお金が増えるんですよ。キャッシュフロー、お金の流れが大きくなるから。この回せるお金が大きくなるってことが実は経営には大きく影響するわけです。何かあった時も飲食店は日銭商売だからね。

――つまり、日銭商売だから資金を集めることができる。いや、集めなきゃならないんです。1店舗目が当たって、資金ができればね、銀行に2店舗目の融資を申し込むことができるし、二期回していればリースを使うこともできる。

1店舗で経営するのはつらいだけ。すくなくとも3店舗くらいで経営と言えるわけです。この話は実際に銀行の融資担当者に聞いた事なんですけれど、個人事業主ではなく、仮に法人であっても、年商が3億未満は法人としては認めていなんですって、3億になって初めて法人として認められるみたい。

これは実際に私自身も経験している事ですが。そのためにはいかに早くオペレーターからマネージャーに、運営者から経営者にならなきゃいけないかってことを理解し、実践すること。頭を切り替えないとダメなんです。口では「1店舗じゃだめですよ、飲食業は少なくとも3店舗は開業しないと」なんて言っても、じゃあ資金計画と人員計画を考えて、1店舗でどれぐらいの売上規模で、内部留保をどれぐらいにして、余剰人員をどれくらい抱えてもやれるのか考えてますか、って話ですよ。

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――そういうのを展開できるように、1店舗目から計画して実行できた人が多店舗展開でき、飲食業で成功できるのですね。

でも、そこにはひとつの落とし穴があります。ラッキーパンチが当たったときです。

――ラッキーパンチ?

そう、なんかの要因で1店舗目がめちゃくちゃ流行った時。その時2店舗目が出せる可能性が非常に高い。ところが1店舗目がめちゃくちゃ流行った理由がラッキーパンチだから二度と当たんないですよ。

――そういえば、取材で、1店舗目めちゃくちゃ当たって、2店舗目もそこそこ当たって。これはいいぞって3店舗目を出したらドカーンと落ちて、その赤字を2つの店舗で埋めようとしても思うようにいかず、揚げ句の果てに粗悪な商品を作り始めて、自己破産した経営者の話を思い出しました。

それって、飲食あるあるですね。だから、当たったっていう現象だけで、みんな舞い上がってしまう。なんで自分の店が当たったかを分析しないのよ。当たってるから、ウハウハしちゃって。店が混んでるから喜ぶのはいいんだけど、なんで当たってるかがわからない。それで今、言ったようにイケてると思って2店舗目を出したら、だいたい近い数字が出るのよ。それで自信がついて、お金があるから、3店舗目を勢いで出店しちゃうから失敗するんです。

――このビジネスモデルはどこでも当たると思って、まあいい物件だろうと思っても3店舗目を出したら全然、客が入らない。出店場所もすごく大事ですよね。

そう、自分の夢を現実化させることにワクワクしてるから、この業態がウケてる要因は何かを考えるんじゃなくって、このビジネスモデルでいけると勘違いしたんじゃないかな。

――でもやっぱり多店舗展開をしなければ、飲食店は?

多店舗展開しない限り、飲食店の「オヤジ」で終わります、経営者にはなれません。「オヤジ」っていうのは、高齢になっても毎日店に立ち続けて、疲弊して身体を壊して終わっちゃうんです。ひざを悪くして、腰を壊して、子供の運動会に行くこともなく、最悪の場合にはある日、家に帰ったら子と奥さんがいなくなっていたって現実も実際にあるので。そういう店を子供は、絶対にやってくれない。跡継ぎがいないのは当然ですよね。

――飲食店経営において、一番の悩みは人の問題だと思うんです。

そうなんですよ、3店舗すべて自分で見るっていうのは無理なわけで。だから人に向き合うときに、仕組み化が必要なんですよ。自分のお店が1店舗の時は100%自分の手で作れる。なんでも自分でできちゃう。その時に何が起きているかっていうと、属人化されているんですよ。

属人化しているうちはダメなんです。自分のコピーを作ろうとするじゃない。でもコピーだからオリジナルには到底、及ばないんですよ。自分の60%の人間しか作れないんですよ。でも60%できたら最高です。自分の完全コピーなんか絶対できない。できるわけがないってことを深く認識すべきで、なので、50%ぐらいの実力で回せるようにならないと、これが仕組み化なんですよ。本店はやっぱり違うよねって言われるのはそういうことです。

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――なるほど。本店が100%で2号店、3号店は60%。それでもあそこの店ちょっといい、ってことになると、5店舗、10店舗となるんですね?

まあそれにはコンセプト。そう、強固なコンセプトがないと、多店舗展開なんて絶対できない。で、コンセプトを作る段階で、多店舗展開を視野に入れてコンセプトを作っているかどうかなんですよ。

――誰でも、自分の理想とする店を考えて開業するんじゃないですか?

まあそうなのですけど、俺の味で勝負したいとか、うん、世の中に出てオレの実力を試してみたいとか、俺が俺がって言っているのだったら、もう潰れるよね。いかにお客様に喜んでいただくかっていうことに真剣に向き合って、それを自分が居なくてもできるような形にするってことに向き合わないと、仕組み化なんてできないですよ。

――コンセプトっていうのは、地元の食材を使ってとかですか? そんなの、ありきたりじゃないですか。

コンセプトって5W1Hだから。誰に何を、どのように楽しんでいただいて、何を提供して、ってことですよ。さらにいえばプラスアルファ“時間”なんですよ。そのコンセプトをどれぐらいの時間でお客様は消費すると考えているのか。料理が出てくるまでの時間が長いと腹立つでしょ。あれはなぜかっていうと、お客様は時間を奪われていると思うから怒るわけです。

ランチタイムだったら、13時までに帰らないといけない。だから、回転率って話になるわけじゃない。でもそれって誰目線ですか? 経営者の目線でしょ。違うよ。お客様の時間を奪っているってことを理解してないから。消費時間に対する考えがないわけ。提供時間を5分とか10分、15分って、それって自分のビジネスのことしか考えていないわけで、お客様の時間を奪っているっていう概念がないから。だから多店舗展開ができないんだよ。カフェなんか典型だし、居酒屋もそうなんじゃない。2時間ぐらい平気で長居しているじゃない。じゃあ最後の30分オーダー入るかっていえば、入んないんだよ。

じゃあ、お客様は何してるのって。もう帰りたいんだけど、メンバーの誰か一人だけ酒飲んで喋ってるから帰れないのよ。そういったお客様の背中を押してあげられない、促す人が店にいない。それでいて、何言うかと思ったら回転率が悪い。うちの客は長居するって。違うよ、お店が長居させてるんだよって。

お客様の時間を奪っているっていうのを理解してないんだよ。だからコンセプトに消費時間を入れなさいって言っている。2時間制だとしても1時間半でお客様を帰らせてもいいんだよ、別に。2時間までの枠はあるっていうだけだから。その枠の中でコンセプト、その店の5W1Hでお客様をいかに満足させるかどうか、にかかっている。そういうことを一つ一つ決めていくのも仕組み化です。

――5W1Hのそれぞれがすごく大事だと思いますけど、そこに時間を加えるのは新しい概念ですね。

■飲食業界誌「スマイラー」

“飲食店の笑顔を届ける”をコンセプトに、人物取材を通して飲食店運営の魅力を発信。全国の繁盛店の紹介から、最新の販促情報、旬な食材情報まで、様々な情報を届けている。毎月15,000部発行。飲食店の開業支援を行う「テンポスバスターズ」にて配布中!

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