2025/12/02 繁盛の法則

東京・浜松町「シェ・ノブ」5坪12席の洋食店|手作り料理とアットホームな空間で月商200万円を達成する経営術

東京・浜松町「シェ・ノブ」は、5坪12席で月商200万円を達成する洋食店。老舗で修業したオーナーシェフの手作り料理と、アットホームな雰囲気が魅力。夜はシェフ1人のワンオペで営業し、周辺のサラリーマンや住民に親しまれている。ランチ営業の40食完売と4名からの貸し切り対応などで成功した小規模店の経営術、ピンチをチャンスに変えるオーナーの挑戦を紹介。

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繁盛の法則 3カ条

  1. オーナーシェフが一から手作りする料理を提供
  2. 5坪12席の空間でアットホームな雰囲気を創出
  3. 少人数での貸し切りパーティーなど新たな需要を開拓

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老舗洋食店などでの修業を経て地元での独立開業を果たす

オーナーシェフが店内で一から手作りする洋食メニューを味わえる東京・浜松町の「洋食や シェ・ノブ」は、周辺に勤務するサラリーマンやOL、近くの住民にとって、おいしい料理を食べて元気になれる場所として親しまれている。JR浜松町駅から徒歩3分ほど、交差点に面したビルの2階にある、ほぼ三角形に近い形をした5坪12席という小規模店である。しかも、入店するには細くて急な階段を上らなくてはならず、初めて立ち寄る際には少々勇気が必要とされる。

とはいえ、メニュー表にも「街の洋食屋よりグレードが高い料理、フレンチの敷居の高さをなくす事を意識しております」と明記しているように、日常の中のちょっとしたハレの日に訪れたくなるようなお店で、気取らない、アットホームな雰囲気が魅力となっている。

オーナーシェフの福岡 伸和 氏は、1969年、地元の浜松町生まれで、小学生の頃から料理に興味を持ち、テレビの料理番組を教科書代わりに、紹介された料理を作っていたほどだった。いずれは自分で飲食店を経営したいと思うようになり、大学では経営学を専攻した。卒業後はまず料理の基礎を学ぶために、「にっぽんの洋食」と謳う老舗洋食店「赤坂 津つ井」に入り、4年間でひと通りのポジションを経験した。その後、六本木にあったフランス料理店に約1年務めた後、実家で兄が開業したすし店を手伝うようになり、魚介類について学びながらすし店で魚を使った洋風の料理を出していた。

すし店で9年ほど働きながら、浜松町での独立開業を目指してじっくりと物件を探し、出合ったのが現物件だった。もとより福岡氏が仕込みからソースづくり、調理も仕上げも1人でこなすことを前提に5坪ほどの規模を希望し、通りすがりではなく、わざわざ来店するという期待感を高めるために、当初から2階の物件を狙っていた。変形のスペースだが、以前は普通の事務所風だった窓を1枚ガラスに変えて開放感を出し、コンパクトながら動きやすい厨房に仕上げ、2006年、36歳で独立開業を果たした。

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ピンチをチャンスに変え、常に新たなチャレンジを続ける

夜のアラカルトメニューより、「カニクリームコロッケ」(550円/1個)は、カニみそがたっぷり入った風味豊かな味わいが好評。自家製トマトソースの上に生クリームを水玉模様にたらし、コロッケの上には穏やかな酸味の自家製マヨネーズを使ったタルタルソースを添えている。「オムナポリ」(1,500円)は、見た目はオムライスだが、中にはスパゲティナポリタンが入っているサプライズメニュー。固めに茹で上げたスパゲティに、店内で燻製にしたベーコンとトマトケチャップを加え、焦がすようなイメージでしっかりとフライパンで炒めているため、特有の薫香と香ばしさがあり、その風味にも驚きのある一品

ランチは当初から日替わりメニュー1品目を40食限定で提供することにした。「ビフテキ丼」(1,300円)、「カニクリームコロッケ」(1,200円)、「フォアグラ丼」(1,700円)などを用意し、プラス200~400円で増量や追加メニューを設定している。客単価は1,500円で、ほぼ毎日売り切れている。また、料理提供や客席回転の早さが求められるランチタイムは、福岡シェフの奥さんか義母が交代でホールの手伝いに入っている。

夜は福岡シェフ1人で稼働しており、「ビーフステーキサンド」(1,800円)、「自家製ベーコンのナポリタン」(1,500円)、「カニマカロニグラタン」(1,500円)、「シチューバーグ御膳」(2,800円)といった単品や御膳メニューのほか、「シェフのおまかせ」(5,000円~)、人気アイテムのオムライス、海老フライ、カニクリームコロッケ、煮込みハンバーグを盛り合わせた「大人のお子様ランチプレート」(4,000円)などを用意し、予約なしでも1人からオーダー可能としている。

創業以来、継ぎ足し続けているデミグラスソースや、店内でサクラのチップで燻製にする自家製ベーコン、スパゲティナポリタンを玉子焼きで包んだ「オムナポリ」(1,500円)など、ここでしか味わえないアイテムも多い。さらに、貸し切りパーティーは4人(1人10,500円、ドリンク付き)から対応し、福岡シェフがつきっきりで、1人1人に1皿ずつ提供するスタイルが好評を得ている。夜の客単価は4,500円で、1日12~14人が来店しており、平均月商190~200万円を上げている。

同店が独特の洋食メニューで根強い人気を獲得している要因は、以下のようになるだろう。

  1. オーナーシェフが店内で一から手作りする料理を提供している
  2. 5坪12席というこぢんまりした空間で、アットホームな温かい雰囲気を創出している。
  3. 4人からの貸し切りパーティーへの対応など、新たな需要の開拓に努めている

「常に新しいことにチャレンジしたいと思いますし、ピンチはチャンスだと考えています」という福岡シェフ。飲食店が大打撃を受けたコロナ禍においては、SNSでの発信を強化し、カニクリームコロッケやビーフシチューなど洋食4種を詰め合わせ、冷蔵便で発送する宅配サービス(5,000円~)も開始した。毎週水曜日に注文を締め切り、木曜日に仕込み、金曜日に発送し、翌土曜日に届くエリア限定だが、北は秋田や岩手、西は兵庫までカバーしている。この宅配の利用者が、東京に来た際に来店することもあり、週に3セットほどまでしか対応できないが、コロナ禍後も地道に継続している。

またここ数年は、浜松町駅周辺の再開発が進み、同店にも立ち退き、ビルの建て替えといった話が出てきている。「そもそも私が地元の浜松町で創業したのは、自店を繁盛させることで浜松町の価値を上げたい、仕入れ先の地元のお店も繁盛して欲しい、という思いからです。これまで地元の方々に本当に助けていただいてきたので、その恩返しをしたいとずっと考えています。再開発の中でもこの店はがんばっているな、と周りに勇気を与えられるような存在になりたいのです。ですから、この再開発も次へのステップアップとして楽しみにしています」と、福岡シェフは力強く語っている。



(Text and shop photo by Food Biz,


洋食や シェ・ノブ
住所
東京都港区浜松町2-7-2大塚ビル2F
営業時間
11:30~14:00(40食売り切れまで)、18:00~22:30(LO.22:00)
土曜日17:30~21:00(LO.20:30)
定休日
日曜日、祝日(土曜日不定休、年末年始に休業日あり)
https://r.gnavi.co.jp/bx2y94500000/map/
http://www.cheznobu.com/index.php


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